「カバラン(KAVALAN)」は台湾産シングルモルトウイスキー! 世界が注目する銘柄の魅力を深掘り

「カバラン(KAVALAN)」は台湾産シングルモルトウイスキー! 世界が注目する銘柄の魅力を深掘り
出典 : 金車カバラン

「カバラン」は、台湾の宜蘭(ぎらん)県で造られているプレミアムなシングルモルトウイスキー。高品質な味わいで、世界中のウイスキー通から熱視線を浴びています。今回はカバラン蒸溜所の歴史や産地の特徴、「カバラン」の味わい、種類などについて紹介します。

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世界が注目する台湾ウイスキー「カバラン(KAVALAN)」の魅力をみていきます。

「カバラン(KAVALAN)」とは?

カバランとは

画像提供:金車カバラン

「カバラン」の概要や、蒸溜所の創業の背景などについて紹介します。

「カバラン」は台湾産のプレミアムシングルモルトウイスキー

「カバラン」は、台湾の東側に位置する宜蘭(ぎらん/イーラン)で生産されているウイスキーの銘柄です。「カバラン」の名は、古代先住民カバラン族(クバラン族)が開拓した美しい土地、宜蘭の旧名「Kavalan(カバラン)」にちなんでいます。

「Kavalan(カバラン)」は、カバラン族の言葉で「平原の人」の意味。「カバラン」を手がけるカバラン蒸溜所はその名のとおり、山と海に囲まれた風光明媚な蘭陽平野にあります。雪山山脈の澄んだ甘くやわらかな水に恵まれ、太平洋の海風と潮気が、世界を魅了するウイスキーを生み出す下地となっています。

「カバラン」の歴史

カバラン蒸溜所が設立されたのは2005年12月31日。創業者は、台湾の大手飲料酒類メーカー金車集団(金車グループ/英King Car)の李氏親子です。金車集団は、缶コーヒーやお茶類、ミネラルウォーターなどの発売や、コーヒー文化を根づかせることを使命として立ち上げた「ミスターブラウンカフェ」の運営会社として有名です。

老舗飲料メーカーである金車集団がウイスキー事業に進出した理由は、100年以上続く海外蒸溜所への憧れがあったからだといいます。加えて、台湾が2002年に世界貿易機関(WTO)に加盟を果たし輸入蒸溜酒の関税が引き下げられたこと、国営企業以外にもアルコール飲料の製造が認められたことも大きなきっかけとなりました。

「この挑戦を成し遂げる」という強い信念のもと、スコットランドや日本の蒸溜所を巡り、本社を置く宜蘭が新しいウイスキーの故郷となることを夢見て創立されたのがカバラン蒸溜所です。

カバラン蒸溜所では蒸溜所ガイドツアー(予約制)が開催されているほか、公式サイトではバーチャルツアーを体験できます。なお、台湾での正式名称は「金車噶瑪蘭威士忌酒廠」なので、現地を訪れるときに覚えておくと役立ちそうです。

カバラン蒸溜所
バーチャルツアーはこちら

カバラン台北市内新ショールーム

画像提供:金車カバラン

「カバラン」は世界的に評価が高く、数々の受賞歴を誇るウイスキー

「カバラン」は比較的歴史の浅いブランドですが、ラインナップのほとんどが世界的な品評会で高く評価され、たくさんの輝かしい賞を受けています。

「カバラン」が注目されるきっかけとなったのは、2010年にスコットランドのエディンバラで開催されたウイスキーのブラインドテイスティング大会で、2008年にリリースした「カバラン」初のウイスキー、「カバラン クラシック シングルモルト ウイスキー」が優勝を飾りました。

スコットランドの詩人ロバート・バーンズをたたえる「バーンズナイト」には、スコットランド全土がお祝いムードとなり、スコットランドの伝統料理ハギスをメインとしたディナーをたのしみます。この特別な日に開かれたイベントの主目的は、近年のウイスキーブームによりイングランドに蒸溜所が増えたことを受けて、スコッチウイスキーとイングランド産ウイスキーを飲み比べることだったようです。

「やっぱりスコッチがおいしいけれど、イングランド産もいいね」という結果を思い描いていたかもしれません。ところが、圧勝したのは台湾産ウイスキー。この結果は、世界を驚かせました。以来、「カバラン」に対する注目度が高まり、高品質なおいしさに世界中のウイスキーファンが魅了されています。

「カバラン」は亜熱帯気候で生まれる稀有な存在

台湾宜蘭県蘭陽平原の景色

Weniliou / Shutterstock.com

「カバラン」は、ウイスキーの常識を覆す環境で生産されています。スコッチウイスキーに象徴されるように、一般的にウイスキー造りに適しているのは寒冷地です。低温下でゆっくりと熟成されることで、樽の溶出成分と香味成分の変化がうまく進み、よいウイスキーが生まれるといわれています。参考までに、スコットランドの首都・エディンバラからほど近いキンロスの年間平均気温は約9度です。

一方、台湾の宜蘭県は亜熱帯気候に属していて、年間平均気温は23度前後、真夏は35度前後まで上昇します。高温多湿な環境下ではウイスキーの熟成が早く進むため、一見ウイスキー造りには向いていないように思われます。カバラン蒸溜所ではその点を克服するために、風土の特性を活かした製法を模索。高名な専門家である故ジム・スワン博士の協力を得て、設備や製造工程に工夫をこらし、独自のフレーバーを確立させました。

一説には、台湾で4~6年ほど熟成されたウイスキーは、15~25年熟成させたスコッチウイスキーに匹敵するともいわれています。「カバラン」も、短期熟成なのに長期熟成されたような奥深い味わいをたのしめるのが魅力です。

その反面、「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼ばれる熟成中に揮発するウイスキーの量は、スコットランドが年間2~3%程度なのに対して、亜熱帯の台湾は15%前後。冷涼な地域よりはるかに多くのウイスキーが蒸発してしまうため、「カバラン」の職人には熟成度合いの見極めによりいっそう神経を使うことが求められています。

「カバラン」の味わいの特徴

カバランの味わい

画像提供:金車カバラン

亜熱帯で育まれる「カバラン」は、マンゴーなど南国のトロピカルフルーツを想わせる甘い風味やねっとりとした口当たり、熟成感が魅力です。やさしいキャラメルのような風味は、独自の加工を施した「STR(Shaving・Toasting・Re-Charring)」と呼ばれる赤ワイン樽に由来します。

前述のブラインドテイスティング大会において、ウイスキー評論家のチャールズ・マクリーン氏は、「カバラン」の味わいを「熱帯果実のジャム」と評しました。それほど濃厚な風味を備えているのが、台湾産ウイスキー「カバラン」です。独特のトロピカルな風味の「カバラン」は飲んだ人を惹きつけ、新たなボトルがリリースされるたびに存在感が増しています。

ちなみに、マクリーン氏はスワン博士と交流があり、カバラン蒸溜所を訪れた際にテイスティングしたサンプルの味に魅了されて、大会のテイスティング対象の1本としてそっと紛れ込ませたのだとか。マクリーン氏にとって「カバラン」の優勝は、納得の結果だったのかもしれません。

亜熱帯で造られるウイスキーは「カバラン」のほかにもいくつかあります。熱帯・亜熱帯熟成のウイスキーとして注目されているのが、「アムルット」などのインド産ウイスキーです。日本でも、沖縄産ウイスキーや、鹿児島県屋久島で熟成されたウイスキーなどが登場し、温暖な地域のウイスキーがジワジワと盛り上がってきています。

「カバラン」の種類とおすすめの飲み方

「カバラン」はすべてシングルモルトウイスキーで、蒸溜所限定品も含めるとバリエーションは20種類以上もあります。豊富なラインナップからいくつか紹介します。

カバランクラシック シングルモルトウイスキー|スッキリ優雅な味わい

カバランクラシック シングルモルトウイスキー

画像提供:金車カバラン

「カバラン」ブランド1作目となるシングルモルトウイスキー。バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽などを使用したウイスキーが絶妙にブレンドされています。口当たりのよい深みのある酒質で、水割りで飲むのがとくにおすすめです。入門編として、このスタンダードボトルから始めてみてはいかがでしょう。

カバランソリスト ヴィーニョバリック カスクストレングス シングルモルトウイスキー|芳醇で複雑な風味

カバランソリスト ヴィーニョバリック カスクストレングス

画像提供:金車カバラン

世界最高級のワイン樽で熟成したシングルモルトウイスキー。メロンとキャラメルの香り、ワインの風味が融合した、まろやかで芳醇、香り豊かな味わいで、飲む人を魅了します。ウイスキーの傑作ともいえる1本で、ストレートでじっくり味わうのに最適です。

カバランソリスト モスカテルシェリーカスク カスクストレングス シングルモルトウイスキー|ジャムや花の蜜のような風味の逸品

カバランソリスト モスカテルシェリーカスクカスクストレングス

画像提供:金車カバラン

長期熟成させたスペイン産モスカテルのシェリー樽に詰めて熟成させたシングルモルトウイスキー。深い甘味のあるシェリーの風味に、タフィーとキャラメルの濃厚な香りが溶け合います。ジャムを想わせる豊かな味わいで、こちらもストレートで飲むのにぴったり。甘いお菓子との相性も抜群です。

世界が注目する「カバラン」は、亜熱帯の台湾宜蘭県で育まれているトロピカルな風味のシングルモルトウイスキーです。ウイスキーの常識を覆す環境下で生み出された、独特でプレミアムな味わいを、機会があればぜひ堪能してみてくださいね。

製造元:カバラン蒸溜所
公式サイトはこちら

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