「冷酒(れいしゅ)」の温度は何度くらい? 「冷酒」の定義とたのしみ方【日本酒用語集】

「冷酒(れいしゅ)」の温度は何度くらい? 「冷酒」の定義とたのしみ方【日本酒用語集】
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「冷酒(れいしゅ)」とは、文字どおり冷やして飲む日本酒のこと。スッキリして飲みやすくなると、近年、人気の飲み方ですが、どのくらいの温度を指すのでしょう? 今回は、冷酒のたのしみ方や、混同されやすい「冷や(冷や酒)」との違いなどを解説していきます。

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「冷酒」と「冷や」はどう違う?

「冷酒」と「冷や」はどう違う?

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「冷酒(れいしゅ)」とは、5~15度くらいに冷やしたお酒

「冷酒(れいしゅ)」とは、文字通り「冷やした日本酒」のこと。温度帯で言えば、おおむね5度から15度くらいが、一般的によく飲まれている冷酒です。
冷酒という飲み方が広まったのは、日本酒の歴史から見るとごく最近のこと。冷蔵庫が身近になった1950年代以降のことで、ここ50~60年くらいに広がった新しい飲み方と言えます。

「冷や(冷や酒)」は、「燗酒」の対義語である常温のお酒

「冷酒」と混同されやすいのが、同じく“冷”の文字が使われている「冷や(冷や酒)」。こちらも「冷やした日本酒」のことと思われがちですが、じつは常温(約20度)の日本酒を指しています。
では、なぜ冷たくないのに「冷や」と呼ぶのでしょう? 冷蔵庫がない時代、日本酒は常温で飲むか、温めて燗にして飲むかの二択しかありませんでした。このため、燗酒に対して温度の低い常温の日本酒を「冷や」と呼んでいたのです。
「冷酒」のつもりで「冷や」とオーダーしたら、常温の日本酒を提供された、ということがないよう、両者の違いをしっかり覚えておきましょう。

「冷酒」のたのしみ方を知ろう!

「冷酒」のたのしみ方を知ろう!

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「冷酒」は飲みやすさが人気

「冷酒」が近年、若い世代や女性などを中心に人気を集めている大きな理由のひとつが、スッキリとして飲みやすく感じるため。
冷やすことで、口当たりやのどごしがよくなるとともに、日本酒特有のクセが抑えられるため、普段飲みなれなかった人や、苦手意識をもっていた人でも日本酒に親しみやすくなります。
また、近年、広がりつつあるワイングラスで日本酒を飲むという文化も、冷酒の人気を広げる一因となっているようです。

「冷酒」は温度によって呼び名が変わる

冷酒はおおむね5~15度くらいと、温度に幅がありますが、じつは5度刻みで温度ごとにそれぞれ風流な呼び名がついています。

「涼冷え(すずびえ)」
15度程度。冷蔵庫から出してしばらく経った頃が目安。涼やかな飲み口と華やかな香りがたのしめます。
「花冷え(はなびえ)」
10度程度。控えめな香りで、きめ細やかな味わいになります。
「雪冷え(ゆきびえ)」
5度程度。雪のようにしっかり冷やすことで香りが抑えられ、シャープな味わいに。

同様に、温める「燗酒」も、5度刻みでそれぞれ風流な呼び方がついています。
「日向燗(ひなたかん)」:30度
「人肌燗(ひとはだかん)」:35度
「ぬる燗」:40度
「上燗(じょうかん)」:45度
「熱燗(あつかん)」:50度
「飛びきり燗(とびきりかん)」:55度

「冷酒」と「燗酒」の味わいの違いとは?

「冷酒」と「燗酒」の味わいの違いとは?

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「冷酒」は香りを抑え、「燗酒」は香りを引き出す

「冷酒」は、冷やすことで日本酒の香りが抑えられる傾向があり、日本酒独特の香りが苦手という人にも飲みやすくなります。その半面、冷やしすぎるとせっかくの香りが閉じ込められてしまう場合もあるので、注意が必要です。
「燗酒」の場合は、日本酒を温めることで香りが開き、米や酵母が生み出す複雑で奥深い芳香をたのしむことができます。ただし、温度を急激に上げすぎるとアルコールが揮発して鼻につくことがあるので、ゆっくり、ていねいに燗つけしたいものです。

冷酒と燗酒、温度によって変わる日本酒の味わい

「冷酒」と「燗酒」では、お酒の味わいも変化します。
人間の舌は、冷やすことで甘味を感じにくく、酸味を感じやすくなる傾向があります。このため冷酒の場合、爽やかな酸味や果実感が引き立つのと同時に、甘味や旨味を抑えてスッキリした飲み口になります。
一方で、燗酒にすることで、重厚で複雑な甘味や旨味がしっかりと引き出されます。とくに、濃醇な純米酒や熟成系の日本酒は、燗酒にすることで、お酒のポテンシャルを発揮しやすくなります。

「冷酒」がおいしい日本酒の選び方

「冷酒」がおいしい日本酒の選び方

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「冷酒」で「吟醸酒」を飲むなら冷やしすぎに注意

「冷酒」向きの日本酒の代表格と言われるのが、「吟醸酒」。精米歩合が50%以下の「大吟醸酒」、60%以下の「吟醸酒」があり、精米歩合の数字が小さいほど、原料米をたくさん磨いていることを示します。
吟醸酒は、雑味の少ないクリアな味わいと、吟醸香と呼ばれるフルーティな香りが特徴のため、冷やしすぎないのがポイント。涼冷え程度に冷やして、徐々に香りが開いていく経過をたのしんでみては。

「冷酒」は「生酒」にも適した飲み方

「生酒」とは、「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行っていない日本酒のことで、フレッシュな味わいが持ち味です。酵母が生きたまま瓶内で発酵を続けるため炭酸ガスを含むこともあり、冷やすことでスパークリングワインのような爽快感がたのしめます。

「冷酒」でアルコール度数の高い「原酒」をたのしむ

「原酒」も「冷酒」にオススメです。「原酒」とは、アルコール度数を調整するための加水処理を行っていない日本酒のこと。口に含んだときのインパクトが強く、キンキンに冷やして飲むか、氷を入れたオン・ザ・ロックがオススメです。

「冷酒」について紹介してきました。日本酒はいろんな温度でたのしむことのできるお酒です。冷やしたり、温めたりと、自由に飲んで、お好みの飲み方を探してみましょう。

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