「どぶろく」は日本酒じゃない!? 「どぶろく」とは何か【日本酒用語集】

「どぶろく」は日本酒じゃない!? 「どぶろく」とは何か【日本酒用語集】
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「どぶろく」を漢字で書くと「濁酒」。だからといって、濁っているお酒がすべて「どぶろく」というわけではありません。ここでは「どぶろく」とはどんなお酒か、その定義や特徴、歴史などをわかりやすく紹介していきます。

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「どぶろく」は税制上、日本酒でなく「その他醸造酒」に分類される

「どぶろく」は税制上、日本酒でなく「その他醸造酒」に分類される

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「どぶろく」とは濾していない日本酒

「どぶろく」は、日本酒と同様、米と米麹、水を原料に、発酵させて造るお酒です。日本酒との違いは、醪(もろみ)と呼ばれるどろどろの状態のまま出荷すること。このため「醪酒(もろみざけ)」とも呼ばれます。
日本酒造りには、醪のなかで溶け切らずに残った麹や蒸米を濾しとる、「上槽(じょうそう)」と呼ばれる工程があり、それを経たものが「清酒」となります。この上槽の工程を省いたものが「どぶろく」になります。

「どぶろく」は「日本酒」に含まれない?

「どぶろく」は、酒税法上では「その他醸造酒」に該当します。日本の酒税法では、醸造酒は「清酒」「果実酒」「その他醸造酒」に分類され、「清酒」は上槽の工程を経ていなければなりません。
加えて、2015年、国税庁が日本酒のブランディングのため、「日本酒」を改めて定義。「原材米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒」としました。この定義に「清酒」とあるので、「どぶろく」は「日本酒」ではないということになります。

「どぶろく」は「濁り酒」や「甘酒」とどう違う?

「どぶろく」と見た目がよく似た飲み物に、「濁り酒」や「甘酒」があります。これらにはどんな違いがあるのでしょう?
「濁り酒」は、醪を粗く濾したお酒で、上槽を経ているため「清酒」、つまり日本酒に分類されます。
「甘酒」は、「酒」とついているもののアルコールを含んでおらず(醪の搾りかすである酒粕から造られる場合は微量が含まれます)、「清涼飲料水」に分類されます。

どぶろくの歴史と歩み

どぶろくの歴史と歩み

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日本酒のルーツ、「どぶろく」は御神酒だった

「どぶろく」は、「清酒」として洗練される以前の、日本酒の原形にあたると考えられています。
その歴史は古く、その誕生は稲作が伝来した弥生時代までさかのぼります。米を醸して造られる「どぶろく」には、豊穣を祈願し、神様に奉納される「御神酒(おみき)」としての役割があったとされています。
この文化は現代でも引き継がれ、岐阜県の白川郷(しらかわごう)をはじめ、全国各地で“どぶろく祭り”が行われています。

「どぶろく」は明治以降は自家醸造が禁止

明治後期になるまで、農家をはじめ各家庭で自家製の「どぶろく」が造られ、庶民の生活に密着していました。しかし、1899年(明治32年)、政府の税収増の政策により、「どぶろく」を含めたお酒の醸造には免許が必要となり、自家醸造は完全に禁じられます。
しかし、禁止されたにも関わらず、一部ではこっそりと「どぶろく」造りが続けられました。このため「どぶろく」と言えば“密造酒”というイメージが付きまとうようになりました。

どぶろく特区による地方の活性化

どぶろく特区による地方の活性化

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「どぶろく特区」では酒類製造免許の取得条件が緩和

2003年より、地域の活性化をめざす政策「構造改革特区」のひとつとして「どぶろく特区」制度が始まりました。特区に認定されると、製造免許の取得条件が緩和される制度です。
本来、酒類製造免許を取得するには、年間6キロリットルという最低製造数量を満たさなければいけません。しかし、1升瓶に換算して3,300本以上製造・販売するのは大変なハードルです。「どぶろく特区」においては、この最低製造数量が免除されるのです。

「どぶろく」造りは特区内の農業者が対象

そうは言っても、誰でも「どぶろく」造りに参入できるというものではありません。地域の活性化が目的なので、特区内で民宿やレストランなどを営む農業者であることが条件になります。
もうひとつの条件が、麹米以外は自家産米を使用すること。自ら育てた米を自らで醸し、自ら経営する民宿などで提供するために、免許を取得しやすくした制度だからです。
「どぶろく特区」制度のもと、2019年3月分までで全国171地区が認定され、個性あふれる「どぶろく」が造られています。毎年、開催地を変えて「全国どぶろくコンテスト」が行われるなど、地域の活性化に一役買っているようです。

世界の「どぶろく」、発見!

世界の「どぶろく」、発見!

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世界各国の「どぶろく」紹介

「どぶろく」は米を発酵させたお酒ですが、世界には、同様に穀物を発酵させて造った、「どぶろく」の海外版とも呼べる醸造酒があります。いくつか紹介しましょう。

【マッコリ】

有名な韓国の醸造酒。日本の「どぶろく」と同様、米が主原料ですが、サツマイモやトウモロコシを主原料にしたマッコリもあり、米に限定したものではない点などが「どぶろく」と異なります。

【チチャ】

中南米で飲まれる醸造酒で、トウモロコシを発芽させて粉にし、それを長時間に煮込んで造ります。古くは日本の“口噛み酒”と同様に、トウモロコシを噛んで、唾液の酵素で発酵させていたとのことですが、現在はほとんど行われていません。

【パルショータ】

エチオピアの南部で造られる、トウモロコシと、ソルガムと呼ばれるモロコシを主原料とした醸造酒です。栄養価が高く、主食として飲用されている、世界でも珍しいお酒です。

「どぶろく」は今、甘酒ブームの流れから注目度が上がっています。「どぶろく特区」に実際に訪問するほか、銘柄によってはお取り寄せできる場合もありますので、ぜひチェックしてみてください。

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