「どぶろく」とはどんなお酒?甘酒やマッコリとの違いも紹介

「どぶろく」とはどんなお酒?甘酒やマッコリとの違いも紹介
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「どぶろく」とは、米と米麹(こめこうじ)、水を原料とするお酒。もろみを漉(こ)さずに造るのが特徴です。今回は「どぶろく」の味わい、歴史や名前の意味、日本酒(清酒)や甘酒、マッコリとの違い、どぶろく特区、飲み方やおすすめ銘柄などを紹介します。

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まずは「どぶろく」の見た目や口当たり、味わい、豊富に含まれる栄養素についてみていきましょう。

「どぶろく」とはどんなお酒? 味わいやアルコール度数は?

どぶろくの味わいとアルコール度数

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「どぶろく」とは、日本酒(清酒)と同じく米と米麹、水を原料とするお酒です。

清酒と違い、もろみを漉さずに造るため、見た目は白くにごっていて、口当たりはとろりとしています。

味わいの特徴は、お米由来の甘味と適度な酸味。華やかな香りやさわやかな飲み口のものも多く、シュワッと弾けるのどごしがたのしめるものもあります。

アルコール度数は千差万別。低いものは6度程度、高いものは17度以上(20度未満)と商品ごとに違いがあるので事前に確認するのがおすすめです。

また「どぶろく」には、お米や麹、酵母に由来する酒粕(さけかす)の成分がそのまま入っています。

酒粕には「レジスタントプロテイン」という食物繊維のような働きをするたんぱく質も含まれています。レジスタントプロテインはコレステロールの低下や肥満の抑制などに期待されているもので、テレビでも取り上げられて話題となりました。

「どぶろく」はお酒なので、飲む量には十分気をつけなければなりませんが、おいしいだけでなくレジスタントプレテインなど酒粕の成分も摂取できる飲み物であることに違いありません。

「どぶろく」の歴史をひもとく

どぶろくの歴史

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「どぶろく」は、日本酒の起源ともされるお酒です。その歴史をみていきましょう。

「どぶろく」は神事にもかかわる、古代から造られてきたお酒

日本における「どぶろく」の歴史の始まりは、弥生時代に稲作が本格的に始まった時期とほぼ同じと考えられています。以来、江戸時代の初期まで、お酒といえば一般的に「どぶろく」のことを指しました。

日本では古代から、収穫された米と、主食である米から造った「どぶろく」をともに神に供えて豊作を祈願し、その後、食べ物や飲み物を平等に分かち合い、皆でお酒を飲むなどしてきました。

岐阜県の世界遺産「白川郷(しらかわごう)・五箇山(ごかやま)の合掌(がっしょう)造り集落」にある白川八幡神社など、この風習を受け継いだ「どぶろく祭り」を今も行っている神社が全国各地にあります。

なお、どぶろく祭りで造られる「どぶろく」は、免許を受けて造られるもの。祭礼用として許可されたものなので持ち出しはできません。参加することがあれば神社の境内でたのしみましょう。

どぶろくという名前の意味

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「どぶろく」という名前には何か意味があるの?

「どぶろく」には、「濁(にご)り酒」「濁酒(だくしゅ)」「白馬(しろうま)」「もろみ酒」「濁醪(だくろう)」「どびろく」など、数多くの異名があります。

「どぶろく」の語源は定かではありませんが、一説には異名のうち「濁醪」や「どびろく」がなまって「どぶろく」というようになったといわれています。

「どぶろく」は「日本酒(清酒)」ではない!? 甘酒やマッコリとの違い

どぶろくは清酒ではないお酒

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「どぶろく」の法律上の定義や、同じく白濁している「甘酒」や「マッコリ」などとの違いについて確認していきましょう。

「どぶろく」は酒税法上の「清酒」の定義からは外れるお酒

「どぶろく」は、酒税法上は「清酒」ではなく「その他の醸造酒」に分類されます。米・米麹・水という原料は同じでも、「清酒」で義務づけられているもろみを漉す工程を経ていないためです。

「どぶろく」と、同じように白濁している清酒の「にごり酒」や「おりがらみ」との決定的な違いは、もろみを漉しているかどうか。

「にごり酒」も「おりがらみ」も、「上槽(じょうそう)」と呼ばれる搾りの工程などでもろみを漉しているため、見た目はにごっていても「清酒」に分類されるのです。

なお「清酒」は「日本酒」、「どぶろく」など「その他の醸造酒」は「濁酒」という表記も認められています。同じように見える「どぶろく」と「にごり酒」「おりがらみ」ですが、ラベルを見れば一目瞭然。購入の際などにチェックしてみてくださいね。

どぶろくと甘酒、マッコリとの違い

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「どぶろく」と甘酒やマッコリは何が違うの? 味わいやアルコール度数を比較

「甘酒」とは米麹や酒粕を使って造る飲み物のこと。「どぶろく」と見た目は似ていますが、味わいは甘味がおもで、お酒ではないものがほとんどです。

米麹の「甘酒」は、アルコール発酵をしていない完全なノンアルコール飲料です。米麹または炊いた米と米麹に水を加え、50~60度くらいの温度を保って8~10時間程度置くとできあがります。

米麹の酵素の作用で米のデンプンを糖化させるため、砂糖を使わずに甘味が生み出されます。

酒粕の「甘酒」は酒粕を水で溶かして砂糖などで味を調整したものです。酒粕由来の微量のアルコールが含まれていますが、ほとんどが1パーセント未満の度数。酒税法の「酒類」の条件に満たないため、ソフトドリンクとして販売されています。

一方、ほんのりした甘味と酸味がある乳酸菌飲料のような風味の「マッコリ」は、韓国の伝統的な醸造酒。米などを蒸したものに麹を混ぜ、水を加えて発酵させたのち、粗く漉したものです。

「どぶろく」との大きな違いは漉していることと原料。「マッコリ」は米のほか、小麦やトウモロコシなども使われています。また、アルコール度数は6~8パーセントのものが主流となっています。

「どぶろく特区」を知っていますか?

どぶろく特区の説明

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「どぶろく」は明治時代以前には自家製造が行われてきたお酒ですが、現在は免許を取得している蔵元や神社など以外では造ることができません。そうしたなか「構造改革特別区域」のひとつとして設けられたのが「どぶろく特区」です。

「どぶろく」の製造免許は従来、酒税法に定められた年間6キロリットル以上の製造が可能な者にしか与えられませんでしたが、その規制を緩和。自らが原料米を作っている旅館や農家民宿、農園レストランなどに限って、年間製造量は問わず「どぶろく」の製造免許が取得できるようになりました。

なお「どぶろく特区」内では、製造場での販売と、自らの営業場での提供も許可されています。それ以外での販売には酒類販売業の免許が必要となります。

宮守川上流生産組合が造る「遠野どぶろく」などで知られる岩手県遠野市の「日本のふるさと再生特区」をはじめ、新潟県の「越後里山活性化特区」や長野県の「木曽地域どぶろく特区」など、全国にはたくさんの「どぶろく特区」があります。

訪ねる機会があれば、それぞれの特色ある「どぶろく」を味わってみてくださいね。

「どぶろく」のおいしい飲み方

どぶろくの飲み方

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「どぶろく」は、炭酸ガスを含んでいるものも多いので、開栓には気をつけましょう。保管時は瓶を立てて冷やしておきます。開栓する際には一気に開けず、少し開けて閉めるという動作を繰り返して、ちょっとずつガスを抜いてください。

「どぶろく」を飲みなれていない場合、はじめは冷酒で飲んでみるのがおすすめです。冷やすことで飲み口が引き締まり、軽やかさやさわやかさが感じられて、飲みやすくなる傾向があります。

濃厚な「どぶろく」はロックで飲んだり炭酸で割って飲んだりするのもよいでしょう。ロックでは甘味が鮮明に伝わり、炭酸割りではすっきりとした口当たりをたのしめます。

商品によっては燗をすすめている「どぶろく」もあります。温度帯は40度前後のぬる燗がおすすめ。甘味などの味わいがいっそうふくらみます。

「どぶろく」のおすすめ銘柄

「どぶろく」のおすすめ銘柄2種を紹介します。

農事組合法人 宮守川上流生産組合「遠野どぶろく」

岩手県の宮守川上流生産組合が造る「遠野どぶろく」

画像提供:農事組合法人 宮守川上流生産組合

地元・宮守産のお米で醸した、昔から地域で愛されてきた味わいの「どぶろく」。お米の甘味を感じる濃醇タイプの「あまくち」と日本酒ファンにも支持される淡麗タイプの「からくち」、精米歩合50パーセントのお米を使った「吟醸」のほか、「カシスどぶろく」や「生」もラインナップされています。

製造元:農事組合法人 宮守川上流生産組合
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三輪酒造「白川郷(しらかわごう) 純米生『どぶろく仕込み』」

岐阜県の三輪酒造が造る「白川郷 純米生『どぶろく仕込み』」

出典:にごり酒 白川郷倶楽部 三輪酒造オンラインショップ

白川郷の「どぶろく祭り」で供されるものにできるだけ近いものを思い描いて醸された生の「どぶろく」。でき上がったどぶろくを加熱処理せず凍結貯蔵して発酵を落ち着かせる製法を選択。熱を加えていないため「どぶろく」本来の風味が十二分に味わえます。10℃程度で飲むのがおすすめ。濃い味つけの料理に合います。

製造元:株式会社三輪酒造
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ほんのり甘く酸味もある「どぶろく」は、一般に飲みやすい傾向にあります。見た目で敬遠してきた人や日本酒が苦手という人にこそおすすめしたい、お米由来の豊かな味わいが堪能できるお酒なのです。

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