日本酒の基礎「醪(もろみ)」とは? 初心者の方にもわかりやすく解説

日本酒の基礎「醪(もろみ)」とは? 初心者の方にもわかりやすく解説
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日本酒の基礎用語「醪(もろみ)」をわかりやすく解説。醪の意味や造り方、質が日本酒の出来映えに与える影響まで、わかりやすく解説します。

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「醪(もろみ)」とは日本酒の前段階

「醪(もろみ)」とは日本酒の前段階

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「醪(もろみ)」とは日本酒のもととなる液体のこと

「醪(もろみ)」とは、日本酒を造る過程となる状態のひとつで、米、米麹(こうじ)、酒母(しゅぼ)、仕込み水をタンクなどに入れて発酵させた、どろどろの液体を指します。
この醪を搾って濾すと、日本酒の原酒ができあがります。濾さずにそのまま商品化したものが「どぶろく」で、酒税法上では「清酒」、つまり日本酒には分類されません。
ちなみに、日本酒だけでなく、焼酎や醤油造りの過程でも、原料が発酵した状態を醪と呼びます。

醪造りは、まずは蒸し米から

醪を造るため必要な、米や米麹、酒母について説明していきましょう。
醪を仕込むための米は「掛米(かけまい)」とも呼ばれます。精米したあと、糠(ぬか)を取るために洗米(せんまい)し、適量の水を吸わせるため、しばらく浸漬(しんせき)した上で蒸し米にします。米を蒸すには、かつては「甑(こしき)」と呼ばれる大きなせいろが用いられていましたが、近年では蒸米器で蒸すのが一般的です。
こうして造られた蒸す米は、麹や酒母を造る原料としても使われ、さらに、これらと混ぜ合わせて醪を造るのです。

醪の質が、日本酒の質を左右する

醪造りの第二段階が、米麹造りです。米麹は、蒸し米に麹菌を付着させて、菌を増殖させて造ります。この作業は「麹室(こうじむろ)」と呼ばれる温室で、細かい温度管理のもと、菌の育ち具合、香りなどを確認しながら進められます。
蒸し米に含まれるデンプンは、米麹によって糖に分解させます。この糖分をアルコール発酵させるのが酒母の役割です。こうして3週間から1カ月かけて発酵させることで醪となり、この段階で日本酒の味わいが決定づけられます。

「醪(もろみ)」を造る「段仕込み」とは?

「醪(もろみ)」を造る「段仕込み」とは?

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醪(もろみ)造りの基本は「三段仕込み」

醪(もろみ)と、その造り方について、基本的な説明をしてきましたが、ここからはもう少し詳しく解説していきましょう。
醪造りは、増殖させた酒母を入れた容器に、蒸し米と米麹、仕込み水を加えてアルコール発酵させます。これを「仕込み」と呼びます。
日本酒造りでは、発酵にゆっくり時間をかけることが重要です。そのため、材料のすべてを一度に投入するのでなく、蒸し米と米麹、仕込み水は3回に分けて加えていくのが主流です。これを「三段仕込み」と言います。

醪を造る段階それぞれに呼び名がある

醪を造る「三段仕込み」のうち、最初に蒸し米と麹、仕込み水を投入することを「初添え(はつぞえ)」と言います。2回目に加えることは「中添(なかぞえ)」、3回目は「留添(とめぞえ)」と呼ばれます。酒母に急激な変化を与えないよう、徐々に加える量を増やしていくため、それぞれ前回の倍量が基本です。
近年では、より発酵に時間をかけるなどの目的で「四段仕込み」や「五段仕込み」、さらには「十段仕込み」などの日本酒も見かけるようになりました。三段仕込みの日本酒とどう違うのか、飲み比べてみるのも一興です。

「醪(もろみ)」造りの伝統技法「十水(とみず)仕込み」

「醪(もろみ)」造りの伝統技法「十水(とみず)仕込み」

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醪造りには、江戸時代に行われていた伝統技法が

醪について理解が進んできたところで、少しマニアックな醪造りの技法を紹介しましょう。
現在の醪造りは、米10石(約150キログラム)に対し、水1.1~1.2石(約200~220リットル)の割合で仕込みを行うのが一般的です。しかし、江戸時代には、10石の米に対して1石(約180リットル)の水で仕込む「十水(とみず)仕込み」と呼ばれる技法が行われていました。
米に対する水の量が1~2割ほど少ないため、濃厚でコクのある日本酒となりますが、品質のコントロールが難しいうえに、できあがる日本酒の量も少ないため、次第に廃れていったと言われています。

醪の十水仕込みを復活させた蔵元

この「十水仕込み」を現代に復活させたのが、明治5年(1872年)創業の山形県鶴岡市の蔵元、加藤嘉八郎(かとうきはちろう)酒造です。熊本城主・加藤清正(かとうきよまさ)の流れをくむこの蔵元では、十水仕込みの特別純米酒「十水(とみず)」を製造。地元産の飯米「はえぬき」を使った「十水」はコクと酸味のキレのバランスがよく、食中酒にぴったりと知る人ぞ知る銘柄です。

製造元:加糖喜八郎酒造株式会社
公式サイトはこちら

日本酒の醪について解説してきましたが、醪の正体はつかめたでしょうか? 難しいことはさておき、まずは「搾って濾す前の日本酒のもと」と思っておけば簡単ですね。

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