日本酒の「利き酒」って、いったいどうすればよいの?
日本酒の「利き酒」とは、実際に五感を駆使して日本酒の品質を確かめること。目で色を、鼻で香りを、そして舌で味をチェックします。本格的な利き酒では専門知識や経験が求められますが、ここでは利き酒の基本を紹介します。自分好みのお酒を探すのに役立ててください。
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日本酒の利き酒は、そもそも何をしているの?
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利き酒とは、五感を駆使して日本酒の品質を見極めること
利き酒とは、日本酒の品質を人の五感を用いて判定すること。お酒の色、香り、味などを、目と鼻、そして舌でチェックすることを言います。
もともと利き酒は、日本酒の蔵元で出荷前の品質チェックとして行われていたもの。かつて、日本酒に特級や一級、二級といった級別制度があった時代には、その審査にも用いられていました。今でも、日本酒鑑評会などの審査では、多い時には何百本もの日本酒を利き酒して受賞を決定しています。
身近になった日本酒の利き酒
日本酒の利き酒は、蔵元や審査員などプロだけが行うものではありません。お酒好きの間でも、自分の五感だけを頼りに日本酒の銘柄を当てる、遊戯としての利き酒がたのしまれてきました。
最近では、日本酒イベントや飲食店などで「利き酒会」が開かれたり、複数の日本酒を少量ずつ提供する「利き酒セット」が提供されたりといった機会も増えています。
また、日本酒酒造組合中央会が1981年にアマチュア限定の「全国きき酒選手権大会」をスタートさせ、競技として毎年盛り上がりを見せています。
日本酒の利き酒をたのしむためのコツ
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日本酒の利き酒は、まず目から
利き酒は、まず日本酒の色を見ることから始めます。日本酒の色は透明と思われがちですが、銘柄によっては淡く濁ったものや、黄色味や青味がかかったものもあります。
利き酒によく使われる「利き猪口(ちょこ)」と呼ばれるお猪口は、日本酒の色を見るのに適したもの。底に描かれた青の円が日本酒の黄色味を際立たせ、透明度の確認にも効果的だからです。
日本酒の香りを利く
次に香りです。まずは、日本酒に鼻を近づけて、その香りを吸い込みましょう。香りの印象をつかむには、果実や花、植物、乳製品など、身近な香りにたとえると、イメージが明確になり、周囲にも伝えやすくなります。
日本酒の香りは冷やすと感じづらい場合もあるので、冷酒で利き酒する場合は手のひらの熱であたためると、香りが立ち上がって、印象が明確になります。
日本酒の香りをたのしむ、利き酒の上級テクニック
目と鼻で日本酒を利いたら、少量(10ミリリットル前後)を口に含み、今後は口のなかで香りを感じ取りましょう。
ポイントは、舌先で甘味の強弱を確かめたら、息を吸い込んで舌の上で日本酒を転がすようにすること。こうすることで、日本酒の香りが口から鼻に抜け、その銘柄本来の香りをたのしめます。
日本酒の味わいは舌全体で
口から鼻に抜ける香りをたのしんだあとは、日本酒を舌全体にいきわたらせ、甘味や酸味、苦味、味の広がりなどを確認します。
大会などでは、酔って味がわからなくならないよう、ここで吐き出すこともあるようですが、もったいない気もします。個人でたのしむ場合は、日本酒ののどごしも確かめながら飲み干したいものです。
日本酒の利き酒師の資格が人気⁉
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日本酒の利き酒のプロ「唎酒師」とは?
「唎酒師(ききさけし)」とは、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格。日本酒の造りや歴史、テイスティング方法からプロモーションの仕方まで、知識はもちろん、経験をもとにした実践的なノウハウをもつ日本酒提供のプロフェッショナルと言えます。
飲食業や小売業に従事する人を中心に、「唎酒師」の資格保持者が年々増加していますが、最近では「好き」が高じて資格取得をめざす日本酒愛好家も増えているのだとか。
唎酒師の資格が人気の背景
近年の日本酒は、蔵元の世代交代などを背景に、「純米酒」「吟醸酒」などの特定名称酒、原料米違いや造りの違いなど、ラインナップの幅が広がっています。選択肢が増えたのは喜ばしいことですが、一方で、どの日本酒を選べばいいのかわかりづらいという声も聞こえます。
そこで求められるようになったのが、日本酒提供のプロ。最近では、唎酒師がいることが飲食店のウリのひとつになっているほどです。
また、アナウンサーやタレントなど、著名な日本酒愛好家が唎酒師の資格を取得していることも、人気を後押ししているのでしょう。
「唎酒師(ききさけし)」とは、いわば日本酒版のソムリエ
利き酒の基本を紹介してきましたが、いかがでしたか。日本酒を飲み比べることで、それぞれの違いがわかりやすくなり、より日本酒をたのしめます。機会があれば気軽に利き酒にチャレンジしてみてください。