京都の日本酒【蒼空(そうくう)】復活した蔵元が生んだ新時代の酒
「蒼空」の蔵元、藤岡酒造は創業100年の歴史を重ねてきた老舗。一時はその歴史が途絶えたものの、現在の当主が酒造りを復活させた際に、新たに生まれた銘柄が「蒼空」です。小規模生産ゆえに“幻の酒”とも称される「蒼空」は、酒瓶やラベルにもこだわって造られた酒。そんな「蒼空」の魅力を紹介します。
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「蒼空」の蔵元、藤岡酒造の再生への歩み
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「蒼空」の蔵元、藤岡酒造は100年の歴史を持つ老舗
「蒼空」の造り手、藤岡酒造は、明治35年(1902年)に京都市東山区で創業。明治の終わりには“名水の地”として知られる酒処・伏見に拠点を移し、「万長(まんちょう)」を主力銘柄として、地域に根ざした酒造りを続けてきました。
最盛期には年間の酒造量が8千石に達していたとの記録があり、一升瓶に換算すると約80万本ですから、当時の人気がうかがえます。
一度は幕を下ろした「蒼空」蔵元の歴史
藤岡酒造の歴史は、創業100年を迎える寸前の1995年、3代目当主の急死を受けて一旦、幕を閉じます。
蔵の閉鎖に際して、関係者一同が最後の酒を酌み交わした際、その味わいに感動を覚えた若者が、「いつか必ず酒造りを復活させる」と誓ったのだとか。その若者こそ、後に5代目当主となる藤岡正章氏にほかなりません。
「蒼空」は、復活への第一歩を記す酒
その後、各地の蔵元で酒造りの勉強を重ねた藤岡氏は、周囲の協力のもと、2002年に赤レンガ造りの倉庫を酒蔵に改造。念願の酒造りを再開しました。
「藤岡酒造が積み重ねた歴史に恥じない酒を」との想いを込めた醸した酒に、藤岡氏は「蒼空」と名づけました。「蒼空」は、まさに老舗蔵の新たな歴史の第一歩となる銘柄と言えるでしょう。
「蒼空」は新たな歴史を切り開く青空のような酒
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「蒼空」という銘柄に込めた蔵元の想い
「蒼空」という銘柄名には、「よい酒は必ずや天に通じ、人に通じる」という藤岡酒造の家訓とともに、「青空を見上げるとホッとするように、飲んだ人がやさしい気持ちになれるようなお酒を造りたい」という造り手の願いが込められています。
「蒼空」の特徴である、すっきりとしたキレのよい味わいは、その銘柄名に恥じない、青空のような爽快さを感じさせます。
「蒼空」は“幻の酒”とも呼ばれる少量生産の酒
「蒼空」で酒造りを復活させた藤岡氏がめざすのは、すべてに目の行き届いた手造りの酒。米と麹、水だけで造るこだわりの純米酒は、全国の地酒ファンから注目を集めていますが、少量生産のため需要に追いつかず、一部では“幻の酒”とも呼ばれているのだとか。
「蒼空」のこだわりは瓶・ラベルにも
「蒼空」のこだわりは味わいだけではありません。酒瓶は、イタリアのベネチアンガラスによる優美な曲線を描き、独特の存在感があります。内容量も飲み切りサイズの500ミリリットルを基本とし、一升瓶は業務用のみの販売です。
また、ラベルには藍染めした布を使用。瓶からはがせばコースターとしても使える優れ物で、贈り物にも喜ばれます。
「蒼空」をたのしむなら蔵元直営の酒蔵Bar「えん」へ
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「蒼空」が生まれる場所で「蒼空」をいただく
「蒼空」が生まれる場所で、生まれたての「蒼空」を心ゆくまで飲んでもらえたら・・・そんな蔵元の想いから生まれたのが蔵元直営の酒蔵Bar「えん」です。
ここでは、ガラス越しに仕込み蔵を見ながら、ゆったりとお酒をたのしむことができます。
「蒼空」をたのしめる酒蔵Barの多彩な魅力
「蒼空」の酒蔵内に設けられた酒蔵Bar「えん」は、お酒好きはもちろん、そうでない人も含めて、友人同士やカップル、家族連れでたのしめます。
「蒼空」以外にも甘酒や酒まんじゅう、酒粕アイスクリームなどのメニューが用意され、酒造り文化の幅広さが堪能できます。
ほかにも「蒼空」オリジナルグラスや前掛け、酒粕なども販売されていて、ちょっとしたお土産や旅の思い出を買い求めることができます。
藤岡酒造は、「伏見で一番小さな酒蔵」とも呼ばれる小規模な蔵元ながら、丹精込めて醸される「蒼空」は、全国の地酒ファンから高く評価されています。少量生産のため入手は困難ですが、ぜひ一度は味わってほしい1本です。
製造元:藤岡酒造株式会社
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