お酒好きの女性に“ひとり贅沢ハシゴ酒”のススメ ~銀座・日本酒編~
「ハシゴ酒」と聞くと、仕事帰りに変えながら深酒するイメージ・・・いえいえ、それはひと昔前の話。最近は、ひとりで数軒のお店をハシゴしてお酒をたのしむステキな女性が増えています。ひとりの時間をおいしいお酒や料理とともに有意義に過ごしたい女性にお勧めの“ひとりハシゴ酒”。今回は「銀座・日本酒編」。
- 更新日:
オシャレスポット、日比谷ミッドタウン地下からスタート
珍しく午後の早い時間に仕事が終わった某日。このところ忙しく、ゆっくり自分の時間を持てず若干お疲れ気味。「たまには仕事を忘れてのんびり過ごそう」と、ミッドタウン日比谷のTOHOシネマズへ。
タイミングよく観られた新作映画の余韻に浸りながら向かった先は、同じ建物の地下1階にある「住吉酒販」。日本酒やワインを販売する酒屋さんですが、店内に角打ち(立飲み)のコーナーがあり、気軽にお酒をたのしめるお店なのです。
店構えは酒屋さんですが、店内の右奥に角打ちコーナーが。
全国の選りすぐりの日本酒が並ぶ様子が気になりつつ・・・まずはビールから(笑)。
なぜなら、こちらのお店限定の宮崎「ひでじビール」謹製“住吉IPA”が、とってもおいしいのです!
個性的でクリアな味わい。ここでしか飲めないビールです。
爽やかなホップの香りを感じつつキレのある味わい。喉越しの清涼感にテンションが上がり、「今夜はおいしいお酒をたっぷりと味わうぞ」と、気合が入る(笑)。
さて、おつまみ。なんとこちらのお店では、その日の日付が記載された映画やお芝居のチケットを見せると、一品サービスが。
先ほど観てきた映画のチケットで「寄せガメ煮」をいただく。福岡の郷土料理、ガメ煮を寒天でよせたおつまみで、福岡に本店がある住吉酒販らしい一品。
そして「住吉ポテサラ」をオーダー。こちらは住吉IPAに合う味付けで、「インカのめざめ」のほっこりとした食感とトッピングのカカオニブがなんとも絶妙。
あっという間にビアグラスが空に(笑)。
福岡の郷土料理「ガメ煮」の寒天よせと、「住吉ポテサラ」。
どちらも塩を程よく使用し、お酒が主役になるように整えられた味付け。
続いて日本酒へ。四種類のお酒を飲み比べできる「イロハニ枡」をお願いしたところ、店長の早乙女さんがモダン、クラシックタイプの日本酒をそれぞれ2種類ずつセレクト。
各面に「イロハニ」と書かれた枡を回しながら飲み比べ。
う~ん、さすがのチョイス。飲みながらつい味わいの素晴らしさを早乙女さんに語ってしまう(笑)。
この日はモダンタイプ「6513(福岡)」「澤屋まつもと(京都)」クラシックタイプ「鷹来屋(大分)」「惣誉(栃木)」の4種類。
すると隣で、同じくひとりで来ていた素敵な女性が「ハタに合うお酒をお願い」と一言。
メニューに目を向けると、本日の鮮魚「まはた」とある。つられてこちらもオーダー(笑)。
長崎の五島列島直送で、日本でも数人しかできない高度な技術で下処理をされたハタのカルパッチョ。
鮮度のよさが見た目でわかるほど美しい。
“放血神経じめ”によって血抜きが完璧に行われ、きれいな旨味を感じる味わい。
空腹も満たされ、そろそろ立飲みの足も疲れてきたのでお会計をすることに。
こちらのお店は先に金券代わりに花札を15枚渡され、残った枚数でお会計をするシステム。
渡された花札の中に「当たり」の札があれば一品サービスだそう!
店長の早乙女さんと弘中さん。気さくに話しができるお二人です。
相席のお客さんとの会話も弾んだので名残惜しさを感じつつ、皆さんに別れを告げて店を後に。
ビールと日本酒で酔いスタートを切ったその足で2軒目へ・・・。
住吉酒販 東京ミッドタウン日比谷店
http://sumiyoshi-sake.jp/shop_hibiya
銀座の焼き鳥店にてカウンターで串をいただく
ミッドタウン日比谷から5分程歩いて到着したのは銀座6丁目のビル内にある「銀座 鳥幸」。
ジャズが流れるしっとりと落ち着いた店内には大きなコの字型のカウンターがあり、そちらに通され着席。
アラカルトメニューのほか、前菜やサラダと串焼のコースが松竹梅で3種類あり、一番ライトな梅コースをオーダー。
女性がひとりでも気楽に入れる雰囲気の店内。
店内にセラーもあり、ワインのラインナップが豊富なことで有名なお店ですが、この日は一軒目からの流れで日本酒の気分(笑)。
南部美人の純米吟醸をセレクト。
岩手・南部美人の純米吟醸。大き目のワイングラスに1合分(180m)が。
お通しに続いて、運ばれたコースの前菜とサラダ。
合鴨ロース、茄子の煮びたし、冬瓜の甘辛煮。日本酒とよく合いました。
カウンター席の目の前で串が焼かれ始めると、芳ばしい良い香りが。
食欲を掻き立てられる禁断の香りに包まれながら、料理長の古田さんの所作にしばし見入ってしまいます(笑)。
串に塩を振る姿が美しい。
まずは「せせり」から。「首まわりの肉なので、餌を食べるときによく動かす部位なんですよ」と、古田さん。
そして、「塩加減、焼き加減は大丈夫ですか?」と確認が。お気遣い、うれしいです。
プリッとした食感と旨味がおいしい「せせり」からスタート。
「丸ハツ」「伊達鶏の葱間」「ぎんなん」と続いて、「レバーパテ」。
白レバーに近い部分の上質のレバーを使用しているそうで、臭みなどがなくとても上品な味わい。
焼き物が続いたところでの冷製のおつまみの登場はうれしい一品。
続いて、「こころのこり」。ハツとレバーの間の希少部位だそうで絶妙な弾力。
醤油だれで焼かれ、脂身と旨味が芳ばしい「こころのこり」。
「口の中のヤケドに注意してください」とトマト焼。そして、胸肉のような食感の「ふりそで」が出て、コース終了。
カウンター越しに古田さんとの会話をたのしみながら焼き鳥をゆっくり味わいました。
焼き鳥歴15年という料理長の古田さん。お肉の部位について分かりやすく解説してくれました。
お酒は最初に頼んだ南部美人の1合のグラスがちょうど空いて良い感じ。
え?「そんなに飲まないのね」って??いえいえ、夜はまだまだ長いのです・・・(笑)。
銀座 鳥幸
https://ginza-toriko.com/
〆にはやっぱり麺。お蕎麦でヘルシーに。
焼き鳥のコースをいただいてお腹がいっぱいになったけど、〆に何か“スルスルッ”といただきたい気分。
カロリーが気になるお年頃としては、やっぱりラーメンではなくヘルシーなお蕎麦を(笑)。
「銀座 鳥幸」から5分程歩いて銀座の中央通りへ。時刻はもうすぐ19時。サラリーマンやOLがちょうど退社時刻を迎えて帰宅を急ぐ流れに逆らい、お店を目指す。
この時間にすでにビールと日本酒で出来上がりつつある自分に「これは仕事のための立派な気分転換」と言い聞かせ(笑)、ビルの中へ。
エレベーターが開くと目の前に暖簾。店内に入ると長いL字のカウンター。廊下に沿って個室もあるようですが、カウンター席へ。
シックで落ち着いた雰囲気の店内。カウンター席の向こうは厨房。
さて、お蕎麦の前に「ちょっと軽くおつまみでも」と思ったところ、メニューに「蕎麦屋の一品料理」が。
そこで、「国産粒そば入り焼味噌」をオーダー。お酒は「くどき上手 ばくれん」を。
赤味噌を蕎麦つゆでのばして焼いた蕎麦味噌。日本酒とバッチリ。
きゅうりに焼味噌をつけてポリポリ食べながら、キレ味のよい日本酒をキュッと味わうのがなんともたまらない。
手が止まらなくなっていると、カウンター席の並びに数人のお客さんが。
スパンコールが輝くドレスを着た美しい女性。これからお仕事らしく、腹ごしらえに、ひとり黙々とお蕎麦を食べている。
一方、年配の男性と若い女性の二人連れは、仕事論を語り合い・・・というより、女性が一方的に仕事のグチを吐き出し、男性はおつまみを食べる手を止めず聞き役(笑)。
都会のど真ん中のお蕎麦屋さんで、たまたま居合わせたお客さんにさまざまな人生模様を垣間見させてもらいながら、蕎麦を待ちつつ日本酒を飲む・・・。
山形 亀の井酒造の「ばくれん」。 キレのよい超辛口の吟醸酒。
さて、オーダーしたのは、「凛そば」。そばの実の中心部だけを挽いた一番粉を使用した純白のお蕎麦。
店内の石臼で、朝、挽いたばかりのお蕎麦。かえし(つゆ)は、ほんのり甘くてマイルドな味わい。
蕎麦の実は北海道の瀬棚町産。「凛そば」は女性に人気だそう。
喉越しが素晴らしく、あっという間に完食。すると、店長の橋本さんが蕎麦湯を運んできてくれた。
「うちの蕎麦湯はとても人気なんですよ。茹で汁ではなく、蕎麦粉でつくっているので、味がおいしいと評判なんです」。
とても滑らかでやさしい味の蕎麦湯。
店長の橋本さん。「蕎麦の実と同じく僕も北海道出身です(笑)」。
蕎麦湯の温もりと味わいにほっこりと癒され、橋本さんに見送られて店を後に。
さて、最後は素敵なBARで締めくくりますか。
松玄 凛
https://www.takewaka.co.jp/matugen/index.php
“和の空間”でしっとりと味わう絶品のカクテル
先ほどの「銀座 鳥幸」の近くまで戻り、ビルの一階でそっとあかりを灯す「橋」と書かれた看板を目印に地下のバーへ。
橋の形をした素敵な看板。
店の名は「BAR 橋」。店内は白い壁と木に包まれ、どことなく茶室を思わせる雰囲気。
美しい女性がおひとりでカクテルを飲んでいて、その姿がまるで映画のワンシーンのよう・・・。
長い一枚板のカウンターは国産のヒバの木のもの。
カウンターを橋に見立てており、両側の壁でカウンターを支えている特殊な構造だそう。
最後はスッキリとしたカクテルで締めようと、お店の太田さんにお任せしたところ、色鮮やかなミントがたっぷりの「モヒート」が。
江戸川区にあるハーブ園の契約栽培のミントをたっぷり使用。
グラスが差し出された瞬間、フワッと届いたミントの香りが身体の奥深くにまでスーッと入っていく。
清々しく爽やかな飲み口で、生き生きとしたミントに生命力を分けてもらえたような、今までに味わったことのない味に感動・・・。
「ほとんどのお客様が、まず一杯目にモヒートを頼まれますね。」と、大番頭の太田さん。
お酒をつくる所作がとても美しい・・・。
おつまみのメニューも充実。「熱々マカダ実アンナッツ」をオーダーしたところ、炒りたてのナッツが。
文字通り、熱々のナッツ。香ばしさがたまらない。
モヒートに感激し、一杯だけのつもりがもう一杯・・・。
続いてもおすすめをオーダーしたところ、抹茶を使用したカクテル「利休」が。渋めの抹茶味と思いきや、柑橘の酸味がアクセントの爽やかな味。
見た目と味わいの違いに驚きのおいしいカクテル。お店の雰囲気にとても合っていました。
“人と人を繋ぎ、BARの文化を繋ぐ架け橋に”との思いで命名された「BAR橋」。
女性がひとりで行くBARは、お店選びが難しい部分もあるけれど、こちらは安心して行けるお店。
オーナーが海外で購入してきたというグラスのコレクション。
並ぶグラスを眺めながら飲むお酒もおいしい。
BAR 橋
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13038842/
ほかのお客様との話も思いがけず盛り上がり、たのしいひと時を過ごして店を後に。
ほろ酔い気分で歩きながら、今日一日の充実したハシゴ酒を振り返る。
たくさん飲んだお酒は、明日からの活力になることを確信。
「よし、明日からも頑張るぞ・・・!」
女ひとりの気ままなハシゴ酒、“酔いリフレッシュ”になるのでおすすめです。
でも・・・
こんなにひとりでハシゴ酒する女性ってあまりいないでしょうか・・・(苦笑)
【お酒好きの女性に“ひとり贅沢ハシゴ酒”のススメ ~恵比寿編~】はこちら
ライタープロフィール
阿部ちあき
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター