アンテナショップでちょい呑みがブーム! ~日本橋編~

アンテナショップでちょい呑みがブーム! ~日本橋編~

ここ最近、店内にバーカウンターを設置したアンテナショップが増えています。スタイリッシュなバーのような雰囲気で、地域の地酒が豊富に揃い、おつまみメニューには地元で親しまれている珍味やソウルフードが。地酒ファンの秘かな人気スポットとして話題を呼んでいるアンテナショップを2回にわたって紹介します。まずは「日本橋編」です。

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ラグジュアリーな雰囲気溢れるアンテナショップ「日本橋とやま館」

「富」の字をモチーフとした金色に輝くロゴマークが目印の外観。

富山県産の木材をふんだんに使用した空間演出

商品が見やすく陳列され、歩きやすく落ち着いた店内。

日本橋三越本店の真向かいに位置する、富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」。
オシャレなインテリアショップのような外観で、一般的なアンテナショップのイメージとは少し違った格調の高い佇まい。
「上質な暮らしを、富山から。」をコンセプトに、富山ならではの水産・農産加工食品や、伝統工芸品を販売するショップフロアのほか、観光交流サロン、和食レストラン、
バーラウンジが併設され、富山の上質を買い、味わい、体感できます。

館内に入ると、立山杉を使用し、立山連峰の稜線をイメージしてつくられた格子の大壁面が迎えてくれるなど、内装には富山県産の木材や伝統工芸品が使用され、また、”ものづくり”が盛んな富山県で創作された作品も展示し、一体的な空間の演出も。大きな声で呼び込みをする店員がいる賑やかなアンテナショップとは一線を画した雰囲気です。

「空間デザイナーにトータルコーディネートをお願いし、
訪れた方がゆっくりと富山の日常をたのしめる雰囲気を大切にしました」と語る荻浦明希子館長。

静かなカウンターで富山の地酒を

大きな杉玉が飾られ、立山杉でつくられた一枚板のカウンターテーブルの「トヤマバー」。

長い一枚の木のカウンターが目を引くバーラウンジは、富山県の地酒とおつまみを味わえるしっとりと落ち着いた雰囲気の日本酒バーが違和感なく店内に存在し、暖簾をくぐることなく、スッと気軽に席に座ってたのしめます。

県内の17の酒蔵の日本酒を常時取り揃え、グラス1杯(90ml)から味わえますが、人気は3種類のお酒を30mlずつ味わえる「富山の銘酒の飲み比べ」のセット。ボトルが並んでいる棚から3つのお酒を選び、セレクトカードをカウンターで渡してオーダーします。
ボトルを手に取ってラベルを読むこともできるので、自分の好きなタイプのお酒をじっくりと選べるたのしみが。また、おつまみは、地元で親しまれている、お酒に合うおつまみが揃っています。

それぞれのお酒の解説が書かれたセレクトカード。
お酒はショップで購入が可能なものもあるので、気に入ったお酒を帰りに購入される方も。

富山の地酒とおつまみを味わう

3種類のお酒の飲み比べセットとおつまみ。
おつまみは左から「五箇山豆腐の麹味噌漬け」「ほたるいか三種盛」「赤カブの漬物」。

今回は、本江酒造「北洋(ほくよう) 吟醸袋吊生原酒」、成政酒造「純米酒 純」、福鶴酒造「ふくく 生酛純米大吟醸」の3種類をチョイス。おつまみは、「五箇山豆腐の麹味噌漬け」「ほたるいか三種盛」「赤カブの漬物」。
ほたるいかは、沖漬、麹漬、醤油麹漬の3種類。お酒のおつまみとして文句なしの相性を誇るほたるいかは、どのお酒ともバッチリ。豆腐の麹味噌漬けは、「純米酒 純」と合わせると、麹と味噌の旨味がお酒の味と一つになりボリューム感が。カブのお漬物は「ふくく 生酛純米大吟醸」のやわらかさと余韻ある飲み口と合いました。

利用者は、平日は会社帰りの方が多く、土日は家族連れやカップルが来店されるそう。
富山から蔵元が来館してバーカウンターに立ち、お客様と交流されるイベントも開催されているとか。
静かに時間が流れ、アンテナショップであることを忘れてしまいそうな「トヤマバー」で、富山県の地酒をゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。

名水の里として知られる富山県のお酒は、清らかで淡麗な飲み口が特長。
各酒蔵のお酒を飲み比べて、好みの一本を探してみては。

日本橋とやま館
https://toyamakan.jp/
バーラウンジ営業時間 11:00~21:00

“ここからひろがる滋賀のストーリー”「ここ滋賀」

多くの人が行き交う日本橋交差点角にあり、連日オープン時から賑わう「ここ滋賀」。
路面の窓口ではおむすびやソフトクリームのテイクアウトも。

さまざまな滋賀の魅力が伝わるアンテナショップ

豊かな自然や食材、歴史などで知られる滋賀県のアンテナショップとして2017年にオープンした「ここ滋賀」。オフィス街の一角のガラス張りの建物は、オシャレな外観でどことなく和の雰囲気が漂う施設。
1階のマーケットには、滋賀県産の旬の食材や加工食品、信楽焼や織物など地場産品を豊富に揃え、2階には豊かな滋賀の味を堪能できるレストランがあり滋賀県の魅力を発信しています。

入口すぐ右手にあるのが、滋賀県酒造組合の協力のもと、加盟している33の酒蔵の日本酒をたのしめる「SHIGA‘s BAR」。カウンター席でお猪口1杯から気軽に味わえるとあって、滋賀県のお酒のファンが足繁く通う人気のバーです。

6席のカウンターバー。「ちょっと呑み」をたのしむのにピッタリな雰囲気。

造り手の顔が見える「SHIGA‘s BAR」

蔵元の特長をとらえた似顔絵が描かれたシートマップ。
「どんな方が造ったお酒なのかイメージしやすい」と評判だそう。

席に着くと、お店から渡されるのが、滋賀県の地図の中に、33の酒蔵の位置と蔵元の似顔絵が描かれた「SAKE BREWERY MAP IN SHIGA」。「滋賀のお酒は蔵元の魅力がそのままおいしい味に表現されているので、蔵元のお人柄や取組みも含めて皆さんに知ってもらいたいと思い始めました」と語るのは、支配人の竹岡真彦さん。飲んだお酒の蔵元に判を押してもらい、すべての酒蔵を制覇したかチェックができるシートですが、希望される方にはお店で保管を行うそう。オープン時から始め、現在は500枚以上をキープし、中には2~3巡目の方もいらっしゃるとか。

「滋賀のお酒は旨味ののった味わい深いものが多く、全国のお酒を味わった日本酒ファンが最後に辿りつくともいわれています。酒蔵と直接やりとりをしていることから、お客様との会話の中で、蔵元から届く“お酒がおいしくなるような旬の情報”をお伝えできるのも喜ばれています」(竹岡支配人)。

きき酒師、ソムリエの資格を持つ竹岡支配人。
お酒や食文化についての造詣が深く、分かりやすく解説してくれます。
「お酒も食材も、滋賀の生産者さんは皆さんとても魅力的。そのよさをお伝えしていきたいです」。

シートマップをお店に預けている常連のお客様。
この日も2巡目のシートに4カ所判を押してもらっていました。

個性際立つ美酒と、名物の「鮒ずし」を

好きな組み合わせでたのしめる「4種飲み比べセット」は1,000円(税込)。
1つには45ml注がれています。

滋賀県は琵琶湖を中心に、1府3県と隣接し、地域ごとに、水系や食文化の違いを生かした個性のあるお酒を造っています。この日は平井商店「浅芽生」、松瀬酒造「松の司」、冨田酒造「七本槍 純米」、福井弥平商店「雨垂れ石を穿つ」を、滋賀県を代表する酒肴「鮒ずし」と共に味わいました。

各酒蔵の取り組みや地域の様子について、竹岡さんにお聞きしながらお酒を飲むと、味わいもひとしお。滋賀県をぐっと身近に感じ、親近感が増します。

バーの営業時間は夜11時まで。飲み会の後、帰宅前におひとりで来られる方も多いそう。
滋味深く、蔵元の人柄が伝わる滋賀のお酒をしっぽりと味わうのも素敵ですね。

“お酒のアテ”にピッタリな鮒ずしは、店内のマーケットでも購入ができます。

ここ滋賀
https://cocoshiga.jp/
「SHIGA'S BAR」営業時間
    月~土 10:00~23:00
    日・祝 10:00~21:00

日本橋との縁は江戸時代から「日本橋 長崎館」

お店の前のブースでもさまざまな展示販売会などが開催され、連日多くの人が訪れています。

食品やお酒、工芸品や新鮮な魚介まで

江戸時代の鎖国政策下、長崎のオランダ商館の館長が参府した際、定宿にしていた薬種問屋「長崎屋」があったことから、日本橋は長崎県にとってゆかりのある地。そんな縁もあり、3年前にアンテナショップ「日本橋 長崎館」がオープン。
店内では、県内の農畜水産物や加工食品、お酒、工芸品や書籍、雑貨類等の販売のほか、イベントスペースでは、連日さまざまな催しが開かれ賑わっています。

売り場には長崎県内で製造された、焼酎や日本酒、ワインがずらり。中には県内でしか買えないものも。

軽飲食ゾーンでは、L字型のカウンター席で、カステラなどのお菓子やおつまみ、ちゃんぽんやトルコライスなどの食事やお酒を味わえることから、ランチやカフェ、バーとして、さまざまなスタイルで長崎のグルメをたのしめます。

お食事からちょい呑みまでたのしめるカウンター席。

麦焼酎発祥の地・壱岐のお酒と長崎名物“かんぼこ”

スタンダード焼酎は1杯500円。
ロックや水割り、お湯割りなど、好きな飲み方でたのしめます。

長崎県の壱岐島といえば、麦焼酎発祥の地。「壱岐焼酎」は、WTO(世界貿易機関)の地理的表示が認められ、国際的にブランドが保護されていて、現在、島内の7つの酒蔵で造られています。

今回は、玄海酒造の「壱岐スーパーゴールド22」をオーダー。お店での人気の飲み方はロックとのこと。
ホワイトオーク樽で貯蔵されたことで、華やかでふくよかな香りとまろやかなコクを感じ、余韻をゆっくりとたのしめました。

合わせたおつまみは、「かんぼこの盛り合わせ」。長崎ではかまぼこを「かんぼこ」と呼び、多種多様な魚介が獲れる長崎ならではの名物。
さまざまな味わいの商品があるので、ほぼ毎日組み合わせを変えているそうです。

長崎のかまぼこは新鮮でおいしいと評判。
大きな「長崎ちくわ」はソウルフード。

“ママさん”が長崎弁でおもてなし

『お客様が帰る時には「また来るけんね」「まっとるけんね」の会話が合言葉のよう』と話す井手さん。

カウンターで迎えてくれるのは、お客様から“ママさん”と親しまれている長崎県出身の井手智章さん。
「地元出身のお客様とは長崎弁で盛り上がります。長く故郷を離れている年配の方たちが『なつかしかー』といっているのを聞くと、やっぱり長崎が恋しいのかなと思いますね。ここは東京の長崎です(笑)」。

週に一度は通う常連客も多く、また、飲み会の前の“0次会”で利用される方も。
「最近はアンテナショップ巡りをされるお客様も多く来られます。長崎をあまり知らない方にも気軽に来ていただきたいですね」。
居心地のよいカウンターで、ママさんと長崎話をしながら味わう一杯は仕事の疲れも吹き飛びそうです。

「長崎の芋焼酎もおいしいんですよ」と井手さん。
五島列島酒造の「五島芋」はクセがなく上品で飲みやすい味です。

日本橋 長崎館
https://www.nagasakikan.jp/index.html
営業時間 10:00~20:00

以上、カウンターでお酒をたのしめる日本橋のアンテナショップを3軒ご紹介しました。
どのお店も地元の素晴らしさが伝わる素敵なお店でした。

次回は表参道・銀座のアンテナショップをご紹介します。





ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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