ウイスキーのエイジングを知って、ウイスキーをより深くたのしもう
ウイスキーで「エイジング」と言えば「熟成」を意味します。蒸溜されたウイスキー原酒は、樽のなかで長期にわたる熟成を経て、初めて琥珀(こはく)色のウイスキーへと生まれ変わります。エイジングと深い関係にあるラベルの年数表記も含め、ウイスキーのエイジングについて考えてみましょう。
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ウイスキーのエイジングについて知ろう!
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エイジングを知る前に、まずはウイスキーの製造法をおさらい
ウイスキー造りにおいて「エイジング(熟成)」は欠かすことのできない重要なもの。エイジングについて知るために、まずはウイスキーの製造工程について簡単に説明しましょう。
モルトウイスキーができるまでの工程は、大まかに言えば、製麦→糖化→発酵→蒸溜→熟成→瓶詰と進んでいきます。
ここからわかるように、ウイスキーは麦芽を原料とした蒸留酒に分類されます。蒸溜した原酒を樽に詰めてじっくりと熟成(エイジング)させることで、初めてウイスキーとして世に出るのです。
ウイスキーの熟成(エイジング)のメカニズム
ウイスキー好きなら「樽が呼吸する」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
ウイスキーの原酒を木樽に詰めて熟成させると、原酒の揮発成分(アルコール)が樽の外へ、外部の空気が樽内へと入ります。
これを繰り返すことで、酸化による熟成や、アルコールと芳香成分が反応する「エステル化」が進み、複雑で味わい深いウイスキーへと変身していくのです。加えて、樽材の成分(タンニンなど)がウイスキーの原酒に溶け出し、ウイスキー独特の琥珀(こはく)色が生まれるのです。
エイジングとともに生じる「天使の分け前」とは
樽のなかで長い熟成期間を経るあいだに、ウイスキーの原酒は少しずつ目減りしてゆきます。
ウイスキーの造り手たちは、この目減り分を「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼び、昔から「天使が飲んだ分だけウイスキーがおいしくなる」と語ってきました。
どの程度目減りするかは、天候や保管場所の条件などによって変わります。たとえば、ウイスキーの本場・スコットランドでは平均して年間2〜3パーセントだそうです。
ウイスキーのエイジングを示す年数表記
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ウイスキーの年数表記はエイジング期間を示したもの
ウイスキーには、「●●12年」「△△18年」など、年数表記のある銘柄が数多く見られます。この年数は、そのウイスキーの熟成(エイジング)期間を示したものだということは、ウイスキー好きなら知らない人はいないでしょう。
数字が大きいものほどエイジングの期間が長く、熟成が進んでまろやかな味わいになります。また、それだけ手間もかかっていて、数も少ないだけに、高額になりがちです。
ウイスキーの年数表記が、そのままエイジング期間ではない
とはいえ、エイジング期間と年数表記の関係は単純なものではなく、「●●12年」と表記されたウイスキーが12年熟成されたもの、とばかりは言えません。
複数のウイスキー原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーはもちろん、同一の蒸溜所の原酒から造るシングルモルトウイスキーでも、エイジング期間のことなる原酒をブレンドしていることが多いからです(もちろん、同じ樽から取れるシングルカスクは例外)。
「●●12年」とは、「最低でも12年以上熟成させた原酒を使用している」という意味で、12年ものと20年もの、さらには30年ものをブレンドした場合でも、「●●12年」と表記されているのです。
エイジング期間を表記していない「ノンエイジウイスキー」とは?
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「ノンエイジウイスキー」は年数表記のないウイスキー
ウイスキーの「ノンエイジ」とは、「●●12年」といった年数表記がない銘柄のこと。
エイジング期間にこだわらず、蒸溜から間がない若い原酒から、しっかり熟成された原酒まで、幅広い原酒を組み合わせて生まれるウイスキーです。
この幅広い選択肢が、ブレンダーにとっての新しい挑戦を生み出すと同時に、新しいファンの獲得にも貢献しています。
エイジングにこだわらず、世代を超えて最良のブレンドを追求
「長期熟成されたウイスキー=高級品」という認識が浸透していることから、「ノンエイジングは普及品」というイメージもあるようですが、これはまったくの誤解です。
エイジングという枠を外すことで、ブレンディングの自由度が高まり、ブレンダーは世代を超えて最良の原酒の組み合わせを追求できるようになります。
その意味では、ノンエイジウイスキーこそ、ブレンダーの技術やこだわりが反映されたウイスキーと言えるでしょう。
ウイスキーのエイジングについてみてきました。エイジング、すなわち熟成期間の長さは、ウイスキーの味わいや価値を判断する重要な基準ですが、一方で、エイジングを表記しないノンエイジングならではの魅力もあります。エイジングを知って、より深くウイスキーをたのしんでみましょう。