静岡の日本酒【正雪(しょうせつ)】名杜氏の技術で造るまろやかな酒

静岡の日本酒【正雪(しょうせつ)】名杜氏の技術で造るまろやかな酒
出典 : 神沢川酒造場サイト

「正雪」は、静岡県の地酒に特有の香りや旨味を存分に引き出した、軽やかでまろやかな味わいが魅力の日本酒。全国的に人気の高いこの銘柄は、“現代の名工”と称された名杜氏の技が活きています。今回は、そんな「正雪」の奥深い魅力にせまります。

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「正雪」の魅力はまるくて軽やかな口当たり

「正雪」の魅力はまるくて軽やかな口当たり

出典:神沢川酒造場サイト

「正雪」を造るのは、かつて東海道五十三次で16番目の宿場町だった「由比」に蔵を構える、神沢川(かんざわがわ)酒造場です。その創業は、大正元年(1912年)。林業と養蚕業を営んでいた創業者・望月金蔵氏が、息子の由松(よしまつ)氏とともに、日本酒に合う水を探し求めてたどり着いた神沢川沿いで酒造りを開始したのが起源とされています。

酒造りの発端となった神沢川の水は、傾斜の激しい山から一気に下りてくるため、土壌のミネラル分をほとんど含まない純度の高い軟水。混じりけがないということは、ごまかしもききません。この水の特性を理解した神沢川酒造場の杜氏や蔵人たちが、試行錯誤のすえに生み出した日本酒こそが、この蔵を代表する銘柄「正雪」なのです。

美しい響きの「正雪」という名は、江戸初期に由比で生まれた兵法家、由比正雪にちなみます。
「正雪」は、さわやかで品位のある香りと甘、辛、苦、渋、酸の五味がひとつに調和した、まるく軽やかな味わいが魅力。やや辛口ながら、米の甘味がしっかりと感じられるうえ、飽きのない飲み口のため、食事にもよく合うと評判の日本酒です。

「正雪」を全国に知らしめたのは南部杜氏の重鎮

「正雪」を全国に知らしめたのは南部杜氏の重鎮

出典:神沢川酒造場サイト

「正雪」は、いまや全国区の人気を誇る日本酒ですが、そこまでの銘柄に育て上げたのが、名杜氏といわれる山影純悦氏です。山影氏は最大級の杜氏集団である南部杜氏の一人で、1982年に神沢川酒造場に蔵入りして以来、2017年まで30年以上にわたり、「正雪」の品質向上に取り組んできました。

神沢川酒造場5代目当主の望月正隆氏も「神沢川の水と由比の気候に合わせ、手間を惜しまず、酒造りにおけるすべてに対し繊細に対処する人でした」と、山影氏の杜氏としての姿勢を称えています。2013年に厚生労働省が選ぶ「現代の名工」として表彰され、日本酒造りの歴史にその名を刻んだことからも、山影氏の実績が分かるというものです。

山影氏は2017年に現役を退きましたが、今も「正雪」をはじめとした神沢川酒造場の酒造りには、山影氏の技と姿勢が、しっかりと受け継がれています。

「正雪」純米辛口は魚料理によく合い地元で愛される酒

「正雪」純米辛口は魚料理によく合い地元で愛される酒

taa22 /Shutterstock.com

「正雪」の蔵元、神沢川酒造場がある静岡市清水区由比は、背後に山を抱えつつ、駿河湾に面した海の町です。
駿河湾といえば、桜えびやしらす、まぐろやかつおなどの海の幸が有名ですが、やや辛口でフレッシュな香りと軽やかな口当たりの正雪は、こうした魚料理との相性が抜群。静岡の飲食店では定番銘柄になっている日本酒のひとつです。

神沢川酒造場の4代目当主がめざしていた日本酒は「飲み飽きせず、盃のすすむ酒」でした。2006年に就任した5代目当主望月氏は、その先代の目標を基本としながら、「料理とのマッチングにこだわらず、自分に合ったスタイルや好みで選んでもらえれば」とも語っています。既存の型にはまるのでなく、自由にお酒を飲むたのしさを教えてくれているお酒こそ、「正雪」の理想のあり方だといえるでしょう。

手間を惜しまず、伝統を重んじながら実直に造られる「正雪」は、多くの地酒ファンに愛され続けている日本酒です。そのごまかしのないきれいな味わいを、ぜひおたのしみください。

製造元:株式会社神沢川酒造場
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