「緑川(みどりかわ)」売り方も妥協しない新潟の地酒【新潟の日本酒】《SAKE DIPLOMA監修》

「緑川(みどりかわ)」売り方も妥協しない新潟の地酒【新潟の日本酒】《SAKE DIPLOMA監修》
出典 : Nishihama/ Shutterstock.com

「緑川」は、国内有数のコシヒカリの産地である新潟県魚沼の日本酒です。良質の水と米で作られた緑川は、淡麗でコクのある味わいが人気で、新潟を代表する地酒として、全国的な知名度を獲得。そんな緑川の魅力について紹介します。

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「緑川」が対面販売にこだわる理由

「緑川」が対面販売にこだわる理由

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「緑川」の蔵元である緑川酒造は、明治17年(1884年)にかつて新潟県北魚沼にあった小出市に創業したのち、1990年に現在の本社所在地である南魚沼に移転しました。

緑川酒造は、これまで公式サイトをもたず、またネット販売にも頼らず、信頼のおける特約店にのみ商品の流通を託すという営業スタンスを貫いています。その特約店にも、販売形式はネット通販ではなく、電話申し込みや対面販売を推奨しています。

インターネットが普及した今の時代でも、なぜ、ネット販売を行わないのか。その理由は「緑川を本当に気に入ってくれる人に託したい」という蔵元の思いにあります。社長と営業部員の2人から始まった緑川酒造の名が全国へ知れわたった今もなお、「酒を愛してくれる人に届けたい」という創業以来の方針に変わりはありません。

「緑川」は香りも味もすっきりと上品

「緑川」は香りも味もすっきりと上品

Nishihama/ Shutterstock.com

「緑川」は、控えめな味わいに軽い飲み口、寝かせても重くならず、食事の際に「つい飲んでしまう」と感じられる酒。そうした魅力を支えているのが、厳選された原料と低温熟成です。

緑川の原料米「北陸12号」は、古い歴史をもつものの、一時は生産が途絶えていた米。その日本酒造りに適した特性に注目した先代の蔵元が、地域の農家と復活させたものです。
また、使用している水は、敷地内の地下水から汲み上げられた鉄分やミネラルが豊富な軟水。現在の場所に蔵を移転したのも、日本酒造りのための良質な水の確保を確保するためだったとか。

緑川が造られる酒蔵は、保存温度が普通より10度も低い環境で管理されています。低温でじっくりと寝かせた日本酒は、熟成までに時間がかかりますが、香りの劣化も少なく、味もよりまろやかに。味と香りのバランスが取れたきめの細かい上品な日本酒ができあがります。

まだ温度管理設備が整っていなかった時代、緑川酒造では、冬には雪蔵を使った「雪中貯蔵」も試したそうです。熟成と鮮度を両立させた酒造りは、蔵元の技術の向上と、設備の改善に注力してきた結果といえるでしょう。

「緑川」の酒蔵は清潔第一で美しい

「緑川」の酒蔵は清潔第一で美しい

santypan / Shutterstock.com

「緑川」を造る酒蔵では、衛生管理が徹底され、常に清潔に保たれています。酒造りの世界では、よく「酒造りの半分は洗い物と掃除」といわれていますが、緑川酒造の徹底ぶりは、一般的なレベルを超えています。

足元から壁までスッキリと片づけられ、道具をしまっている配置図まで用意しているほど。さらに、定期的に専門家による整理整頓のチェックやアドバイスを受けているのだとか。

「酒蔵は清潔第一」とはいえ、ここまで清潔な環境をキープできるのは、理想の日本酒造りへの強い思いがあるからこそ。
そんな高潔な姿勢は、緑川酒造社屋の凜とした佇まいからもうかがえます。
「緑川」を飲んだときに感じられる、思わず背筋が伸びるような気持ちは、こうした造り手の精神が伝わってくるからでしょう。

魚沼の豊富な水と米で造られる日本酒「緑川」は、低温管理による熟成や、徹底した衛生管理など、日本酒造りの理想をカタチにした1本。シーズンを通して品質が安定しているため、どの季節に飲んでも上品な味をたのしめます。

製造元:緑川酒造株式会社
公式サイトはありません

監修者

工藤貴祥

工藤貴祥

(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。

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