マッカランが「シングルモルトのロールスロイス」と称される理由とは?

マッカランが「シングルモルトのロールスロイス」と称される理由とは?
出典 : Piotr Zajac / Shutterstock.com

「マッカラン」はスコッチウイスキーのなかでも飛び抜けた知名度を誇り、正式には「ザ・マッカラン」と呼ばれます。“シングルモルトのロールスロイス”とも称されるほど、完成度の高いマッカラン。その歴史や背景、味わい方を紹介しましょう。

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マッカランを生んだスペイサイドの大地

マッカランを生んだスペイサイドの大地

出典:サントリー社

「マッカラン(正式名称はザ・マッカラン)」は、世界の5大ウイスキーのなかでも「ウイスキーの代名詞」といわれる、スコッチウイスキーを代表する銘柄のひとつです。

スコッチウイスキーを生んだスコットランドの地は、モルトウイスキーの原料である大麦を育てるのに適しているとともに、スモーキーなフレーバーのもととなるピート(泥炭=植物が腐食した堆積物)を育む湿地帯も豊富。さらに、ウイスキーの熟成に向いた冷涼な気候も備えています。
こうしたウイスキー造りに絶好の環境を活かして、現在もスコットランド全土で約100カ所もの蒸溜所が稼動しています。

一口にスコットランドといっても、地域ごとに自然環境が異なり、造られるウイスキーの個性も異なります。このため、スコッチウイスキーの産地は「ハイランド」「ローランド」「スペイサイド」「キャンベルタウン」「アイランズ」「アイラ」という6つの地域に分類されています。

マッカランの故郷である「ザ・マッカラン蒸溜所」は、このなかでも最大のウイスキー生産地で、アイラ島とともに“スコッチの聖地”と呼ばれる「スペイサイド」に位置しています。
スペイサイドとは、英国一の急流として知られるスペイ川流域を中心とした地域のこと。この地で造られるウイスキーは、スコッチウイスキーのなかでも、華やかな香りでバランスのよいウイスキーが多いといわれています。

マッカランは、この肥沃な地で栽培された大麦と、スペイ川近くの泉から汲んだ清涼でミネラル豊富な水を用いて造られます。まさに、スペイサイドの豊かな大地が、マッカランの芳醇な味わいを育んでいるのです。

スペイサイドのスコッチを飲む・スペイ川流域エリア
スペイサイドのスコッチを飲む・ダフタウンエリア

マッカランが積み重ねてきた歴史

マッカランが積み重ねてきた歴史

出典:サントリー社

マッカランの歴史は非常に古く、18世紀後半には、創業者一族の領地である「ザ・マッカランエステート」で収穫した大麦を原料に、モルトウイスキー造りが行われていたとされています。

正式な記録としては、1824年に政府の公認を受け「ザ・マッカラン蒸溜所」として正式に創業しました。これは、スペイサイドの蒸溜所としては「ザ・グレンリベット」に続く第2号の公認であり、まさに名門中の名門といえるでしょう。

それから200年近くの歳月を経た現在もなお、ザ・マッカラン蒸溜所は当時と変わることなく、伝統的なウイスキー造りを続けており、その姿はスペイサイドの美しい風景に溶け込んでいます。
同様に、ザ・マッカランエステートでは、その土地の風土との調和を守りながら、マッカランの原料であるミンストレル大麦を育て続けています。

こうしたマッカランの長きにわたる歴史を見つめ続けてきたのが、1700年に建造された、ザ・マッカラン蒸溜所のスピリチュアルホーム「イースターエルキーハウス」です。
この歴史ある建物は、現在では修繕・拡張を施され、ゲスト用宿泊施設も設けられています。例年、多くのウイスキー愛好家がこの地を訪れ、スコッチの聖地に滞在しながら、マッカランの芳醇な味わいをたのしんでいます。

マッカランならではのこだわりの製造法

マッカランならではのこだわりの製造法

出典:サントリー社

マッカランは、英国が誇る老舗百貨店「ハロッズ」発行のウイスキー読本において“シングルモルトのロールスロイス”と評されるほど別格の存在です。
それだけの評価を得ている理由は、ハイランドで2番目という歴史の古さだけではなく、こだわりの製造法によって磨き抜かれた品質にあります。

マッカラン蒸溜所のこだわりは、原料から発酵、蒸溜、熟成まで、あらゆる工程にわたります。

マッカランが原料とするのは、スペイ側近くの泉から汲んだ清澄でミネラル豊富な湧き水と、大麦、そしてイースト菌のみです。

まずは大麦を原料に麦芽を作る「製麦」工程から始まりますが、ここでは、温水槽に48時間浸したうえで、5日間かけてウイスキー造りに最適な状態にまで発芽させます。
その後、細かく砕いた麦芽を糖化させ、2種類のイースト菌を用いた発酵工程、そして蒸溜工程へと進みます。

2度にわたる蒸溜に使われるのは、スペイサイドで最小といわれる銅製の蒸溜釜。旨味や香りなどの成分を十分に含んだ、厳選されたエキスだけを使用するため、マッカランの原酒として残るのは、もとの発酵液の約16%しかないのだとか。
そこには、「本当にいいものだけしか使わない」というマッカランのウイスキー造りの信念が象徴されています。

こうして抽出されたエキスは熟成工程へと進みますが、熟成に使われる「樽」の質こそ、マッカラン最大のこだわりといわれています。
マッカラン専用のシェリー樽は、自ら管理する森林で育ったオーク材を原料にしています。これらは伐採後、約1年間も天日で乾燥させたうえで、手作業で樽に加工されます。そこに専用のシェリー酒を詰めて、樽そのものを3年間にもわたって熟成させて、ようやく完成するのです。
さらに、樽の製造工程には、ウイスキーの製造責任者と同格の管理責任者を置いています。樽の品質がウイスキーの品質に与える影響の大きさを知り尽くしているからこそ、マッカランはここまで樽にこだわっているのです。

こうして、原料となる麦の栽培から数えれば、膨大な月日を経て、ようやくマッカランは製品として出荷されます。各工程に込められた造り手の想い、そしてこだわりが、“シングルモルトのロールスロイス”と称されるにふさわしい、高貴で上品な味わいを世界中の人々にもたらすのです。

マッカランブランドの主力「シェリーオーク」

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