岩手の日本酒(地酒)【浜千鳥(はまちどり)】自然と一体になった酒造り
浜千鳥は、蔵元のある釜石市、陸中海岸の浜辺を訪れる千鳥の姿をイメージした日本酒です。その名に恥じない美しい味わいは、古くから地域の人々に愛されていました。首都圏では目にする機会の少ない銘酒、浜千鳥の魅力を紹介します。
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浜千鳥は地元に寄り添う酒
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「浜千鳥」の蔵元は、海と山に囲まれた風光明媚な地、岩手県釜石市において、大正12年(1923年)から酒造りを続けています。
創業当時は、地域の名を取って「釜石酒造商会」という社名でしたが、2003年になって代表銘柄と同じ「浜千鳥」に社名を変更しました。
浜千鳥という銘柄の由来は、陸中海岸に群れなす千鳥の姿をイメージしたものだそうで、その名に恥じない美しい日本酒に仕上がっています。
浜千鳥の大きな特徴は、地元・釜石で熱烈に愛されていること。バランスがよく、主張しすぎない浜千鳥の味わいは、陸中沖で獲れる新鮮な魚介類との相性が抜群で、古くから地域の食中酒として愛されてきました。
その生産量のうち6割が釜石市内、9割までが岩手県内で消費されるという、まさに地域に根付いた日本酒といえます。
地元・釜石市では、酒屋さんはもちろん、スーパーやコンビニなどにも並んでいる浜千鳥ですが、“地産地消”が中心のため、残念ながら首都圏では目にする機会が少ないのだとか。
浜千鳥を味わうなら、やはり釜石市を訪れ、美しい風景ととものたのしむのが一番のようです。
浜千鳥を支える、より良い素材を求める姿勢
出典:浜千鳥サイト
浜千鳥の酒造りの基本は、「自然とひとつになった酒造り」。酒造りは、蔵のある地域の気候や風土と密接な関わりをもっており、周囲の環境のなかで独自の個性が育まれます。酒造りは「その土地の景色」という意識のもと、地域の米、水、そして人とが一体となった酒造りが、浜千鳥の個性といえるでしょう。
原料米には「山田錦」や「美山錦」といった酒造好適米に加え、岩手県が開発したオリジナル品種「結の香」「吟ぎんが」などを使用。伝統的な製法により、その旨味を引き出した日本酒造りを行っています。
仕込み水には、軟水で口当たりのやさしい浜北上山系の伏流水を使用しています。年間を通じて、安定した品質と水量を確保できるよう、昭和40年代に現在の地へと酒蔵を移転したほどで、水に対するこだわりが、浜千鳥の口当たりのよさを支えています。
酒造りの担い手は、日本三大杜氏(とうじ)の筆頭とされる南部杜氏の伝統を継承すべく、南部杜氏協会に所属。伝統的な酒造りを基本としながらも、新型酵母の導入など、新しい技術にも積極的に取り組んでいます。
浜千鳥のオール岩手へのこだわり
出典:浜千鳥サイト
浜千鳥の地元へのこだわりの象徴ともいえるのが、「オールいわて清酒」です。
たとえば、「浜千鳥 純米吟醸 吟ぎんが」は、原料米には岩手独自の酒造好適米「吟ぎんが」、酵母には女性的なぬくもりが魅力の岩手オリジナル酵母「ゆうこの思い」、さらには岩手初のオリジナル麹菌「黎明平泉」を使用して、南部杜氏が醸した、まさに“オールいわて”の日本酒です。
また「ゆめほなみ(夢穂波)」は、地元農家との活発な意見交換のもと、隣接する大槌町の酒米研究会で栽培された「吟ぎんが」だけを使用して造られた銘柄です。
その銘柄やラベルデザインは、地域の青年団体との共同企画によるもので、まさに地域を象徴する日本酒として注目されています。
さらに、釜石鉱山の地下600メートルから湧き出る名水「仙人秘水(せんにんひすい)」を仕込み水に使用した「仙人郷(せんにんきょう)」など、浜千鳥には、地域の恵まれた自然を存分に活かした銘柄が豊富にラインナップされています。
陸中海岸に群れをなす浜千鳥のごとく、それぞれが独自の美しさをもった浜千鳥のラインナップ。ぜひ、地元・釜石を訪れ、その美しい風景とともにたのしんでください。
製造元:株式会社浜千鳥
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