中国酒のおいしい飲み方【入門編】
中国酒と聞いてみなさんはどんなお酒を思い浮かべますか? 日本では紹興酒(ショウコウシュ)などが有名ですが、広大な中国では、さまざまな味わいのお酒が造られています。ここでは、中国酒の入門編として、その歴史や種類について紹介します。
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中国酒入門! まずは数千年にわたる歴史を知ろう
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中国酒の歴史はたいへん古く、中国の歴史書「史記」には、夏(カ)の初代国王の禹(ウ)のころに儀狄(ギテキ)という人が発明したと記されています。その始まりの時期については諸説ありますが、少なくとも5~6千年以上もの昔から、お酒の醸造が行われていたことがわかっています。
初期には、重要な儀式に用いられるなど支配者だけのものだったお酒も、農業の発達により穀物類や果実などの収穫が増えるとともに、それらを原材料とするお酒造りも少しずつ一般化していき、紀元前1300年ごろには広く民衆の間にも広がっていたようです。
こうした長い歴史をもつ醸造酒に続いて、12世紀後半には本格的な蒸溜酒が造られていたことが確認されています。このころから、さまざまな地域で、ブランデー、ウイスキーと並ぶ世界の三大蒸溜酒とされる「白酒(パイチュウ)」が造られ始めました。これらの蒸溜酒は現在でも中国全土で造られ、名産品として知られています。
中国酒の種類を知ろう
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中国酒とひと口にいっても、その原料は米や高粱(カオリャン)、小麦などの穀類から、ブドウやリンゴなどの果実にいたるまでさまざまな種類があり、使用する麹の種類や醸造法によっても異なります。細かく分類すれば膨大な種類となる中国酒ですが、一般的には「黄酒(ホワンチュウ)」「白酒(パイチュウ)」「果酒(クワチュウ)」「薬味酒(ヤオウエイチュウ)」「啤酒(ビール)」「外来酒」の大きく6つに分けられます。
「黄酒」は中国でもっとも古くからあるお酒で、うるち米などを原料に稲作地方で造られる醸造酒です。紹興酒(ショウコウシュ)や老酒(ラオチュウ)なども、じつは黄酒の一種です。
「白酒」は蒸溜酒で、中国で生産されるお酒のなかではもっともポピュラーなお酒です。一般に無色透明でアルコール度数が高いのが特徴で、原料も高粱、トウモロコシ、黍(キビ)、麦などの雑穀で造られます。その名称も原料の違いから「高粱酒」や「包米酒」、麹の種類からとった「大曲酒」「麩曲酒」などさまざまあり、産地名から「汾酒」、「茅台酒」と呼ばれるものまで多種多様です。
「果酒」はブドウ酒、リンゴ酒など、果汁を原料にした醸造酒のことで、甘口で農耕な味わいが特徴です。清朝宮廷の秘酒として知られるキンモクセイを漬け込んだ「桂花陳酒」などが有名です。
そのほかに、滋養強壮のために白酒や黄酒、果酒に薬草などを漬け込んだ「薬味酒」、中国のビール「啤酒」、中国産のブランデーやウイスキー、リキュールなどの「外来酒」がありますが、中国酒の主力となるのはあくまで「黄酒」と「白酒」だといえるでしょう。
このサイトでは、「黄酒」「白酒」に加えて、日本でもよく知られている「紹興酒」と「老酒」、ららに「紅酒(アンチュウ)」「黒酒(ヘイチュウ)」を個別記事で詳しく紹介しています。ぜひ、ご一読ください。
中国酒に入門するなら、まず「白酒」から
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中国酒といえば、たまに紹興酒を飲む程度で、その他の中国酒にはあまりなじみがない、という人も少なくないでしょう。そんな場合におすすめなのが、中国でもっとも種類が多いとされる「白酒」。白酒はお米や穀物を原料とした蒸溜酒で、まろやかな口当たりのものから、キリッとしたものまであり、日本の焼酎のようなお酒です。
ちょっとしたパーティーや宴会の際の乾杯用のお酒として多くの人々に親しまれていて、中国料理には欠かせない身近なお酒です。
白酒にはさまざまな味や香りのものがありますが、なかでも有名なのが中国の「国酒」ともいえる「茅台酒」。中国南部の貴州省仁懐県茅台という地域で、18世紀ごろから造られてきた蒸溜酒です。高粱という穀物を原材料として造られているお酒で、無色透明であり、クセがなく飲みやすいのが特徴ですが、アルコール度数が53~55%と非常に高いため、飲み過ぎないように注意してください。
長い歴史と広大な国土をもつ中国には、じつにさまざまなお酒が存在します。その奥深い世界に、ぜひチャレンジしてみてはいかがですか。