「ラガービール」と「エールビール」の違いとは?ビールを代表する2大スタイルを知ろう!

「ラガービール」と「エールビール」の違いとは?ビールを代表する2大スタイルを知ろう!
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「ラガービール」や「エールビール」といった言葉を聞いたことはあるはずですが、その違いをご存知でしょうか? これらはビールの製造法による分類です。今回は、さまざまなビールの種類のなかから、ラガービールとエールビールの違いについて説明します。

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ビールは発酵方法で3つのスタイルに分類される

ビールは発酵方法で3つのスタイルに分類される

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ビールの種類を語る時には「スタイル」というのが一般的です。ビールのスタイルは大きく3つの発酵方法に分けられ、それぞれに違いがあります。「ラガー(下面発酵ビール)」「エール(上面発酵ビール)」「自然発酵ビール」の3スタイルです。
まずは、この3スタイルのビールについて、かんたんに説明しましょう。

ラガービール

ラガービールは、下面発酵という方法で発酵されるビールです。下面発酵では、約10度前後の低温で発酵させ、その後に酵母が下に沈んでいきます。ビールの製造方法では多く用いられているタイプです。

エールビール

エールビールの発酵方法は、上面発酵と呼ばれるものです。15~25度くらいの高めの温度で発酵し、その過程で酵母が上面に移動してくることから、この名で呼ばれます。エールビールの風味は、豊かで芳醇です。

自然発酵ビール

ラガービールやエールビールは、造り手によって発酵させるものですが、これに対して、天然酵母を使用して自然な環境のままで発酵させるのが自然発酵ビールです。
気候の涼しい場所で、空気に存在する酵母を取り入れるため、自然発酵に適した酵母を空気中にもつ地域で製造されています。

では、ここからは、ラガービールとエールビールについて、それぞれの製造方法や特徴を詳しく見ていきましょう。

ラガービールは低温で長時間かけて下面発酵

ラガービールは低温で長時間かけて下面発酵

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「ラガー(下面発酵ビール)」とは、低温(通常約10度前後)で発酵するすっきりしたビールのこと。下面発酵は発酵した後に酵母が下に沈んでいく特徴がある方法です。

下面発酵で造られるビールは長期熟成を行うため、貯蔵を意味するドイツ語から「ラガー」と呼ばれています。現在の日本では、もっともポピュラーなスタイルで、ビールというと「ラガー」を想像する人が多いのではないでしょうか。

ちなみに、ラガーの種類としては、以下のようなものが代表的です。

ピルスナー
シュバルツ
ドルトムンダー
アメリカンラガー
ウインナーラガー
ドッペルボック
など

ラガービールの原型が誕生したのは、今から600年以上も昔の15世紀頃。いわゆる「中世」と呼ばれる時代のドイツです。
当時のビール醸造は、腐敗の少ない冬に行われていましたが、低温すぎると発酵が進まないため、温度管理が悩みの種でした。
しかし、15世紀になると、低温でも発酵が進む事例が発見され、天然の氷とビールを洞窟で春まで貯蔵する方法が生まれます。これがラガーの原型といわれています。

さらに時代が降って19世紀後半になると、有名な細菌学者ルイ・パスツールが、60~80度の熱を15~30分間加えることで雑菌を死滅させる「低温殺菌法」を発見します。
この画期的な発明によって、ビールを細菌から守りつつ、一定の品質を保った、長持ちするビールが完成したのです。
この後、冷蔵技術の普及にともなって、世界中でラガービールが飲まれることになります。

ラガービールのなかでも代表的なものとされるピルスナーは、1842年に現在のチェコにあるピルゼンという都市で誕生しました。
濃色のラガービールが主流だったこの時代に、透明感のある金色のビールができ上がり、そのシャープな苦味や、すっきりとしたのどごしに注目が集まったのです。
それ以降、このビールは「ゴールデンラガー」と呼ばれ、後にピルゼンの名前を取って「ピルスナー」となり、広く浸透していきました。

ラガービールの魅力は、すっきりしたさわやかなのどごし

ラガービールの魅力は、すっきりしたさわやかなのどごし

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ラガービールは、15世紀頃に南ドイツで原形が誕生。18世紀に発明された冷蔵技術とともに、世界中に広まっていきました。

ラガービールの魅力は、何といっても低温で発酵・貯蔵されたビールならではのマイルドな味わいです。
すっきりしたのどごしなので、ビールが苦手という人でも飲みやすいものが多いことから、世界中で愛飲されています。

なかでも、ラガービールの発祥の地であるドイツでは、ビールといえばラガービールのことを指し、土地ごとにさまざまな種類のラガービールが造られています。

たとえば、ドイツの都市ミュンヘンは、世界最古の食品の品質を保証する法律「ビール純粋令」発祥の地として知られており、良質なビールを製造する「ビールの都」としても有名です。
秋には、ビール祭り“オクトーバーフェスト”が開催され、ドイツだけでなく世界中からビールファンが集まって賑わいます。

深い歴史をもつドイツのビールは、嗜好品というよりもドイツの人たちにとっては生活や文化の一部といえるのかもしれません。
実際、ビールの歴史や製造方法を学ぶ工場見学も盛んに行われています。

また、ドイツでは16歳からビールを飲むこともでき、昼間からビールをたのしむ家族も珍しくありません。
ただし、日本人は、ドイツに行っても20歳以上でなければ飲酒できませんので、くれぐれも注意してくださいね。

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エールビールは高めの温度で上面発酵

エールビールは高めの温度で上面発酵

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「エール(上面発酵ビール)」とは、下面発酵より高めの温度(15~25度)で発酵する香り高いビールのことです。先に触れたように、発酵する過程で酵母が上面に移動してくるという製造方法上の特徴から、上面発酵と呼ばれています。

エールビールの特徴は、豊かな味わいと芳醇な香りで、その香りを感じながら、じっくりたのしむのに適しているといえます。

エールビールの製造方法は、おもにイギリスで発展したものとされています。このため、イギリスではエールビールがメジャーなビールとなっています。その歴史を詳しく見ていきましょう。

そもそもイギリスには、中世以前から、「ビール」と「エール」の2種類があったといわれています。
ビールのおもな原料は麦芽とホップ、そして水ですが、イギリスでは、もともと、ホップの代わりにハーブを用いた「エール」が主流だったそうです。15世紀になって、ホップ入りのビールが輸入されるようになると、ホップの入っているものを「ビール」、入っていないものを「エール」と区別していたようです。

その後、次第にエールにもホップを使う業者が増えてきて、両者の境目が曖昧になってきました。
さらに、1697年になるとビール麦芽への課税が始まったため、麦芽を減らしてホップを増やした「ペールエール」が主体になってきました。

「ペール」とは英語で「淡い・薄い」という意味で、もともとイギリスで主流であったエールよりも色合いが薄いという違いがあったため、このように呼ばれています。とはいえ、ラガーの代表格であるピルスナーよりは色合いの濃いビールです。

1722年には濃色麦芽を使用し、ホップが3倍以上でアルコール度数の高い「ポータービール」が生まれます。
1778年には、ギネス社が「スタウトポーター」を発売。やがて、現在のスタウトと呼ばれるようになります。スタウトは、「強い」という意味で、麦芽ではなく大麦を黒くなるまで焙煎して使っており、黒みがかった深い色合いが特徴です。また、ホップもポータービール以上に使用しています。

このような歴史を経て、現在ポピュラーなエールビールとしては、以下のようなものがあげられます。

ペールエール
スタウト
ホワイトエール
ヴァイツェン
バーレイワイン
IPA
など

いずれも、それぞれ異なった特徴をもっていますので、飲み比べてみるのも面白いのでは?

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エールビールの魅力は豊かな「香り」

エールビールの魅力は豊かな「香り」

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エールビールの特徴は、個性的な香りと豊かな味わい。各ビールに特有の香りをたのしみながら飲みたいものです。
ビールをグラスに注いだら、まず、目でたのしみましょう。たとえば、スタウトは漆黒の液体と泡のコントラストを見て味を想像してみます。

次に、エールの最大の特徴である香り=アロマを感じてみましょう。香りには、麦芽やホップの香りのなかに、果実香なども感じられます。
最後に泡の口当たりや、口のなかに広がる炭酸の刺激、豊かな味わいをたのしみましょう。冷え冷えでない、香りを感じられる温度でゆっくり飲むのが、エールのたのしみ方です。

最近、イギリスのパブで人気が出てきたビールに「リアル(本物の)エール」があります。
リアルエールは、醸造所で樽に詰められた後、パブの地下などにある約12度に保たれたセラーで樽内二次発酵をさせたビールのこと。かつては流通と管理が難しかったのですが、近年、伝統的なビールを復活させる動きのなかで、人気が高まってきたようです。

エールビールとパブ文化…イギリスとアイルランドのビールの歴史

ラガービールとエールビールは、同じビールとはいっても製造方法も起源も違います。味や風味にもそれぞれ特徴があるため、飲み比べてみて、自分の好みを見つけてみるのもいいでしょう。

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