「鏡開き」はなんで日本酒が樽に入っているの?
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「鏡開き」のいわれ
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「鏡開き」といっても、お正月のときに飾るお餅のお飾りのことではありません。おめでたいときに、日本酒の入った樽のふたを木槌でポンとたたくあれです。
鏡開きの言われについては定かではありません。樽の丸くて平らなフタを「鏡」と呼んでいたという説と武士が出陣の際に、味方の気持ちを鼓舞しようと振舞酒として酒樽を割ったことから来ている、という説とがあります。どちらも樽のふたを割って、運を開き、分かち合うという点では共通していますね。
「運」を開く、という意味を持つ鏡開きは、おめでたい場面にぴったり! テレビなどでよく見かけるのは、会社の周年記念、大相撲の優勝力士や野球の優勝チームの祝賀会でしょうか。ほかに、結婚披露宴でも見かけるときがあります。
おめでたい樽に入った日本酒を升に注いで乾杯するセレモニーも、最近の和の披露宴では人気があります。おめでたい場面では、大きな樽と木槌のポンという音が祝賀会や披露宴などのセレモニーを多いに盛り上げますね。
日本酒の入っている樽について
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鏡開きの樽は、お祝いの儀式のためにだけに造られているわけではありません。樽酒とは、杉やヒノキの樽に詰めて数日間置き酒に木の香りをつけたもの全般を指します。樽に入れることで、日本酒の芳醇な香りに清々しい木の香りが移り、爽快な独特な芳香の酒に変化していきます。瓶詰めの日本酒とはまた一味違った木の香りのする日本酒は、心身ともにリラックスするような味わいです。
もちろん、鏡開きの樽酒もセレモニーだけのものではありません。おめでたい場面の喜びの酒を「分かち合う」までがセレモニーです。
「鏡開き」の正しい方法
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鏡開きを見る機会はあっても、やる機会はなかなかないかもしれませんが、いざというときのために手順を頭の片隅に置いていくのもよいでしょう。
樽酒のほかに用意する道具は、大きなカッターやカマなど、木槌、バール、しめ木、タオル、ほうきを準備します。樽のまわりを結んである縄を細い、くちかがり縄、太い、立縄の順に切っていきます。縄を切ったら、樽のまわりを包んでいるコモを樽とコモの間に巻き込んでおきます。
樽のまわりを囲っているタガを木槌で落とします。落としすぎると樽がバラバラになるので慎重に。このあと、木槌で丸いふたのはじとはじをたたいていきます。するとフタの中央が割れてきますので、バールで片面を取り除きます。
祝賀会などのセレモニーのときは、上記のように一度開いたフタをのせて木槌で軽くたたくだけで開くようにしておきます。木槌でたたく場合は、割れているフタの中央のはじをたたくと中の日本酒が飛び散ることもなく、スマートに鏡開きができます。
もし、鏡開きのあるセレモニーに呼ばれるようなことがあったら、升に酒をもらって喜びをしっかり分かち合いましょう。