芋焼酎入門。まずは、鹿児島の焼酎を飲もう!
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鹿児島の焼酎
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鹿児島で酒と言えば日本酒ではなく焼酎、しかも麦や米ではなく芋焼酎が主流。鹿児島県には日本酒造りを行う蔵元は1軒ほどで、その他の100軒以上が、サツマイモを主原料とした芋焼酎を製造しています。
鹿児島で芋焼酎が造られたのは、今から約300年前の江戸後期。このころまで雑穀での焼酎が行われていましたが、桜島からの火山灰に覆われたシラス台地は米作りに適さず、主原料の米は非常に貴重なものでした。そこで、薩摩藩がやせた土地でもよく育つサツマイモの栽培を奨励。大量収穫が可能になったことにより、焼酎の主原料も貴重な米からサツマイモに切り替わり、芋焼酎が広まっていきました。
芋の甘みと独特な香りが特徴の鹿児島の芋焼酎ですが、あまりなじみのない人は、比較的飲みやすいと評判の以下の3銘柄から始めてみてはいかがでしょうか?
飲みやすさなら「海」
写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
「芋焼酎を飲んでみたいけれど、芋ならではの匂いがちょっと気になる」という人におすすめなのが、桜島を望む大隅半島の鹿屋市にある大海酒造が造る「海」。さまざまなタイプの芋焼酎を用意していますが、「海」は「男性が飲むイメージが強かった芋焼酎を、女性でも気軽飲めるもの」をコンセプトに、従来の製造方法とは異なる形で仕込まれています。
具体的にはサツマイモは焼酎芋として良く使われる黄金千貫ではなく、じっくり焼くと糖度30度を超える甘いベニオトメを。麹には、清酒造りに用いられ、フルーティーな味わいとスッキリ感でクセのない後味を造り出す黄麹を使用しています。
仕込み水は隣接する垂水市に湧く「温泉水・寿鶴(じゅかく)」を用い、仕込んだもろみを低温で丁寧に発酵させます。さらに軽快で淡麗な飲み口を引き出す減圧蒸留を採用しています。
出来上がった「海」は、クセの少ない甘味とマンゴーやパパイヤなど南方系のフルーツの香り、そして爽快な喉ごしが特徴の芋焼酎になっています。芋焼酎初心者なら、飲みやすい水割りからどうぞ。蔵元では仕込み水に使っている「温泉水・寿鶴」の直販、通販も行っているので、できればその温泉水での水割りをぜひ。
大海酒造
心安らぐ香り「富乃宝山」
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鹿児島県日置市吹上町にある創業160年の西酒造。薩摩半島の付け根に位置する山間の老舗蔵元がこだわるのは「土から始める焼酎造り」。焼酎の主原料となるサツマイモや米は鹿児島県内の契約農家から仕入れるだけでなく、自社の農園で育てたものも使用しているそうです。
多彩な銘柄を生み出す中、「ロックでおいしい」「静かなバーカウンターによく合う」焼酎を目指して造られたのが「富乃宝山」。清酒造りに使われる黄麹を用い、もろみを低温で発酵。そこから生まれる吟醸香とも柑橘系のさわやかな香りともいえる芳香、そしてまろやかな口当たりがたのしめます。
一昔前まで「芋焼酎はニオイが臭い、キツイ」というイメージがあったようですが、現在の芋焼酎は総じてほんのり甘く、心安らぐ香り。「富乃宝山」はさらにその上を行く洗練された味わいで、こちらも芋焼酎デビューにはぴったりの1本です。
西酒造
まろやかな味わい「晴耕雨読」
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