「正露丸」の香りが魅力のウイスキーとは? 熱狂ファンに支持される銘柄も紹介

「正露丸」の香りが魅力のウイスキーとは? 熱狂ファンに支持される銘柄も紹介
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ウイスキーのなかには、「正露丸」のような香りを感じるものがあります。その独特の香りは、ピート(泥炭)を焚いたピーテッドモルトなどから生まれます。今回は、ウイスキーの「正露丸」のような香りの正体や、「正露丸」のようなフレーバーをもつ銘柄などについて紹介します。

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「正露丸」のような香りがするウイスキーの魅力を紹介します。

ウイスキーの「正露丸」のような香りの正体とは?

「正露丸」のような香りをもつウイスキー

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アイラ島産のウイスキーによくみられる「正露丸(せいろがん)」のような香りは、ピート(泥炭)由来のもの。ピートを焚いたピーテッドモルトを原料にすることで、ウイスキーにスモーキーさがもたらされます。スモーキーフレーバーは一様ではなく、香味特性によっていくつかの種類に分類されます。そのひとつが薬品系の香り。

ピート由来の燻製香や薬品系の香りは特徴的で、胃腸薬「正露丸」の香りに似ているともいわれています。

ウイスキーのスモーキーさを日本人は「正露丸」のような香りに感じる

「『正露丸』のような香り」をもつウイスキーは、薬品系のウイスキーに分類されます。薬品系のウイスキーはスモーキーフレーバーが強く、個性もかなり強いため好き嫌いが分かれます。一方で、そのクセのある味わいを熱狂的に支持するファンもいます。

ちなみに「薬品系」とは、ウイスキーの香味をタイプ別に分類した表現のひとつ。ウイスキーの専門家は、ウイスキーの香味を表現する際に「フレーバーホイール」と呼ばれる円形の図表を用います。香味特性はワインや果実、草花など8つの様相に分けられ、薬品系はスモーキーさが特徴の泥炭相(ピーティー)に分類されます。

薬品系のフレーバー表現には、ヨード、海藻、タール、ディーゼル油、クレオソートなどがあり、クレオソートの香りは「正露丸」の香りに似ています。そのため日本では、「『正露丸』のような香り」と表現することがあるのです。なお、クレオソート(木クレオソート)とは、ブナなどの木タールを蒸溜して得られる液体のことで、「正露丸」は木クレオソートを主成分としています。

ピート(泥炭)

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そもそも「正露丸」とは?

胃腸薬「正露丸」は、100年以上前から家庭で使用されている常備薬。「ラッパのマーク」でおなじみの大幸薬品が製造販売しています。「正露丸」には、日局木クレオソートをはじめ、アセンヤク末やオウバク末、カンゾウ末、チンピ末などの生薬が配合されています。
※「正露丸」は、大幸薬品株式会社の登録商標です。

大幸薬品株式会社

スモーキーさはピート(泥炭)由来のもの

フレーバーホイールの泥炭相(ピーティー)は、香りの系統によって、薬品系、スモーク系、魚介の燻製系、コケ系の4つに分けられます。これらの香りはすべて、ピート(泥炭)を焚いたピーテッドモルトに由来します。

ピーテッドモルト(ピーテッド麦芽)とは、ピートを焚いた大麦麦芽(モルト)のこと。これを原料に使用することで、ウイスキーにスコッチ特有のスモーキーフレーバーがもたらされます。焚く量や時間などによってピートの乾燥レベルは変わり、スモーキーさが際立つウイスキーには、ヘビリーピーテッドが用いられる場合が多いようです。

なお、ピートに含まれる堆積物の内容によってフレーバーが違ってくるため、独自のピートボグ(採掘場)を所有している蒸溜所もあります。

スモーキーさが特徴的なアイラモルト

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スモーキーの代名詞的存在はアイラモルト

スコットランドのアイラ島産ウイスキー(アイラモルト)には、スモーキーさが際立つウイスキーが多く、なかには「正露丸」のような薬品系フレーバーを感じるウイスキーもあります。

アイラ島は1/4がピートに覆われた島で、古くから豊富に採れるピートが熱源として使われてきました。海に囲まれたアイラ島のピートには、風で運ばれてきた海藻などがたっぷりと含まれています。そのピートを焚きしめたモルトを使うため、潮の香りや魚介の燻製香、薬品系の香りをもつウイスキーが生まれるのです。

「正露丸」のような香味がクセになるアイラ産シングルモルトウイスキー

「正露丸」のような香りを感じるスモーキーなウイスキーは、アイラ島のシングルモルトウイスキーに多く見られます。代表格は「ラフロイグ」。ほかにも「アードベッグ」や「ボウモア」、「ラガヴーリン」などがあり、クセになる味わいから世界中のウイスキーファンに愛飲されています。
それぞれの銘柄について、おもな特徴を紹介します。

ラフロイグ|磯の香りと薬品を思わせる独特な香り

ラフロイグ10年

ラフロイグ10年
画像提供:サントリーホールディングス株式会社

「ザ・スモーキー・アイラ」と謳われる「ラフロイグ」は、強烈な個性を持つウイスキー。ピートをよく焚きしめたヘビリーピーテッドを使用していて、強い磯の香りや薬品的な香りがたのしめます。多彩な樽で熟成した重層感がある、甘美な味わいが魅力です。

国内販売元:サントリー株式会社
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アードベッグ|強烈なスモーキーさと繊細な甘さのハーモニー

アードベッグ10年

アードベッグ10年
出典: MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社サイト

「アードベッグ」も強烈なスモーキーフレーバーが特徴のシングルモルトウイスキー。ピート香やヨード臭も強く、薬のような風味も感じられます。このクセのある味わいが人気で、「アードベギャン」と呼ばれる世界中の熱狂的ファンが支持しています。

国内販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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ボウモア|バランスのよい香味を持つ海のシングルモルト

ボウモア12年

ボウモア12年
画像提供:サントリーホールディングス株式会社

「アイラモルトの女王」と称される「ボウモア」。ドライなスモーキー感とやわらかなフルーティーさ調和した、バランスのよい味わいのシングルモルトウイスキーです。ほどよいスモーキーフレーバーで飲みやすいですが、薬品系のフレーバーを感じる人もいます。

国内販売元:サントリー株式会社
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ラガヴーリン|スモーキーでピーティーな香りとベルベットのような舌触りが特長

ラガヴーリン8年

ラガヴーリン8年
出典:ディアジオ ジャパン株式会社サイト

甘く香り高いスモーキーさをもつ、アイラモルトの決定版。リッチで重厚な味わいが魅力で、ピートに由来する薬のような香りやフルーツの香りが感じられます。

国内販売元:ディアジオ ジャパン株式会社
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アイラモルト以外にもある! 「正露丸」のような香りのウイスキー

アイラモルト以外にも、「正露丸」のようなフレーバーを感じるスモーキーなウイスキーがあります。スコットランドのアイランズで造られている「タリスカー」と、アイルランドの「カネマラ」を紹介します。

タリスカー|爆発的な胡椒の風味と複雑な味わい

タリスカー10年

タリスカー10年
出典:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社サイト

力強いピート由来のスモーキーな香りが特徴の「タリスカー10年」。ほのかな海水の塩気や、生牡蠣、柑橘系の甘味もたのしめます。

生産地のスカイ島もアイラ島のように海に囲まれていて、大麦の乾燥と香りづけにピートを使用しているため、薬のようなフレーバーが感じられます。

国内販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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カネマラ|スモーキーさとフルーティーさが魅力

カネマラ

画像提供:サントリーホールディングス株式会社

スモーキーさとともに、フルーティーな香りが際立つ「カネマラ」。ピーテッドモルトを使用しているため、薬のフレーバーを感じる人もいます。

一般的に、ノンピートですっきりまろやかな味わいが特徴のアイリッシュウイスキーのなかにあって、スモーキーな「カネマラ」は珍しい存在です。とはいえ、その昔アイルランドでもピートが使われていました。「カネマラ」の名は、かつてのピート採掘場があったカネマラ国立公園にちなんでいます。

国内販売元:サントリー株式会社
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「正露丸」のような香りのするスモーキーなウイスキーは、アイラモルトによく見られます。個性が強く評価が分かれますが、熱狂的ファンもたくさんいます。機会があれば、クセになる香味を味わってみてくださいね。

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