旨味たっぷり! 日本酒の「だし(出汁)割り」とは? だし割りに合う日本酒や作り方も紹介
「だし割り」とは、日本酒をだし(出汁)で割った、旨味たっぷりの飲み物のこと。今回は、だし割りの概要やおいしさの理由、だし割りのルーツなどとともに、だし割りに合う日本酒や、だし割りの作り方、おでんだしで割るときの比率やだし割りに合う料理なども紹介します。
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はじめに、「だし割り」の概要やルーツ、旨味たっぷりな理由からみていきます。
旨味たっぷり!「だし割り」とは?
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「だし割り」とは、日本酒をだしで割ったもののことです。以下でくわしくチェックしていきましょう。
日本酒を「だし」で割るから「だし割り」
「だし割り」とは、おでんだしなどで日本酒を割った飲み物のこと。焼酎で作る「だし割り」もありますが、ここでは日本酒の「だし割り」についてみていきます。
だし割りは、基本五味のうち「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」を持っている日本酒に、日本酒が唯一持っていない「塩味」を持つだしを加えて作られるため、基本五味のすべてが味わえます。
旨味たっぷりの味わいも、だし割りの魅力です。
グルタミン酸が含まれる日本酒に、カツオだしのイノシン酸や、干しシイタケだしのグアニル酸が加わるなど、さまざまな旨味成分が含まれていることが、だし割りが旨味たっぷりな理由となっています。
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「だし割り」のルーツは、おでん出汁?
一部で「でん汁割り」ともいわれている「だし割り」のルーツは、東京都北区赤羽にあるおでん屋さん(兼立ち飲み)、丸健水産さんの「だし割り」といわれています。
丸健水産さんでは、おでんと一緒に180ミリリットル入りのカップの日本酒(※)を注文し、50ミリリットルほど残したところでおでんだしを注いでもらって、七味唐辛子をかけていただきます。
※丸健水産で人気のカップ酒は「丸眞正宗 Maru CUP(小山本家酒造)」
おでんだしと日本酒が絶妙にマッチした飲み口で、身も心も温まる味わいと評判になり、広まったと考えられています。
なお、だし割りのだしは、おでんだしにかぎらず、昆布だしやカツオだし、変わったところでは鶏ガラだしなどでもおいしい「だし割り」が作れます。
「だし割り」に合う日本酒は?
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「だし割り」に合う日本酒は、だしの味わいとの相乗効果が見込まれる旨味成分が豊富な純米酒や、だしの風味を邪魔しないスッキリとした味わいの本醸造酒です。
一方、華やかな香りが特徴の吟醸酒系のお酒は、お互いの特長を消してしまうおそれがあり、あまり向かないようです。
おいしい「だし割り」の作り方
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おいしい「だし割り」の作り方には、日本酒を温めておく、だしに塩味をつけるといったポイントがいくつかあります。まずは基本の割り方のポイントからみていきましょう。
「だし割り」の基本の割り方
日本酒をだしで割るだけで、かんたんにできあがる「だし割り」。おいしく飲むための、基本の割り方をチェックしていきます。
(1)日本酒は常温でもよいですが、ぬるくなるのを避けたい場合には、事前に湯煎や電子レンジで40~50度に温めておくとよいでしょう。
(2)「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の基本五味をそろえるため、日本酒が持っていない「塩味」のあるだしを選びます。昆布やカツオなどから取った自家製のだしを使う場合には、適量の塩を入れて「塩味」のあるだしにします。
(3)だし割りの材料となる、日本酒とだしの準備が整ったら、日本酒にだしを入れてだし割りを作ります。日本酒とだしの比率は1:2が目安。好みに合わせて、1:3や1:4といった比率を試してみるのもよいでしょう。日本酒やだしの種類によって、比率を変えるのもOKです。
(4)薬味としては、七味唐辛子のほか、一味唐辛子や柚子胡椒(ゆずこしょう)などが挙げられます。濃い味わいのだしを使う場合にはネギなども合います。
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おでんのだしで割るときの比率は?
おでんのだしで割るときの比率は、1:2から1:3程度がよいでしょう。
ちなみに、「だし割り」の元祖といえる赤羽の丸健水産さんでは、前述のとおり、180ミリリットル入りのカップ酒を50ミリリットルほど残したところにおでんのだしを注いでもらいます。比率にすると、日本酒1に対して、おでんだし2.6くらいになるので、元祖にあやかった分量でカップ酒×おでんだしを試してみるのもよいでしょう。
おでんだしのだし割りには、七味唐辛子をはじめ、山椒(さんしょう)を効かせた七味や柚子七味などがよく合います。お好みでかけて飲むのも風味が増しておすすめです。
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時間がないときはインスタントのだしの素でもOK!
「だし割り」のだしには、インスタントのだしの素を使ってもOKです。
おでんだしをはじめ、前述の昆布だしやカツオだし、鶏ガラだしなどは「だし割り」によく合いますが、手作りのおでんや、昆布やカツオ節、鶏ガラなどから取る自家製のだしを作るには手間も時間もかかります。
その点、インスタントのだしの素を使えば、手軽においしいだし割りが飲めます。
昆布だしもカツオだしも鶏ガラだしも顆粒タイプのインスタントだしが市販されています。カツオ節などの素材からだしを取る場合はもちろんですが、塩分が入っていないパックだしを使う場合には、少量の塩を入れるのを忘れないようにしましょう。
だし割りは「料理している時間はない」というときこそたのしめる飲み物でもあるのです。
「だし割り」に合う料理とは?
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「だし割り」に合う料理といえば、なんといってもおでんが挙げられます。おでんだしのだし割りと一緒にたのしみましょう。
そのほか、煮びたしや煮物などだしの効いた料理や、だしのしみた豚汁やモツ煮込みといった料理も、だし割りとの相性がよいようです。
メニュー選びに迷った際には、日本酒にはない「塩味」がある料理かどうかに注目して選ぶのもよいでしょう。
「おでんだしにはおでん」のように、昆布だしやカツオだし、鶏ガラだしなどそれぞれのだしと相性抜群の料理を見つけてくださいね。
温かくて旨味たっぷりな「だし割り」は、心身ともにホッとさせてくれるような飲み物です。おでんだしはもちろん、インスタントのだしの素でも作れる手軽さも魅力的。機会があればぜひ飲んでみてくださいね。