明治創業の老舗蔵「豊永酒造」が造る球磨焼酎の魅力とは

「豊永酒造」は、球磨焼酎で知られる熊本県球磨地方の老舗の焼酎蔵です。有機米で仕込んだ米焼酎は酒類コンクールでも多数の受賞歴を誇り、多くの焼酎ファンを魅了してやみません。今回は、蔵元の魅力を深掘りしながら、人気銘柄を紹介していきます。
- 更新日:
目次
- 豊永酒造の歴史と球磨焼酎
- 豊永酒造の酒造りへのこだわり
- 豊永酒造のラインナップ
豊永酒造の酒造りへのこだわり

合名会社豊永酒造サイト
球磨のテロワールに根ざした焼酎造り
豊永酒造のこだわりのひとつに、テロワール(Terroir)という概念があります。
テロワールとは、フランス語の「TERRE(テール)=大地」から派生した単語で、ワインの世界では、土壌や風土、気候など、ワインが育った環境の性質を表す言葉として用いられています。広義では、造り手の人的要因も加えてテロワールとすることもあります。
ワインの場合は、おもにブドウが育つ環境が重要な要素となりますが、球磨焼酎を醸す豊永酒造では、「球磨の米、球磨の水、球磨の人」に着目。日本三大急流「球磨川」の清らかな水に育まれる球磨の米、良質な球磨の地下天然水、球磨の地で焼酎造りに熱心に励む造り手。周囲を山で囲まれた盆地ならではの温暖湿潤な気候のなかで、蔵元は「球磨のテロワール」に根ざした焼酎造りを実践しています。
こだわりの原料「有機球磨米」
豊永酒造では、球磨焼酎の原点ともいうべき球磨の米のなかでも有機農法米にこだわり、1986年(昭和61年)から有機農法米を使った焼酎造りに着手しています。1990年(平成2年)には有機栽培による米作りを始め、オーガニック認証制度が開始された2001年(平成13年)以降は、自社田をはじめ、すべての契約農家が有機認証を取得しました。
米作りに関しては、田植えや稲刈りといった農作業のすべてを月の満ち欠けのサイクルに合わせて行うというこだわりぶり。このような「テラ(地球)」のエナジーと「ルナ(月)」のバイオリズムを取り込んだ考え方こそが、豊永酒造の焼酎造りの真髄といえるでしょう。
現在では、自社農園と契約農家16軒の持つ計20ヘクタールの農地で、年間60トンの米を生産。最高品質の原料米を継続的に収穫できるよう、土壌分析や有機肥料作りにも契約農家と力を合わせて取り組んでいます。
豊永酒造のラインナップ

合名会社豊永酒造サイト
世界が認めた有機米焼酎「豊永蔵(とよながくら)」
有機オーガニック焼酎「豊永蔵」は、球磨のテロワールを焼酎で表現した、豊永酒造の代表ブランド。なかでも有機米100%の「有機米焼酎 豊永蔵」は、ロサンゼルス・インターナショナル・スピリッツ・コンペティションで何度も金賞に輝き、全国酒類コンクールでも特賞を受賞するなど、多方面で高評価を得ている逸品です。
その魅力は、熊本酵母の華やかな吟醸香と、まろやかでほのかな米の甘味にあり、すっきりとした味わいは、魚料理や鍋料理、牡蠣などさまざまな料理を引き立てます。
なお、この銘柄の原料米を栽培する際は、田植え前に米ぬかを発酵させて作る「ぼかし」と呼ばれる有機肥料が用いられています。「ぼかし」を作るには手間暇がかかりますが、田んぼの微生物を活性化させ、虫や病気に強い稲に育て上げる効果が期待できるそう。
「ぼかし」を使用した田んぼに水を張ると、ホウネンエビ(豊年蝦)や絶滅危惧種のゲンゴロウなど、きれいな水にしか棲息できない生き物の姿が見られるというから、すばらしい環境で育った米の風味に期待が募ります。
「豊永蔵」を味わう際は、球磨地方の雄大な自然や、日の光を浴びてきらきら光る水田の風景を想像しながらたのしみたいものです。
