明治創業の老舗蔵「豊永酒造」が造る球磨焼酎の魅力とは

「豊永酒造」は、球磨焼酎で知られる熊本県球磨地方の老舗の焼酎蔵です。有機米で仕込んだ米焼酎は酒類コンクールでも多数の受賞歴を誇り、多くの焼酎ファンを魅了してやみません。今回は、蔵元の魅力を深掘りしながら、人気銘柄を紹介していきます。
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目次
- 豊永酒造の歴史と球磨焼酎
- 豊永酒造の酒造りへのこだわり
- 豊永酒造のラインナップ
豊永酒造の歴史と球磨焼酎

合名会社豊永酒造サイト
豊永酒造は明治27年創業の老舗焼酎蔵
豊永酒造が蔵を構える球磨郡(くまぐん)湯前町(ゆのまえまち)は、熊本県南部で球磨盆地の東端に位置する人口4000人未満の小さな町。作家の司馬遼太郎氏が著作『肥薩(ひさつ)のみち』で「弥生式稲作の最古の適地」と表現したこの地では、古くから稲作が盛んに行われてきました。そこへ500年ほど前に大陸から醸造技術が伝来し、米のみを原料とした「球磨焼酎」が誕生。豊かな自然を生かした焼酎造りが主流となっていきました。
自然に恵まれた湯前町で豊永酒造が創業したのは、明治27年(1894年)のことです。蔵人たちが育て上げた米を原料に造った米焼酎は、食事のお供として、多くの人たちに親しまれてきました。米の栽培から手掛ける伝統の製法はその後も脈々と受け継がれ、現在ではおもに有機農法米を原料とした焼酎造りが行われています。
豊永酒造が受け継ぐ球磨焼酎の特徴
豊永酒造が代々受け継いできたのは、この地に伝わる「球磨焼酎」の技術と伝統です。
球磨焼酎とは、熊本県人吉球磨地方で造られる米焼酎のこと。鹿児島県の「薩摩焼酎」や長崎県壱岐市の「壱岐焼酎」、沖縄県琉球諸島の「琉球泡盛」と並んで、WTO(世界貿易機関)によって地理的表示が認められた産地指定の焼酎ブランドです。同じく、産地呼称が認められた酒類に、ウイスキーのスコッチやバーボン、ワインのボルドーやシャブリ、シャンパーニュ、そしてブランデーのコニャックなどがあります。
豊永酒造が造る球磨焼酎の起源
球磨焼酎の起源は定かではありませんが、人吉球磨地方に残る永禄2年(1559年)の記録のなかに「焼酎」の文字が記されていることから、室町時代後期にはすでに飲まれていたと考えられています。
この地の焼酎造りを支えたのが、日本三大急流のひとつである球磨川の清らかな水です。豊かな水源がある土地は良質な米の産地となり、酒造りに最適な環境で焼酎が盛んに造られるようになっていきました。こうして日々磨かれてきた独自の焼酎造りの技術が、歴史の荒波のなかを脈々と受け継がれ、世界に名だたる球磨焼酎の礎を築き上げたのです。
豊永酒造が造る球磨焼酎の製法の決まり
球磨焼酎は人吉球磨地方で造られる米焼酎ですが、この地で生産される米焼酎のすべてが球磨焼酎に該当するわけではありません。ラベルに球磨焼酎と表記するには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。
(1)米のみを原料に造る
(2)人吉球磨地方の地下水でもろみを仕込む
(3)人吉球磨地方で蒸溜ならびに瓶詰めを行う
豊永酒造の焼酎をはじめ、このような条件で造られる球磨焼酎の最大の特徴は、米本来の旨味が豊かなことにあります。風味や香りなどの個性は、酵母の種類や製法によって異なりますが、料理との相性のよさは数ある焼酎の種類のなかでも群を抜いていると評価されています。
熊本県人吉地方で造られる「球磨焼酎」は産地呼称が認められた人気ブランド
「球磨焼酎」の人気に迫る。世界レベルの米焼酎!
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