ビールは蒸溜酒? 醸造酒? ビールの製造方法を解説

ビールは蒸溜酒? 醸造酒? ビールの製造方法を解説
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「蒸溜酒」や「醸造酒」というお酒の種類を知っていますか? それぞれどんな特徴を持つお酒で、ビールはどちらに分類されるのでしょうか。今回は、両者の違いやビールの製造方法を解説するとともに、ビールから「蒸溜酒」を造る取り組みについても紹介します。

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「醸造酒」と「蒸溜酒」はどう違う?

「醸造酒」と「蒸溜酒」はどう違う?

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お酒の種類は3つに分けられる

お酒は、製法によって「醸造酒」「蒸溜酒」「混成酒」の3種類に分けられます。それぞれのおもな特徴は、以下のとおりです。

◇「醸造酒」
原料に酵母を加えて発酵させて造られるお酒。

◇「蒸溜酒」
「醸造酒」を蒸溜して造られる、アルコール度数の高いお酒。

◇「混成酒」
「醸造酒」や「蒸溜酒」にフルーツやハーブなどの原料を加えて風味づけしたお酒。

このうち、「醸造酒」と「蒸溜酒」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

「醸造酒」の特徴

「醸造酒」は、酵母の働きで原料を発酵させて造るお酒です。ビールやワイン、日本酒などが「醸造酒」に該当します。

「醸造酒」を造る際の発酵方法は3タイプあり、ビール、ワイン、日本酒ではそれぞれ発酵方法が異なります。

◇単発酵
原料にもともと含まれる糖を利用してアルコール発酵させる方法。ワインなどはこの単発酵で造られます。

◇単行複発酵
原料に含まれる糖の量が発酵に十分な量ではない場合、原料の糖を増やす工程を経てから発酵させます。おもに、ビールなどでこの方法が採られています。※後段で、もう少し詳しく紹介します。

◇並行複発酵
発酵と糖化を同時に進める方法で、おもに日本酒などで用いられています。

「蒸溜酒」の特徴

「蒸溜酒」とは、かんたんにいえば、「醸造酒」を蒸溜機で蒸溜して造ったお酒のことです。ウイスキーやブランデー、焼酎などがこれに該当します。

蒸溜工程では、「醸造酒」(もろみ)を加熱して蒸発させたあと、アルコール分などの成分を含む蒸気を冷やして液体化させます。こうして抽出された液体が「蒸溜酒」です。

「蒸溜酒」は、蒸溜の過程でアルコール分が濃縮されるため、高アルコールになるのが特徴。「醸造酒」のアルコール度数が5~15%前後なのに対し、「蒸溜酒」は一般的に40~50%とアルコール度数が高いのが特徴です。なお、「蒸溜酒」のなかには90度を超えるものも存在します。

ビールはどうやって醸造されている?

ビールはどうやって醸造されている?

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ビールの醸造工程をおさらい

ビールが「醸造酒」であることがわかったところで、ビールの醸造工程をかんたんにおさらいしましょう。以下のような工程を経てビールは完成します。

【製麦工程】

原料の大麦を発芽させ麦芽を造ります。

【仕込み工程】

細かく砕いた麦芽と水やホップなどの副原料を仕込み、麦汁を造ります。

【発酵・貯酒工程】

麦汁に酵母を加えてアルコール発酵させ、アルコールと炭酸ガスを造り出したあと、熟成させます。

【ろ過工程】

熟成させたビールから酵母や不純物を取り除き、発酵を止めます。熱処理をすることで酵母の発酵を止めるビールもあります。

【パッケージング工程】

完成したビールを容器に詰めて出荷します。

ビールのアルコール発酵までの流れ

ビールは、前述のとおり、「単行複発酵」という方法で発酵させます。ここでは発酵工程に注目して、アルコール発酵までのおもな流れを確認しましょう。

1.酵素を活性化させる
主原料の大麦を麦芽にする製麦工程を経ると、麦芽のなかの酵素が活性化します。これにより原料を糖化させる準備が整います。

2.酵素の作用で糖を増やす
麦汁を作る仕込み工程では、麦芽の酵素が作用して、原料に含まれるデンプンが糖に変わります。こうして、アルコール発酵に必要な糖の量を増やします。

3.酵母を加えてアルコール発酵させる
十分な量の糖が含まれた麦汁に酵母を加えると、糖は酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスに分解されていき、ビールの原型ができあがります。

以上のように、酵素の活性化や原料の糖化、酵母による発酵までの複数の工程が、単体で別々に行われるため、ビールの発酵方法は「単行複発酵」に分類されます。

なお、このような流れを踏んで造られた「醸造酒」を蒸溜すると、「蒸溜酒」を造ることができます。

ビールを「蒸溜酒」に変える取り組みとは?

ビールを「蒸溜酒」に変える取り組みとは?

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クラフトビールが蒸溜されてジンに変身

「醸造酒」を「蒸溜酒」に変える仕組みを利用した、画期的なサービスを紹介しましょう。

コロナ禍で売れ残ったクラフトビールを蒸溜し、ジンに生まれ変わらせるプロジェクトが、「常陸野ネストビール」で知られる木内酒造(茨城県)によって進められています。

クラフトビールは、大手メーカーのビールと比べると賞味期限が短いものが多く、売れ残った場合は廃棄するしかありません。しかし、蒸溜してジンにすれば、長期の保存が可能になります。約100リットルのビールを蒸溜すると、約8リットルのジンができるそう。

クラフトビールを蒸溜して造られたジンは「SAVE BEER SPIRITS」と名づけられ、山椒やホップで風味づけされているのが特徴。2020年9月より数量限定で販売されています。


SAVE BEER SPIRITS クラフトジンスパークリング缶 数量限定販売
公式サイトはこちら

ビールを蒸溜して消毒液も製造

木内酒造は、やはりコロナ禍の2020年5月、キリンビールやアサヒビールと協力して、ビールから「消毒液」を造る取り組みも行っています。

「BREWERIES UNITE FOR IBARAKI」と名づけられたこのプロジェクトでは、売れ残った大量の業務用のビールを蒸溜して高濃度のエタノールを抽出し、消毒液に生まれ変わらせました。消毒液のアルコール度数は70%ほど。3リットルボトルや300ミリリットルボトルに詰められ、茨城県内の自治体に無償で提供されました。

なお、本プロジェクトを進めるにあたり、キリンの取手工場やアサヒの守谷工場から、それぞれ1万2000リットルのビールが木内酒造の蒸溜所に提供されています。

BREWERIES UNITE FOR IBARAKI
事業のご案内

「醸造酒」であるビールは、蒸溜することでジンなどの「蒸溜酒」を造ることができます。ビールの意外な一面に気づくと、たのしみ方も変わってくる気がしますね。

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