「ビール」と「発泡酒」はどう違う? 定義や味わいの違いを解説

「ビール」と「発泡酒」はどう違う?  定義や味わいの違いを解説
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「ビール」と「発泡酒」の違いを知っていますか? 同じ麦を使用していて売られ方も似ていますが、両者にはどんな違いがあるのでしょう。また、近年注目の「第3のビール」とは何が違うのでしょうか。それぞれの定義とともに、詳しく見ていきましょう。

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「ビール」と「発泡酒」の定義とは?

「ビール」と「発泡酒」の定義とは?

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酒税法上の「ビール」とは

「ビールとは何か」をかんたんに説明すれば、「麦芽・ホップ・水に酵母を加えて発酵させたお酒」となります。とはいえ、厳密にどんなお酒を「ビール」とするかは、各国の酒税法で厳密に規定されています。

一例として、日本における酒税法上の「ビール」の定義の概要を見ていきましょう。(2020年8月時点)

◇麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの
◇麦芽、ホップ、水、麦、米、果実、香味料など、特定の副原料を使用したもの
◇麦芽の使用割合が50%以上のもの
◇副原料の重量の合計が、使用麦芽の重量の5%の範囲内であるもの
◇アルコール分が20度未満のもの

また、使用できる副原料として、以下の材料が規定されています。

麦、米、トウモロコシ、ジャガイモ、でんぷん(スターチ)、糖類またはカラメル、果実、コリアンダーまたはその種、香辛料(コショウ、シナモン、クローブ、山椒など)、ハーブ(カモミール、セージ、バジル、レモングラスなど)、かんしょ(サツマイモ)、カボチャその他の野菜、そば、ごま、含糖質物(ハチミツ、黒糖など)、食塩、みそ、花、茶、コーヒー、ココア、カキ、昆布、ワカメ、かつお節

上記の条件から外れるものは、酒税法上は「ビール以外のお酒」ということになります。

「発泡酒」とは規定外の原料を使った“ビール”

「発泡酒」も、ビールと同様に麦芽を発酵させたお酒ですが、現在の酒税法では、ビールとは異なるアルコール飲料として定められています。

日本における酒税法上の「発泡酒」の定義は、おもに以下のとおりです。(2020年8月時点)

◇麦芽または麦を原料として発泡性を有するもの
◇アルコール分が20度未満のもの
◇麦芽比率が50%未満のもの
◇麦芽比率が50%以上であっても、ビールに使える原料以外を使用したもの
◇麦芽比率が50%以上であっても、規定量を超えて副原料を使用したもの

「発泡酒」には、「ビール」のように麦芽比率や副原料の使用量に制限はありません。副原料の内容も自由です。そのため、さまざまなバリエーションの見た目や香り、味わいを持つお酒を造ることができるのが特徴です。

「第3のビール」とはどんなお酒なのか?

「ビール」や「発泡酒」のほかにも、「第3のビール」(新ジャンル)と呼ばれるビールテイスト飲料があります。こちらは造語で、「ビール」「発泡酒」に次ぐ“3番目のビール”という意味。法律上は「その他の発泡性酒類」となります。

「その他の発泡性酒類」は、現在の酒税法上では、おもに以下のような要件が定められています。(2020年8月時点)

◇糖類、ホップ、水および麦芽以外のもの(穀物など政令で定めるもの)を原料として発酵させたもの
◇麦芽比率が50%未満の発泡酒に麦由来のスピリッツを加えたもの

なお、2023年10月に酒税法が改正され、いわゆる「第3のビール」(新ジャンル)は、「発泡酒」に含まれることになります。

「ビール」と「発泡酒」の味わいはどう違う?

「ビール」と「発泡酒」の味わいはどう違う?

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「ビール」の魅力は原料由来の風味

「ビール」の魅力は、なんといっても麦芽が作り出す苦味とコクにあるといってよいでしょう。口の中で広がる苦味や香り、ゴクゴクと流し込んだときののどごしのよさは、ビールならではの醍醐味です。

一方、「発泡酒」の魅力は、副原料によってさまざまな風味の違いをたのしめる点にあります。じつは、世界では「ビール」として発売されているのに、日本では法律上、「発泡酒」とされているお酒が数多くあります。

また、日本産のものでも、「クラフトビール」として販売されているお酒のなかには、規定外の副原料を使用しているため、「発泡酒」に分類されている“ビール”があります。

本来、ビールは、さまざまなスパイスやハーブ、フルーツによって味つけをほどこして造るお酒です。その意味では「発泡酒」こそ、本来の“ビール”の味わいをたのしめるものといえるかもしれません。

2018年の法改正で「発泡酒」が「ビール」に

2018年に酒税法が改正され、「ビール」に使用できる副原料が多く認められるようになりました。

たとえば、ベルギー発祥のビアスタイル(ビールの種類)の「ベルジャン・ホワイトエール」は、原料にオレンジピールやコリアンダーが使われています。ベルギーを象徴する立派な“ビール”であるにもかかわらず、2018年までは、規定外の原料を使用しているため「発泡酒」とされていたのです。「ベルジャン・ホワイトエール」の人気の銘柄「ヒューガルデン・ホワイト」も「発泡酒」でした。

しかし、2018年の法改正により「ヒューガルデン・ホワイト」は正式に「ビール」として認められるようになったのです。

また、個性的なクラフトビールとして知られる「常陸野ネストビール ホワイトエール」(木内酒造)も、2018年の法改正によって「発泡酒」から「ビール」に変更された銘柄です。副原料にオレンジピール、コリアンダー、ナツメグなどを使い、スパイシーな味わいでビール好きの人気を集めていますが、これらの副原料もビールの副原料に仲間入りしたというわけです。

将来は「ビール」と「発泡酒」が同じ値段に!?

将来は「ビール」と「発泡酒」が同じ値段に!?

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「発泡酒」は「ビール」より安い税率で製造できる

「ビール」と「発泡酒」には、もうひとつ大きな違いがあります。それは、お酒に掛けられる税金。日本では、ほかのお酒と比べて「ビール」に課せられる税率が高いのです。

1990年代、ビールの低価格競争が始まると、ビールの高い酒税を避けて少しでも安い価格を実現するため、メーカーは麦芽の比率を下げた“ビール”を造りました。当時の法律で規定された麦芽比率を満たしていなかったので、それらを「発泡酒」と呼んだわけです。

酒税法はこれからも段階的に改正

酒税法は、今後も段階的に改正されていきます。もっとも大きな変更点は税率です。

現在(2020年8月時点)の、350ミリリットルあたりの酒税は次のとおりです。

◇ビール:77円
◇発泡酒(麦芽比率50%以上):77円
◇発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満):約62円
◇発泡酒(麦芽比率25%未満):約47円
◇第3のビール:28円

2020年10月に、この税率が改定され、以下のようになります。

◇ビール:70円
◇発泡酒(麦芽比率50%以上):70円
◇発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満):約58円
◇発泡酒(麦芽比率25%未満):約47円 ※変更なし
◇第3のビール:約38円

さらに2023年10月には、以下のように変更されます。

◇ビール:約63円
◇発泡酒(麦芽比率50%以上):約63円
◇発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満):約54円
◇発泡酒(麦芽比率25%未満):約47円 ※変更なし
※第3のビールは発泡酒に統合

そして、2026年10月には、いずれも350ミリリットルあたり約54円に一本化されます。

もともと「発泡酒」は価格の安さが特徴でしたが、将来的に「ビール」との差はなくなるわけです。今後「ビール」と「発泡酒」の間では、価格ではなく原料の違い、ひいては風味の勝負になっていくのかもしれません。

法改正によってさまざまな副原料の使用が認められ、今後も段階的に税率が変更されていくことで、新たな魅力を持つ“ビール”が登場するかもしれません。これからのビール・シーンに要注目です。

「ビール」と「発泡酒」違いってちゃんと知ってる?
ビールの「定義」とは?「発泡酒」や「第3のビール」との違いって?

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