進化したネオ角打ちは絶好の立ち飲みスポット! 選りすぐりのお酒を味わえる人気店をご紹介
酒屋さんの一角で、立ち飲みでカジュアルにお酒を味わえる「角打ち(かくうち)」ができるお店がここ数年で急増中。オシャレなスタンドバーのような雰囲気で、年齢や性別を問わず、仕事帰りや飲み会の前に“軽く一杯”からたのしめるスタイルで話題を呼んでいます。メニューが豊富な人気の3店をご紹介。
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2020年2月にオープン、学芸大学駅すぐそば「学大ますもとsaké & Apéro」
東急東横線 学芸大学駅前の東口商店街にある「学大ますもとsaké & Apéro」は、この春オープンしたばかりの酒屋さん。
目黒区五本木にある「五本木ますもと」が母体の2号店で、店に入ると右手の壁一面に日本酒、左手の壁一面にはワインがずらりと並んでいます。
人気銘柄も揃う日本酒コーナー
150アイテム以上の銘柄が揃うワイン。自社でワイナリーから直輸入している商品も。
奥へ進むと、カウンターとテーブルが配置されたスタンディングバーが。
並んでいる日本酒のボトルとワイン樽の照明が違和感なくマッチした、オシャレな雰囲気です。
大きな日本酒のボトルは、開店のお祝いに親しい酒蔵から贈られた珍しい「10升瓶」。
「『五本木ますもと』は、歴史の長いクラシカルなスタイルの酒屋で飲食店関係のお客さんが多いです。なので、2号店のこちらは一般のお客さんが気軽に立ち寄って、お酒と出会ってたのしめるスタイルにしたいと思ったんです。」と、代表の大山淳一さんがお店のコンセプトを聞かせてくれました。
「女性が一人で気軽に入ってシャンパンを味わえる、そんな雰囲気のお店づくりを目指しました」。
さて、まずは1杯いただこうと「本日のシャンパーニュ」をお願いしたところ、大山さんが店内のセラーから1本取り出し抜栓してくれました。
HENRI GIRAUD ESPRIT NATURE ¥1,000(税込)
「このセラーは、-5℃の温度で保管ができるんです。一度温度をグッと下げてシャンパンを〆て、そこから少しずつ味わいの変化をたのしんでもらえたらと思い、よく冷やしてお出ししています」。(大山さん)
口に含むと、シュワッとしたガスとともに、シャンパンがスーッと喉の奥に流れていき、その清涼感があまりに心地よくて感激!
少しずつ室温に慣れていくにしたがって、上品な香ばしさや味わいも感じられます。
店内の黒板にはおつまみのメニューが書かれていて、品数が豊富で驚きました。
大山さんのオススメをお願いしたところ、おいしそうなアテが運ばれてきました。
モッツァレラブッファラ 水牛チーズ&セミドライトマト ¥500(税込)
ジャーキー&枝付干しぶどう ¥500(税込)
酒粕クリームチーズ ¥400(税込)
スッキリとしたシャンパンに、チーズのミルキーさとトマトの酸味がピタリと合いました。
ビーフジャーキーは大山さんが見つけた国内産のもので、店員のみなさんもイチオシの味わい。
酒粕クリームチーズは高知の日本酒「船中八策」を使用したものです。
ここで、もう1杯お酒をオーダー。続いては日本酒。なんと、18年熟成した貴重なお酒です。
王祿 18年熟成 純米吟醸 舟しぼり原酒 無濾過本生 ¥1,000(税込)
「五本木のますもとの地下にあるカーブで、―5℃で熟成したお酒です。500円からグラスで飲めるお酒は10種類以上ありますが、このような貴重なお酒もご用意しています」。(大山さん)
徹底した温度管理のもとに熟成したお酒はとても滑らかな舌触りで、じわじわとふくよかな味わいが広がります。こちらも冷えた状態から徐々に常温に近づいていく味の変化をたのしめました。
すると、「ぜひ日本酒と一緒に味わってもらいたいおつまみがあるんです」と大山さん。
あん肝 ¥500(税込)
「私がよく行くお鮨屋さんのメニューなのですが、大ファンなので、お願いして特別に仕入れさせてもらっています。このあん肝、日本酒ととてもよく合うんです」。(大山さん)
あん肝とトビッコの食感が絶妙にマッチしていて、深みのある味わいが本当に日本酒にピッタリで感激しました。
ほかにも、学大駅近郊にはおいしいお店が多く、そこから仕入れたメニューもあり、地域のみなさんと連携しながらお客さんに親しんでもらえるお店にしていきたいと大山さんは語ります。
「私たちはお酒の生産者の方たちの想いをお客様に伝えることが使命です。ボトルやグラスに魂を込めてお客様にお渡ししています」。
駅から近く、気軽に立ち寄れる酒屋さんで、お酒を選びながら「ちょっと一杯」味わってみるのはいかがでしょうか。
学大ますもと saké & Apéro
(2020年9月現在の営業時間)
12:00〜21:00 平日
12:00〜19:00 日・祝
火曜定休
http://www.sake-masumoto.com
国内外の厳選したクラフトビールのボトルショップ「The Slop Shop」
東急東横線 都立大学駅から歩いて7〜8分。中根公園の向かいに2019年にオープンした「The Slop Shop」は、最先端のアイテムからクラシックな商品まで、厳選したビールを常時100種類以上揃えるビールのセレクトショップ。店内で味わうこともできることから、連日ビールファンが足繁く通う人気のお店です。
店内は中央にテーブルがあり、スタンディングバーのよう。
カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、日本国内のクラフトビールが揃っています。
お店を運営する「株式会社ハリーメイ」は、ビールの輸入卸業社で海外のビール事情に精通しており、また、ボトルや缶の商品が少ない国産ブルワリーをより多くの人に知ってもらいたいと、樽の状態の生ビールを直接仕入れ、自社輸入品も含めた常時5種類のタップを提供しています。
おもに、日本、アメリカ、カナダの生ビールが揃っているタップ。
さっそくオーダー。お店の大曽根さんにどんなタイプが好きかを聞かれ、「香りや味わいがしっかり目が好き」と伝えたところご用意いただいたのがこちら。
Ransack The Universe 355ml ¥1,000(税込)
「ランサック ザ ユニバース」はカナダ産のクラフトビール。北半球と南半球のホップを併せて使用していて、グラスを近づけると南国フルーツのような香りが。一口飲むとマンゴーのようなフレーバーと、モルトの味わいが心地よく舌の上に広がり、苦味は控えめでキレが抜群。まさに、香りも味わいもしっかり味わえるビールでとてもおいしい!
すると、「このビールは缶でも販売しているんですよ」と大曽根さん。
缶の絵柄はほかにも数種類あるそう。
Collective Arts Ransack The Universe 473ml ¥1,010
フードメニューも充実していますが、取材時(2020年6月)は、「調理するものは当分お休み」とのことなので、ナッツとビーフジャーキーを。
ミックスナッツ ¥310(税込)
ビーフジャーキーは歌舞伎町のサンドイッチ専門店のものだそうで、なんと半生。
ジューシーでスパイシーな味わいは、ビールととてもよく合いました。
ビーフジャーキー ¥550(税込)
大曽根さんによると、クラフトビールへの注目度がここ数年高まっているなか、ビール業界ではとくに国産のクラフトビールの評価が急上昇しているそう。
「ブルワリー数も増えて、様々なバックグラウンドを持つ人が携わるようになり、業界全体で切磋琢磨しあっていることでレベルが上がってきていますね。味わいのバランスのよさや飲みやすさなどの評価がとても高まっています」。(大曽根さん)
ご近所の常連さんのほか、クラフトビールにハマったビールファンが、遠方からお店に訪ねてくることも増え、年齢や性別を問わず、クラフトビールの愛飲者が増えているのを実感されているとか。
店内ではTシャツやショッピングバッグなどオリジナルグッズを販売。
古本の販売もされています。
ところで、壁を見ると、「生ビールの量り売り始めました」の紙が。
「生ビールの量り売り」は珍しい!
「もともと考えてはいたのですが、今回のコロナ禍もあって春から始めました」と大曽根さん。
16oz(473ml)から、24oz、32oz、64oz単位で量り売りをしています。
ただ、生ビールなので、容器は適したものじゃないと難しく、ペットボトルや蓋がないもの、コーヒータンブラーはNGとのこと。
お店には「グラウラー」と呼ばれるビールを入れるための容器があり、そちらをレンタルすることが可能で、ビールはその日のうちに消費することが条件だそう。
グラウラーのレンタル料金は¥100〜。
そのほかに、デポジットとして¥1,000(返却時に返金)、3日以内に要返却。
※こちらの記事もお読みください。
たのしいお酒.jp
「ビールを入れる水筒「グラウラー」の選び方
https://tanoshiiosake.jp/5120
ビールの陳列棚に並ぶPOPには、味わいやブルワリーのコンセプトがお客さんに伝わるようにと、ぎっしりと商品の紹介文が書かれていて、造り手とお客さんを繋ぐお店として使命感を持っていらっしゃることがよくわかります。
「クラフトビールのブルワリーは、大手のメーカーとは違ってとても小さな規模で造っていますが、ネーミングやラベル、味わいなどすべてにおいて哲学が込められています。クラフトビールの世界はそういった意味でもとても深くて面白いので、今後もっとビールを愛する人を増やしていきたいですね」。(大曽根さん)
喉越しや味わいに造り手の思いが感じられるクラフトビール。
まだ出会ったことのない味を求めて足を運んでみてはいかがでしょうか。
The Slop Shop
酒販店・飲食店営業時間
平日:15:00~22:00
土日祝:11:00~22:00
https://theslopshoptokyo.wordpress.com
日本酒、焼酎の“和酒カクテル”を味わえる「伊勢五本店 中目黒店」
東急東横線 中目黒駅から徒歩4分。シックな外観が目を引く「伊勢五本店 中目黒店」は、千駄木に本社を持つ、宝永3年(1706年)創業の老舗酒屋の2号店として2015年にオープン。
日本酒、日本ワイン、焼酎を600種類以上揃える、お酒好きの間から根強い支持を得ている人気店です。
売り場のスペースが広く、歩きやすい店内。
店の奥にはカウンターがあり、そこが角打ちスペース。正面の黒板にはぎっしりとお酒の銘柄名が並び、ラインナップはかなり豊富です。
椅子に座ってゆっくりとお酒が飲める角打ちコーナー。
「日本酒は12〜15種類、焼酎は芋、麦、米の本格焼酎が10種類以上、また、国産ウィスキーもあります。日本酒は90mlで300〜600円、焼酎はすべて60mlで400円で、ロックや水割り、お湯割り、ソーダ割りなど、飲み方はお客様のご要望に合わせて提供しています。
ほかにも、ビールやスピリッツ、和酒カクテルもありますよ。」と話してくれたのは店長の長澤さん。
選りすぐりの国産のお酒が揃っています。
「和酒カクテルは、女性社員が自宅でたのしんでいた飲み方を社内で提案したところ、『これはイケる!』となり角打ちのメニューになりました。評判も上々です。」(長澤さん)
早速、日本酒ベースのカクテル、奈良の大倉「UNO」とパインジュースのカクテルをオーダー。
氷の中のミントがアクセントとなり、見た目が爽やか。味わってみると、日本酒の甘みと酸味がパインジュースと絶妙にマッチしてとてもおいしい!
大倉「UNO」×パインジュース 500円(税込)
「焼酎ベースのカクテルも面白いですよ」と長澤さん。
宮崎の「青鹿毛」という麦焼酎をベースに、牛乳とカルピスを合わせたカクテルは、赤いクコの実がトッピングされ、見た目はスイーツのよう。
青鹿毛×牛乳×カルピス 400円(税込)
麦焼酎の香ばしさが口の中に程よく残り、そこに牛乳とカルピスのコクがやわらかく舌に広がり、見た目通り、“杏仁豆腐”のような雰囲気。
お酒に合うおつまみメニューもあり、「日本酒にはぜひこちらを」とオススメされたのが、いわしの醤油煮。
三陸産 真いわしの醤油煮 400円(税込)
そして、「ホワイトソースも日本酒とよく合うんです」とグラタンが。
角打ちと思えない豪華なメニューです。
国産カキグラタン 700円(税込)
焼酎には、紫いもがコーティングされたそら豆のおつまみ。
紫いもそら豆 300円(税込)
すると長澤さんから、「今、焼酎ファンの間で注目されている芋焼酎があるんですよ」とご紹介いただいたのが「フラミンゴ・オレンジ」。
フラミンゴ・オレンジ 400円(税込)
「一般的な芋焼酎のイメージを覆す、華やかで柑橘の香りがする鹿児島の芋焼酎なんです。一度飲んでリピーターになる方がとても多い人気の焼酎です」。(長澤さん)
おすすめのソーダ割りで飲んだところ、フルーツを思わせる香りにかなり驚きました。今までに味わったことがない、爽やかな印象の芋焼酎です。
「こうした最近話題のお酒の情報やカクテルのレシピなどをお伝えするなど、カウンター越しにお客様と交流させてもらっています。飲んだ感想など、お客様のリアルな声は仕事にも生かせるのでとても貴重です。」と長澤さん。
「それぞれの酒蔵やワイナリーの素晴らしさも、お客様にしっかりとお伝えしていきたいです。」と話す長澤さん。
「中目黒店は20〜40代のお客様が多く、中にはお酒ビギナーの方もいらっしゃり、角打ちで試飲して、購入するお酒を決められる方も多いです。ご自身の好みのタイプを知ることもできるので、気軽に一杯からたのしんでもらいたいですね。」(長澤さん)
オシャレなお店が続々とオープンする人気の街 中目黒で、トレンドのお酒をリサーチしてみてはいかがでしょうか?
伊勢五本店 中目黒店
平日 11:00~19:30(角打ちL.O.19:00)
土日 11:00~20:00(角打ちL.O.19:30)
定休日 火曜日・祝日
酒販店は11:00〜20:00
https://isego.net
伊勢五本店 オンラインショップ
https://www.isego.shop/
以上3店をご紹介しましたが、どの店舗も、「お客様にお酒に親しんでもらいたい」という思いに溢れた素晴らしいお店でした。
進化した角打ちで、お酒をより深く知るきっかけが生まれるスポットに違いありません。
※紹介した商品情報は記事執筆時点のものです。購入・サービス利用時に変更になっている場合がありますのでご注意ください。
ライタープロフィール
阿部ちあき
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター