ビールの魅力を引き出す炭酸の秘密とは?
ビールのシュワシュワ感は炭酸ガスのおかげ!発酵で生まれる自然な炭酸がビールの味わいをどう変えるのかを詳しく解説。炭酸の秘密を知って、もっとおいしいビールをたのしみましょう!
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ビールの炭酸はジュースの炭酸とは違う
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ビールの炭酸は発酵過程で自然に発生
ビールの炭酸はどのように生じるのでしょうか?
ビールはおもに「製麦」「仕込」「発酵」「貯蔵」「ろ過」「パッケージング」の6つの工程を経て造られます。このうち炭酸は「発酵」の工程で生じます。
「仕込」で造られた麦汁を冷まし、酵母を加えてタンクで1週間ほど発酵させると、酵母の働きによって麦汁の中の糖がアルコールと炭酸に分解されます。このときできる炭酸が、ふだんたのしんでいるビールの炭酸です。
ビールの炭酸とは違い、ジュースの炭酸は人工的に入れたもの
炭酸ガスは、ジュースやソーダ、コーラなどの清涼飲料水にも含まれています。ジュース類の炭酸も、ビールのように自然発生したものなのでしょうか。答えはノーです。
ジュース類の炭酸は自然にできたものではなく、人工的に発生させたものが加えられています。原料の液体を冷却して圧力をかけ、炭酸のもとである二酸化炭素を溶け込ませているのです。
ビールの炭酸の役目はビールをおいしくすること
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ビールの泡は炭酸でできている
ビールを勢いよくグラスに注ぐときにできる「泡」。泡の正体は、ビールに含まれているたんぱく質やホップ樹脂などが、炭酸ガスの気泡に付着したものです。
炭酸入りのジュースと比べて、ビールの泡がより長持ちするのは、製造工程で造られる「麦芽」のたんぱく質などで泡がコーティングされているため。
かつては、製造環境の問題で、炭酸が空気中に逃げて、ビールの炭酸は少なめでした。しかし、密閉や冷却技術が進歩すると、炭酸ガスの多いビールも造られるようになりました。
現在は、ビールの種類(スタイル)によって、炭酸ガスの量が調整されています。
ビールの炭酸で作られる泡は、舌も目もたのしませてくれる
泡は、ビールのおいしさにどのように関係しているのでしょう?
ビールの泡は、炭酸ガスや香りが空気と接触して劣化するのを防ぎます。いわば、グラスにフタをしているようなもの。また、泡があると口当たりのよい感触をたのしめます。これはみなさんも実感していることでしょう。
「ビールの苦味成分が泡に移ることで、まろやかな苦味になる」といった、研究結果もあるようです。ビールをグラスに注ぐと、液体と泡の色が、きれいなコントラストをつくり出し、いかにもおいしそうな見た目に。ビールのシズル感を演出することにも、泡は一役買っていますね 。
炭酸でできる泡のおかげで、ビールの味わいをもっとたのしめるようになるんですね 。
ビールの炭酸を活用してビールをたのしむコツ
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ビールをおいしく注ぐコツ
ビールの炭酸が泡を作り出し、泡はビールをさらにおいしくします。上手に泡を立てて、もっとビールをたのしめるように、3度注ぎという、麦芽の甘さや旨味をより感じやすくなる ビールの注ぎ方をおさらいしましょう。
まずは、冷やしたグラスに勢いよくビールを注ぎます。泡がグラスのフチまで上がってきたら、いったん注ぐのをストップ。泡が落ち着くのを待ち、泡と液体の比率が5:5になったところでもう一度ビールを注いでいきます。このとき、1度目よりやさしく注ぐのがコツ。泡がフチまできたら注ぐのを止めます。
再び泡が落ち着くのを待って、泡と液体の比率が4:6になったところで、3度目のビールをやさしく注ぎます。泡と液体が3:7になったら完成です。
この3度注ぎとは逆に、ほとんど泡を立てないように注ぐと、ガス感が強く、シャープな味わいのビールをたのしめます。
グラスで飲めばビールはさらにおいしくなる
自宅で飲む場合も、ビールはグラスに注いで飲むのがおすすめ。もちろん缶やボトル入りのビールをそのまま飲んでもおいしいですが、グラスに注ぐと香りが広がり 、ほどよく炭酸が抜け、口当たりがマイルドになります。
たとえば、中央がやや膨らみ口が細くなっているグラスは、日本の一般的なビール「ピルスナー」におすすめ。香りが逃げず、泡が美しく立ち上がるカタチになっています。
ビールの銘柄によっては、専用のグラスが用意されていることもあります。このように、ビールのおいしさを最大限に引き出すには、ビールの種類に合ったグラスを選ぶことも大切なのです。
ビールの炭酸は、ビールをおいしく飲むための「泡」を作るのに必要不可欠なもの。炭酸や泡の役割がわかれば、グラスで飲みたくなってきますよね。ぜひグラスに注いで、泡立たせたおいしいビールをたのしんでください。