「ヘッド」は樽生ビールの味を左右するカギとなるパーツ
「ヘッド」とは、樽生ビールをグラスに注ぎ出す際に欠かせないパーツのひとつ。あまり聞きなれないかもしれませんが、居酒屋などで新鮮な樽生ビールが飲めるのも、この「ヘッド」のおかげ。今回はそんな「ヘッド」の役割や種類などについて紹介します。
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ヘッドは樽生ビールの心臓部
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ヘッドは樽生ビールをおいしく飲むための重要なパーツ
「ヘッド」は「ディスペンスヘッド」や「カプラー」とも呼ばれ、樽生ビールの樽上部に取り付けられるパーツのこと。樽生ビールをグラスに注ぐ際に、その味わいを左右する重要なパーツです。
一般的に、樽生ビールは、炭酸ガスを使って樽からビールを押し出すことで、グラスに注ぎ出す仕組みになっています。ヘッドは、樽と炭酸ガスボンベ、ビールサーバーをつなぐ、まさに“要”となるパーツです。
ヘッドの構造はガスとビールの通り道を分ける
ヘッドの構造は、その種類によっても異なりますが、大まかには本体とシリンダー、ハンドルで構成されています。
樽に取り付ける本体の内部は、中央をシリンダーが通り、その周囲の隙き間から炭酸ガスを樽内に引き入れ、樽内のビールをシリンダーへと押し出す仕組みになっています。このヘッドが正常に機能しているかどうかが、生ビールをうまく押し出せるかどうかを左右します。
樽生ビールのヘッドの違い
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国内ビールメーカーのヘッドの規格
ヘッドにはいくつかの規格があり、基本的な仕組みは同じでも、それぞれ構造が異なります。
国内の大手ビールメーカーで使われているヘッドは、「Gタイプ」と「Sタイプ」の2種類に大別されます。
Gタイプはキリンビールが使用しているもので、アメリカではこちらが主流なのだとか。アサヒ、サッポロ、サントリーはSタイプを使用していて、国産クラフトビールのブルワリーもこちらを使用しているところが多いようです。
ヘッドの規格は国によってさまざま
世界で使われているヘッドをタイプ別で分けてみると、日本で使われている2種類以外にも「Aタイプ」「Dタイプ」「Mタイプ」「Uタイプ」などさまざまな種類があり、国や地域によってバラバラなのだとか。
先ほど紹介したように、アメリカではGタイプが主流ですが、ドイツなど欧州ではAタイプが多いといわれています。とはいえ、メーカーによっても使用しているタイプが異なり、それぞれ互換性がないため、かなり面倒な状況のようです。
最近では、ヘッドを使った従来の樽生ビールとは異なり、中身のビールにガスが触れない「キーケグ」と呼ばれる使い捨ての容器が開発されています。
ビールの品質を保つにはヘッドのメンテナンスが重要
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ヘッドのメンテナンスの重要性
ヘッドは、樽生ビールを注ぐ際に、最初にビールが通るパーツです。ビールの質を保つためにも、また衛生面から見ても、毎日の洗浄や定期的なメンテナンスが重要になります。
居酒屋など飲食店では、ビールメーカーの担当者が訪問してメンテナンスするほか、お店のスタッフが毎日、洗浄しています。おいしい樽生ビールが飲めるのは、私たちに見えないところで、こうした作業を行ってくれている人たちがいるからなのですね。
洗浄の際のポイント
ビール好きが高じて、自宅で樽生ビールがたのしめるよう、業務用ビールサーバーを購入する人もいるようですが、その場合は、自分でヘッドを洗浄する必要があります。
ヘッドの分解・組立は、比較的簡単にできるので、ヘッドの外側だけでなく、内部の部品まで、ていねいに洗浄しましょう。
ヘッドを洗浄する際は、お湯は使わず、常温の水道水で洗います。ヘッド本体内部の小さな部品は洗浄時に紛失しやすいので注意が必要です。とくにシリンダー内部は傷つきやすく、万一、破損するとガス漏れなどのトラブルにつながるので要注意!
取扱説明書をよく読んで、しっかりメンテナンスしましょう。
樽生ビールにはなくてはならない部品、それが「ヘッド」と呼ばれるパーツです。普段、何気なく飲んでいる樽生ビールですが、おいしく飲むためにはさまざまな工夫があるんですね。