岡山の日本酒【竹林(ちくりん):丸本酒造】“農産酒蔵”をめざす農醸一体の酒
「竹林」を醸す蔵元、丸本酒造は、岡山県浅口市で150年以上の歴史を持つ蔵元です。丸本酒造では、酒造りの原料である米の質を追求し、“農産酒蔵”として自らこだわりの米作りを行っています。ここでは、丸本酒造の歴史と米作り、代表銘柄「竹林」の魅力について紹介します。
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「竹林」の蔵元、丸本酒造は幕末以来の歴史を持つ老舗蔵
出典:丸本酒造サイト
「竹林」の蔵元、丸本酒造は「備中杜氏」の伝統を受け継ぐ
「竹林」を醸す丸本酒造は、慶応3年(1867年)、初代当主である丸本嘉之松氏によって岡山県浅口市で創業されました。
丸本酒造が蔵を構える岡山県南西部は、古くから酒造りの伝統と技が根づき、江戸時代には高度な酒造技術とで名を馳せた杜氏集団「備中杜氏」の里。丸本酒造はこの地で150年以上にわたり、地元の水と米、そして伝統の技術にこだわる酒造りを続けてきました。
「竹林」の蔵元、丸本酒造の品質本位の取り組み
丸本酒造は、創業当時は水がよいことにちなみ、「清水屋」という屋号で酒造りを行っていました。大正期の酒造業ブームを経て、昭和の時代には醸造機器や貯蔵庫など近代的な設備を導入し、事業規模を拡大してきました。
昭和の終わりから平成にかけては、醸造用糖類の使用を全廃し、添加物のない純米酒の生産を拡大するなど、本格的な高品位化を推進。その一環として、良質な原料を確保するため自ら米作りにも取り組んでいます。
「竹林」の蔵元、丸本酒造は「蔵による米作り」の先駆者
出典:丸本酒造サイト
「竹林」の蔵元・丸本酒造によるこだわりの米作り
丸本酒造が“酒造好適米の王様”と呼ばれる「山田錦」の自家栽培を開始したのは、昭和62年(1987年)のこと。翌年には、この米を原料にした大吟醸酒「竹林」を発売しました。
以来、“農産酒蔵”として原料米の全量自家栽培をめざす丸本酒造では、「お酒づくりに寄り添うお米」をポリシーに、独自の米作りを続けています。一般的に、農家の米作りでは肥料を多用して大粒の米を作る傾向がありますが、丸本酒造では、粒の大きさよりも米の育ち方を重視。収穫までに3度、稲を栄養不足の状態にして黄色くさせる農法を採用しています。この「三黄(さんおう)作り」と呼ばれる農法により、稲自身の生命力が引き出され、品質が向上するとともに、倒伏を防いで収穫率も向上するのだとか。
丸本酒造は日本初の酒米農業特区で有機栽培を行う
2003年には、国の構造改革の一環として、蔵のある浅口市鴨方町が全国初の「酒米農業特区」に認定。従来は農家から農地を借りる必要がありましたが、酒造会社が直接、農業に参入できるようになったことで、より本格的な米作りが可能となりました。
この追い風を受けて、丸本酒造は農地を拡大するとともに、有機的栽培にも注力。日本農林規格(JAS)の認証を取得するとともに、米国やEUなど海外の認証も取得するなど、安全・安心な米作りに邁進しています。
「竹林」ブランドの個性豊かなラインナップ
出典:丸本酒造サイト
「竹林」は自家栽培の「山田錦」と地元の水で醸す人気ブランド
「竹林」は、丸本酒造が自家栽培した「山田錦」を、竹林寺山(ちくりんじさん)からの伏流水で醸したお酒。日本最大級の反射望遠鏡を備えた国立天文台で知られる、標高366メートルのこの山が、「竹林」という銘柄の由来になっているのだとか。
地元の水で自家栽培の米の旨味を活かした「竹林」は、味わいの異なる4種類のラインナップがあります。
【竹林たおやか】
香りが高くなめらかな甘さがある純米大吟醸酒で、完熟のマスカットのような味わいとエレガントな余韻が魅力。軽く冷やして食前酒として飲みたいお酒です。
【竹林かろやか】
華やかな香りと軽い味わい、ほのかな甘味が特徴の純米大吟醸酒。魚料理や鶏肉料理との相性がバツグンです。軽く冷やして、白ワインのようにたのしむのがオススメ。
【竹林ふかまり】
香木のような落ち着いた香りがあり、辛口のなかにわずかな甘さを感じる純米酒。肉料理や味の濃い料理との相性がよく、冷やさずに室温から燗酒で飲むのがオススメ。
【竹林オーガニック】
オーガニック製法にこだわり、有機JASのほか米国のNOP認証、EUによる認証も取得している純米吟醸酒。軽くしっとりとした香りと複雑な旨味があり、すっきりとしたキレ味のお酒です。
「竹林」をはじめとする丸本酒造の日本酒は、こだわりの米作りによって生み出されています。米の旨味をしっかりとかみしめながら味わいたいですね。
製造元:丸本酒造株式会社
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