グラスによって驚くほど美味しくなる! ワインに合わせてグラスを選ぼう

グラスによって驚くほど美味しくなる! ワインに合わせてグラスを選ぼう
出典 : 画像提供/リーデル・ジャパン

「そもそもワイングラスとは?」「美味しく飲むためにワイングラスを揃えたいけど、どのようにして選べばいいの?」「最低限どんなタイプのグラスがあれば大丈夫?」――そんな疑問を解消すべく、ワイングラスの歴史やブドウ品種やワインのタイプを意識したグラスの選び方を達人にお聞きしました。

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20世紀後半から、ワイングラスの概念が大きく変化

お話を伺ったのは(一社)日本ソムリエ協会公認ソムリエで、リーデル社ワイングラス・エデュケイターの庄司大輔(しょうじ・だいすけ)さん。

ワイングラスと聞くと、球形のボディで脚が長く透明でシンプルなタイプをイメージしがちですが、装飾が施された陶器や、艶やかな色彩をまとったグラスも存在するのも事実。こうした「そもそもワイングラスってどんなグラスなの?」から始まる一連の疑問に答えてくださったのが庄司大輔さん。世界から愛されるワイングラスの老舗リーデル社のブランド・アンバサダーで、セミナーなどを通してワイングラスの啓発活動をされています。

「かつてワイングラスは、ディナーセットの一部のような位置づけだったと考えられます。お皿はもちろんカトラリーとともに、食卓を華やかに演出。同時に統一感を醸し出す役割も果たしていたのでしょう」
確かに金で縁取るなどお皿と同様の装飾が施されていたデコラティブなグラスを、アンティークショップなどで見かけることがあります。独特の色合いの外観で、細かいカットや掘り込みがされたボヘミアガラスのワイングラスなどを贈ったり、贈られたりした人もいるでしょう。

「これらは視覚で食事やワインをたのしむために重宝されましたが、1950年代後半にリーデル家9代目当主クラウス・リーデルが、ブドウ品種に合ったグラス形状というコンセプトをワイングラスの世界に導入。ワインそのものを美味しく味わうためのグラスづくりが始まったのです」

グラス自体の美しさや愛らしさで、ハレの日の食卓を優雅に演出してきたワイングラスたち。上:Raymond Kwan Artwork/Shutterstock.com 下:D.Bond/Shutterstock.com

“五感”でワインを味わえるグラスとは?

「ブドウ品種やワインのタイプに合わせた形状のグラスをチョイスするのが大切です」

ワインを口まで運ぶ役目から、ワインそのものを味わうための大切な道具として進化してきたワイングラス。ちなみにワイングラスは、「ボウル(卵型の部分)」「ステム(脚)」「台座(グラス全体を支える部分)」の3つで構成されますが、ステムの長さと台座の大きさはボウルの形状とのバランスで決まるもので、
「この2つはあくまでデザインや構造の一部なので、飲んだワインの味わいに直接影響するものではありません」
余談になりますが、いわゆる脚無しタイプのグラスでも、ワインの味わいを損ねることはないそうです。

ブドウ品種などに合わせたワイングラス選びで、大切なのがボウル部分。カーブの度合いなどの形状とそのサイズ、そして口径の3つを調整することによってワインの特徴を引き出し、美味しく飲めるグラスを創り出しているのです。

タンブラーにはないボウル部分のゆるやかなカーブを描く形状によって、ワインが口の中に入る量や速度、最初に舌に当たる場所などをコントロールできるそう。

「この部分の長さが口径。開き具合はワインの香りや味わいに大きく影響します」。

「卵型のボウル部分のカーブの度合いを、私たちは“すぼまり”と表現しています」。

リーデルでは1973年から、ブドウ品種の特性に合わせたワイングラスの開発に着手。ただ「リーデル独自で開発するのではなく、世界中のワイン生産者たちと納得のいくまでテイスティングを繰り返し、最適な形状を模索。香り、味、テクスチャー…。ワインを五感で味わえるグラスを目指してきたのです」
次章ではこのようにして誕生したモデルを例に、ワイングラスの選び方をレクチャーしていただきました。

ワインと料理とグラスは三位一体

バリエーション豊かなグラスから、飲むワインにふさわしい1脚を選びましょう。画像提供/リーデル・ジャパン

「ブドウ品種の違いや、フルボディ、樽熟成などワインのタイプによって合わせるグラスは異なります」と庄司さん。
ここでは代表的な5パターンを教えていただきます。ワインとグラスがペアリングできたら、隣に並ぶべき料理も気になるということで、相性のよい料理も挙げてもらえることになりました。

タンニンのしっかりした赤ワインなら

カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインに。<リーデル・ヴェリタス>カベルネ/メルロ。画像提供/リーデル・ジャパン

「カベルネ・ソーヴィニヨンなどタンニンのしっかりしたフルボディの赤ワインなら、大ぶりでゆったりとしたすぼまりのあるボウルを持つタイプを。ワインの複雑で芳醇な香りが解きほぐされ、重厚な赤ワインをなめらかにたのしめます」

■こんな料理と…
ビーフシチューなどこってりとした味わいの料理や、よくグリルした肉料理、濃厚な赤ワインソースをまとった肉料理と一緒にいただきましょう。

例えば、ビーフシチュー。Geshas/Shutterstock.com

フルーティーで香りが複雑な赤ワインなら

ピノ・ノワールやネッビオーロに。<リーデル・ヴェリタス>ニューワールド・ピノ・ノワール。画像提供/リーデル・ジャパン

「複雑で赤い果実のニュアンスを持つ赤ワインには、大ぶりでしっかりとしたすぼまりのあるタイプを。大きなボウルの中で、香りを十分に開いていきます。代表的なピノ・ノワールのほか、イタリアで有名なネッビオーロなどにも適していますよ」

■こんな料理と…
鶏や豚などの白身の肉を使用した淡白な味付けの料理や、グリルした魚料理。酸味の利いたさっぱりした料理も合います。

例えば、鶏の香草焼き。sasaken/Shutterstock.com

スパイシーで凝縮感のある香りの赤ワインなら

シラーやグルナッシュに。<リーデル・ヴェリタス>オールドワールド・シラー。画像提供/リーデル・ジャパン

「スパイシーでほどよいタンニンのあるシラー種主体の赤ワインは、やや大ぶりでしっかりとしたすぼまりのあるタイプを。ざっくりですが、形状は先のカベルネ・ソーヴィニヨン用(いわゆるボルドータイプ)の下半分、ピノ・ノワール用(いわゆるブルゴーニュタイプ)の上半分を備えていて、汎用性の高いグラスです」

■こんな料理と…
鴨や猪といったジビエを使用した肉料理やスパイスの利いたインパクトの強い料理に。ワインのスパイシーさと滑らかな舌触りが重なります。

例えば、鹿のステーキ。stockcreations/Shutterstock.com

爽やかな酸味と豊かなミネラルを持つ白ワインなら

シャルドネやヴィオニエの辛口白ワインに。<リーデル・ヴェリタス>ヴィオニエ/シャルドネ。画像提供/リーデル・ジャパン

「よく冷やした辛口の白ワインを味わうのに最適な小ぶりのタイプ。シャブリのようなきれいな酸があるミネラリーなワインが持つさまざまな要素を、適度なすぼまりによってバランスよくたのしむことができるのです」

■こんな料理と…
アクアパッツァやカルパッチョなど白身魚をさっぱりと仕上げた料理。柑橘類の香りを持った爽やかなワインなら生牡蠣もおすすめです。

例えば、白身魚のカルパッチョ。karelnoppe/Shutterstock.com

樽香が豊かでリッチな味わいの白ワインなら

樽熟成したシャルドネなどの濃厚なワインに。<リーデル・ヴェリタス>オークド・シャルドネ。画像提供/リーデル・ジャパン

「凝縮感と豊かな果実味に柔らかい酸が表現されているなら、白ワインでも大ぶりなタイプを。オーク樽で熟成されバニラのニュアンスを感じるシャルドネにぴったりです。ワインが舌の上でワイドに広がり、酸味と果実味のバランスを整えてくれます」

■こんな料理と…
海老のグラタンや帆立のソテーなど、魚介類をバターやクリームなどで濃厚に仕上げた料理。ワインのクリーミーさと口中でマッチします。

例えば、海老のグラタン。KPG_Payless/Shutterstock.com

最初の1脚にふさわしいグラスも教えます

庄司さんの前に置かれていたグラスが正解でした。

ワインの個性に合ったグラス選びを学びましたが、「これだけのグラスを、一度に購入するのは予算が厳しい」「置いておくスペースがない」という人も多いでしょう。そこで、
「もし最初の1脚としておすすめはありますか?」と庄司さんにお尋ねしたら、
「もちろんありますよ」とにっこり。

それは、縦長でしっかりとしたすぼまりを持つスタンダードな形状のグラス。このグラスだと、舌先に導かれたワインは舌の中央を直線的に流れることで、果実味と酸味のバランスが整えられるとのこと。
「すっきりとした白やロゼ、ボジョレー・ヌーヴォーなどの軽めの赤まで、幅広く対応できます」。
国際的な試飲会でも使用されるタイプと聞いて納得です。

白、ロゼ、軽めの赤と守備範囲の広い万能タイプ。<リーデル・ヴェリタス>リースリング/ジンファンデル。画像提供/リーデル・ジャパン

A4のノートとほぼ同じ高さ。ボウル部分は約半分ぐらいです。

ちなみに2脚目は、シラーに合わせた赤ワイン用のグラスが理想とのことですが、
「赤が苦手な方もいらっしゃるし、泡が好きならシャンパーニュ用も揃えたい――ご自身のワインライフと照らし合わせて考えるのがよいでしょう」。
迷ってしまったら、ショップに赴きスタッフに相談してみるのもおすすめです。

最後にグラスのお手入れについて、気づかずにやってしまっていそうなNGポイントも。
「洗ったグラスの水滴は自然乾燥させずに、手早く拭き取ってください。水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが結晶化してしまうと、白濁してしまうのです」。
大切なワイングラスの輝きを守るために、“洗ったらすぐに拭く”を実践しましょう。

※紹介したワイングラスは、いずれも『リーデル・ヴェリタス シリーズ』で各4500円(税抜)。

■取材協力店&問合せ

リーデル青山本店
TEL03-3404-4456

ブドウの品種やワインの特徴に合わせたグラス選びは参考になりましたか? インタビュー後に同じワインを異なる形状のグラスで飲んでみましたが、その味わいの違いに驚いてしまいました。生産者が丹精込めて醸したワインを最高の状態でいただくために、ぜひこのグラス選びを活用してみてください。

ライタープロフィール

とがみ淳志

(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。温泉ソムリエ。温泉観光実践士。日本旅のペンクラブ理事。日本旅行記者クラブ会員。国内外を旅して回る自称「酒仙ライター」。

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