「スタウト」は地ビールやクラフトビール好きにも人気のビアスタイル
「スタウト」は、地ビールやクラフトビール好きのあいだで人気の高い、アイルランド生まれの黒ビール。その独特な苦味と濃厚な味わいから、愛好家が増えているようです。今回は、そんな「スタウト」の歴史や、代表的な銘柄などを紹介します。
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「スタウト」は地ビールやクラフトビール業界で注目の黒ビール
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「スタウト」とはどんなビール?
「スタウト」は、原料の一部に黒くなるまでローストした大麦を使った、アイルランド発祥の黒ビールのこと。ちなみに「スタウト」とは、「力強い」「頑丈な」という意味の英語です。
「スタウト」は、ビアルタイルとしては上面発酵(エール)タイプに分類されます。同じ黒ビールとしてはドイツ発祥の「シュバルツ」も有名ですが、こちらは「ピルスナー」などと同様の下面発酵(ラガー)タイプのビール。
「スタウト」は、黒ビールのなかでも、上面発酵ならではの芳醇で濃厚な味わいが特徴です。
「スタウト」はギネスビールの創始者が開発
「スタウト」は、1722年にロンドンで生まれた「ポーター」と呼ばれるエールビールが原型。ギネス社の創始者であるアーサー・ギネス氏が、1759年に地元のアイルランドで「ポーター」を改良して造ったのが始まりとされています。
「ポーター」よりもアルコール度数が高く、香ばしい苦味を持った「スタウト」は、その独自性で人気を博します。なかでも元祖である「ギネスビール」は、「スタウト」を代表する銘柄として、アイルランドやイギリスなどのパブにおける定番ビールとして親しまれるだけでなく、世界各国で愛飲されています。
地ビールやクラフトビール好きも注目する「スタウト」の味わいとは?
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「スタウト」の味わいと飲み方
「スタウト」は、ローストした大麦に由来する、ナッツやチョコレート、コーヒーのような香ばしい苦味が特徴のビール。濃厚な味わいながら、すっきりとした後味があって、一般的なビールに特有なホップ由来の苦味が苦手でも、「スタウト」なら飲めるという人も多いようです。
その芳醇な味わいをたのしむためにも、キンキンに冷やすよりも、11~15度程度で飲むのがオススメ。また、一気にぐびぐびと飲むのではなく、ワインのように、じっくりと味わいながら少しずつ飲むスタイルが一般的です。
「スタウト」には幅広いスタイルが
「スタウト」として販売されるビールは、重厚な苦味と、すっきりした後味を持つ「ドライスタウト」と呼ばれるスタイルが一般的です。とは言え、それだけが「スタウト」ではありません。
ほかにも、アルコール度数が高く、苦味や香りも強烈な「インペリアルスタウト」や、乳糖を加えた「ミルクスタウト」、低発酵性で甘味のある「スイートスタウト」、牡蠣のエキスを加えた「オイスタースタウト」など、さまざまなスタイルがあります。
いろいろと試してみて、自分好みの「スタウト」を探してみましょう。
「スタウト」の魅力がたのしめる、地ビール・クラフトビールの代表銘柄を紹介
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日本でも、多くのブルワリーが独自の「スタウト」を販売
地ビールやクラフトビールの人気が高まるなか、「スタウト」も造り手の個性を発揮できるビアスタイルとして、ビールファンの注目を集めています。ここでは、日本各地のブルワリーが造る「スタウト」のなかから、代表的な銘柄を紹介します。
【箕面ビール スタウト】
日本で「スタウト」と言えば「箕面(みのお)ビール」が有名。イギリスで開催された「ワールド・ビア・アワード2009」で「ワールドベストスタウト賞」に輝くなど、数々の受賞歴を誇る銘柄です。
箕面ビールの「スタウト」は、甘さが強く濃厚な「スイートスタウト」と、シャープな苦味のある「ドライスタウト」の魅力を兼ね備えた、どろりとしてまろやかな味わいが特徴です。
【ひでじビール スタウト】
次に紹介するのは、九州の宮崎県で、豊かな自然のなか、自家培養した酵母を使ったクラフトビール造りで知られる「ひでじビール」の「スタウト」です。スペシャルモルトを使用した焦がし麦の香ばしさや、エスプレッソコーヒーのような香りが漂う芳醇な味わいが特徴の、冬季限定の黒ビールです。
製造・販売元:宮崎ひでじビール株式会社
公式サイトはこちら
近年では、地ビールやクラフトビールのブルワリーで「スタウト」を定番ビールとしてラインナップするところが増え、より気軽に「スタウト」がたのしめる環境が整いつつあります。機会があれば、ぜひ、試してみてください。