思わず“ジャケ買い”したくなる、個性あふれる人気の日本酒をご紹介  ~ビジュアル編~

思わず“ジャケ買い”したくなる、個性あふれる人気の日本酒をご紹介  ~ビジュアル編~

日本酒のボトルと聞くと、ラベルに筆文字で大きく銘柄名が書かれているイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし最近では、デザイン性が高く見た目がオシャレなもの、ボトルの形状がユニークなものなどさまざまなアイテムが。そこで、今回はインパクトのあるラベルなど、ビジュアル的に目を引く人気の日本酒をご紹介します。

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現在、日本酒を製造する酒蔵は全国に1,400軒以上あり(国税庁/清酒製造業 平成29年度調査分より)、銘柄の数は1万以上といわれています。
お酒のネーミングや、ボトルに貼るラベルのデザインは、その酒蔵の“顔”ともなるので、蔵元の思い入れもひとしお。
そんな中、ここ数年、一見すると日本酒をイメージし難い、オシャレなデザインのボトルが増えています。
思わず“ジャケ買い”したくなるような個性的な日本酒をご紹介する企画、「ネーミング編」に続いての後編は「ビジュアル編」。

メガネによるメガネのための“メガネ専用”日本酒

メガネによるメガネのための“メガネ専用”日本酒

「メガネ専用 特別純米酒」  萩野酒造株式会社

お酒ファンの皆さんは、10月1日が『日本酒の日』であることはすでにご存知ですよね。毎年全国各地でさまざまな日本酒イベントが開催され盛り上がりますが、じつはこの日が『メガネの日』でもあるのは意外と知られていないかもしれません。
10月1日の数字を並べた「1001」が、メガネをかけた人の顔に似ていることから制定されたのだそう。

その2つの記念日にちなんで発売されているのが、宮城県栗原市の萩野酒造の「メガネ専用 特別純米酒」。
蔵元の佐藤曜平さんと製造スタッフ全員がメガネ着用者だったこともあり、“今まで日本酒に興味を抱かなかった層にも手にとってもらえるように”と、ラベルの中央にはメガネをかけた顔のイラストを表記し、肩ラベルには視力検査で使用される「ランドルト環」のマークを貼るなど、ユニークなデザインで商品化したところ、またたく間に日本酒ファンの間で話題となり、発売と同時に完売してしまうほどの人気商品に。
今年も発売は秋頃を予定。詳しくは酒蔵へメールでお問い合わせください。


萩野酒造株式会社
宮城県栗原市金成有壁新町52番地
お問合せ先 info@hagino-shuzou.co.jp

鯖を食べるためにつくられた“サバ専用”の日本酒

鯖を食べるためにつくられた“サバ専用”の日本酒

 「SABA de SHU(サバデシュ)」 吉久保酒造株式会社

日本酒と魚料理の相性がよいのはいわずもがな。さまざまな魚料理と日本酒のペアリングをたのしむ方も多いと思いますが、茨城県水戸市の吉久保酒造では、地元茨城県が水揚げ日本一を誇るサバをよりおいしく食べてもらうためのサバ専用日本酒 「SABA de SHU(サバデシュ)」を開発し販売しています。

多種の日本酒を絶妙な割合でブレンドし、酸度やアミノ酸度を高くすることで、サバの脂分が流され、旨味をよりたのしむことができる味わいに仕上げており、〆サバ、焼きサバ、サバ煮・・・どんなサバ料理にも合うと評判です。

ラベルは、“サバと日本酒”のみの情報をお客様に伝えるためによりシンプルに構成し、メインターゲットを“サバ好きな女性”と設定したことから、数十人の女性にヒアリングを行い、「サバは横よりも縦にした方が可愛い」という意見を参考にするなどしてデザインを決定したそう。
ちなみに発売を開始したのは、昨年の3月8日(サバの日)だったとか。
サバ料理との相性をとことんこだわり抜いた、ボトルの見た目もオシャレな日本酒、サバ好きな方はぜひ・・・!


吉久保酒造株式会社
茨城県水戸市本町3丁目9番5号
TEL 029-224-4111

吉久保酒造オンラインショップ
https://www.ippin.co.jp/

由来は“あの名作映画”、ポスターのようなボトルデザインのお酒

由来は“あの名作映画”、ポスターのようなボトルデザインのお酒

「タクシードライバー」 喜久盛酒造

知らずに初めてボトルを手にした人は、おそらく、これが日本酒であるとはすぐには気づけないのではないでしょうか。
それほど、日本酒のイメージとはほど遠い、個性的なラベルデザインのお酒を醸すのは、岩手県北上市の喜久盛酒造。
蔵元と交流のあった、映画界で活躍するデザイナーの高橋ヨシキさんとのコラボレーションで誕生したお酒「タクシードライバー」は、今から15年ほど前、アメリカンニューシネマの名作からインスパイアされ命名されました。

「日本酒に馴染みのない若者にも、気に留めて“ジャケ買い”してもらえるようなお酒を目指しました」と、五代目蔵元の藤村卓也さんが話すように、インパクトのあるラベルは全国の日本酒ファンの間で話題となり、それに負けないくらいの濃醇でしっかりとしたコクとキレを感じる味わいに年々ファンが増え、入手困難になるほどの人気酒に。

原料米の「かけはし」は、岩手県でしか栽培されていないお米で、県内の酒蔵で使用しているのは喜久盛酒造のみ。
岩手県産の酵母を使用し、地元岩手の風土が生きたお酒は、冷酒でもお燗でもいおいしく味わえる、魅力的な日本酒です。


喜久盛酒造株式会社
岩手県北上市更木3地割54番地
TEL 0197-66-2625

「佐野屋」
https://www.jizake.com/fs/sanoya/c/kikuzakari

“ワイルドサイドを歩く”個性際立つ日本酒

「残骸 責めブレンド 無濾過生原酒」 三芳菊酒造

インパクトのあるイラストが描かれたラベルで日本酒ファンの注目を集める徳島県三好市の三芳菊酒造。
五代目蔵元で杜氏も務める馬宮亮一郎さんが、“ワイルドサイドを歩け”をモットーに、他の蔵にはないタイプのお酒を販売するようになったのは今から15年ほど前。
普段日本酒を飲まない人にも興味を持ってもらいたいと、特徴を際立たせた個性的な味わいのお酒を生み出し商品化。
その際、ラベルも同じように目を引くデザインのものにと考えたそう。

「残骸」は、日本酒を搾る際に、最後に圧力をかけて押し出されることで複雑な旨味を持つ、「責め」の部分だけを詰めたお酒。「山田錦」、「雄町」、「五百万石」と、3つの酒米で個々に造られた純米吟醸のそれぞれの「責め」の部分をブレンドしたもの。

馬宮さんの娘さんが書道教室で上手に書いてきた『残骸』の文字をたまたま見て、「責めを“残骸”に例えられるのでは」とヒント得て命名したそう。
フルーツを思わせる華やかな香りと、伸びのある旨味がたのしめるお酒です。


三芳菊酒造株式会社
徳島県三好市池田町サラダ1661
TEL 0883-72-0053

日本髪の女性が織りなすストーリーに魅了されるお酒

「若竹 鬼乙女 恋 特別純米酒 生酒」 株式会社 大村屋酒造場

「若竹 鬼乙女 恋 特別純米酒 生酒」 株式会社 大村屋酒造場

“鬼をも殺す強い酒”で有名な「若竹 鬼ころし」を醸す静岡県島田市の大村酒造場では、年に4回、季節酒シリーズとして、「若竹 鬼乙女」を製造販売しています。
春は「花見酒」、夏は「生酒」、秋は「ひやおろし」、冬は「しぼりたて」と、季節により変化する日本酒の味わいを、ボトルやラベルの色を変えて表現。ラベルには、イラストレーターのソノベナミコさんがデザインした着物姿の可愛らしい女性が描かれており、春夏秋冬のお酒に、それぞれ、「夢」、「恋」、「幸」、「涙」と副題がつけられ、イラストの中にさまざまなストーリーが生まれています。

描かれている女性の髪型は、地元・島田の遊女だった、虎御前が結ったのが始まりといわれている、代表的な日本髷のひとつの島田髷。
こちらも各ボトルごとに変化があり、夏の生酒のラベルの髪型は、江戸時代に大流行した「つぶし島田」という結い方だとか。

酒質は瑞々しいフレッシュな飲み口。ラベルの中で変化していく女性のストーリーをたのしみながら味わってもらいたいお酒です。
購入については酒蔵までお問合せください。


株式会社大村屋酒造場
静岡県島田市本通り1丁目1-8
TEL 0547-36-2444

鉄道ファンは要チェック!ボトルに阪急電車が描かれた日本酒

「特別純米 阪急富田酒 720ml」 清鶴酒造株式会社

「特別純米 阪急富田酒 720ml」 清鶴酒造株式会社

“日本酒も好きだけど、電車も好き”という、鉄道ファンにぜひご紹介したいのが、大阪府高槻市の清鶴酒造株式会社で販売している「特別純米 阪急富田酒」。
酒蔵の最寄り駅が阪急富田駅ということもあって、以前から阪急電鉄との関わりが深く、地域の手土産にできるような商品の開発に取組み、富田駅をモチーフにした塗装瓶・ラベルのデザインのお酒が誕生しました。

ボトルには阪急京都線を走る9300系車両が、阪急電鉄伝統のイメージカラーである“阪急マルーンカラー”で描かれ、裏面には、阪急富田駅の駅名標を模したラベルが貼られています。よく見ると、富田駅ではなく、“富田酒”と書かれており、遊び心がうかがえます。
ちなみに、近々1300系車両にプチリニューアルされる予定とのこと。

こだわりの昔ながらの製法で、じっくりと低温熟成された旨味を生かしたお酒に仕上がっており、冷酒~常温~燗酒と幅広い温度帯でたのしめるお酒。鉄道ファンの方へプレゼントするのにピッタリな日本酒です。


清鶴酒造株式会社
大阪府高槻市富田町6-5-3
TEL 072-696-0014
http://www.kiyotsuru.jp/item/item-131


心にホッと明かりが灯る“電球のような”お酒

「てんきゅう 180ml」  高垣酒造株式会社

「てんきゅう 180ml」 高垣酒造株式会社

これまでご紹介してきたのはすべて日本酒専用のボトルに入ったお酒でしたが、最後はなんと“電球の瓶”に入っている珍しいお酒。
和歌山県有田川町の高垣酒造では、昔懐かしい白熱電球の瓶に入った日本酒「てんきゅう」を製造販売しています。

30年ほど前、主力商品だった日本酒「上撰 天久(てんきゅう)」をひらがなにし、酒銘の頭につける「清酒」の文字を濁点に見立てると「でんきゅう」となることから、遊び心で電球の形の瓶に日本酒を入れた「電球の酒 てんきゅう」を商品化。
以来、お客様からは「かわいい」「なつかしい」と好評だそうです。

キャップ部分は口径E26の規格のものを使用しているので、実際のソケットに差し込むことは可能ですが、明かりはつかないのでご注意を(笑)。
容量は180mlとちょうど一合分。箱やラベルもまるで実際に電球が入っているような雰囲気なので、手軽に渡せるプレゼントにも喜ばれそうですね。
心にほんのりあたたかい明かりが灯りそうな、見た目に大きなインパクトのある日本酒です。購入については酒蔵までお問合せください。


高垣酒造株式会社
和歌山県有田郡有田川町小川1465
TEL 0737-34-2109

以上、見た目にユニークなビジュアルの日本酒をご紹介しましたが、どの酒蔵も、開発にはさまざまなエピソードがあり、想いの深さがうかがえます。
見た目のインパクトに頼ることなく、味わいも素晴らしいものばかり。
贈りものにも喜ばれそうですね。ぜひ、実際にお手に取って味わってみてください。



思わず“ジャケ買い”したくなる、個性あふれる人気の日本酒をご紹介
 ~ネーミング編~ はこちら
https://tanoshiiosake.jp/4869

ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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