「旭興(きょくこう)」伝統と革新の融合が生み出す深い味わい【栃木の日本酒】
「旭興」は、栃木県大田原市に蔵を構える渡邉酒造が、伝統的な酒造りの手法と先進の技術を融合させながら造る日本酒。知名度は全国レベルですが、県外に出荷されることがほとんどないため、多くの地酒ファンが現地を訪れるほどの注目銘柄です。
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「旭興」の名は「朝日が昇る方向」に蔵を移転したことに由来
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「旭興」を醸すのは、栃木県太田原市(旧黒羽町)須佐木にある小さな蔵元、渡邉酒造です。創業は明治25年(1892年)と120年以上の歴史をもつ蔵元で、「旭興」のほかにも「たまか」という銘柄で知られています。
「旭興」という名前は、渡邉酒造がもともとの創業地からみて東の地にあたる、現在の地に移転した際につけられたもの。東への移転を「朝日(旭)が昇る(興る)」という意味に重ねて命名されました。
渡邉酒造がめざすのは、派手な香りや味わいよりも、体にしっくりと馴染むような深みとキレのある日本酒です。その理念を象徴する「旭興」は、一度飲んだらとりこになる旨さと評判で、地元で圧倒的な人気を誇る日本酒として知られています。
「旭興」の酒造りには昔ながらの蒸し器と最新の機器を併用
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「旭興」の原材料には、地元産の「山田錦」「五百万石」「美山錦」「日本晴」などの酒造好適米が用いられています。これら良質な酒米を、標高1022メートルの名峰・八溝山(やみぞさん)を水源とする武茂川(むもがわ)の伏流水で仕込み、冬にはマイナス10度以下となる酒造りに適した気候のなかで醸します。
米を蒸す工程では、和釜を甑(こしき)に乗せるという昔ながらの製法を守ります。一方で、米を洗う工程では、酒米を潰すことなくていねいに洗える洗米機を導入しており、伝統の製法と先進技術を融合させた酒造りが特徴です。
「旭興」をはじめ、渡邉酒造の日本酒がもつ豊かな味わいは、伝統に甘んじることなく、チャレンジに満ちた酒造りを大切にすることで生まれたものなのです。
「旭興」は数々の品評会で高い評価を得るお酒
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「旭興」は、全国新酒鑑評会においてたびたび金賞に輝くほか、90年以上の歴史のある南部杜氏自醸酒品評会でも堂々たる成績を収めるなど、その品質が高く評価されている日本酒です。
渡邉酒造は酒造りの規模が小さく、生産された酒のほとんどは、地元の黒羽地区をはじめとする栃木県内で消費されています。県外に出荷されることはほとんどありませんが、こうした品評会での評価によって知名度を高め、「旭興を飲みたいと」いう地酒ファンの声が全国で高まっています。
そんな「旭興」には、さらに希少な限定酒も存在します。例えば「旭興 生もと純米 とちぎ酒一四米 磨き九割九分 樫樽貯蔵」は、精米歩合が驚きの99%という数量限定酒。ほかにも発泡酒の「旭興 貴醸酒 百 スパークリング」もあり、いずれも極めて高い人気を誇っています。
地域が生み出す自然の恵みをたっぷり取り込んで醸す「旭興」。栃木県内での入手も困難なため、出会えた際には逃さず味わってほしい、注目の日本酒です。
製造元:渡邉酒造株式会社
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