日本酒の「中取り」とは?「あらばしり」「責め」との違いを知ろう

日本酒の「中取り」とは?「あらばしり」「責め」との違いを知ろう
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日本酒の「中取り」とは、酒造りの工程にある「搾り」の違いをあらわす日本酒用語です。搾り方には「中取り」のほかに「あらばしり」「責め」などがあり、それぞれ味の傾向が異なります。日本酒の「中取り」について、その意味や味の特色などを紹介します。

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「中取り」は日本酒の“二番搾り”?

「中取り」は日本酒の“二番搾り”

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日本酒のラベルをよく見ると、「中取り」や「あらばしり」「責め」などと書かれていることがあります。これは、そのお酒が、日本酒のもとである「もろみ」を搾ったとき、どのタイミングで出てきたものなのかを示すもの。それぞれの違いを理解してもらうために、まずは酒造りの工程を説明しましょう。

日本酒の製造工程は大ざっぱに、蒸した米に麹菌をくわえて麹を造ることからスタート。そこに酵母をくわえて酒母(しゅぼ)を造り、その酒母に、通常は2回に分けて蒸米や麹・水をくわえて、「もろみ」を仕込みます。
その後、およそ20日間前後かけてもろみを発酵させ、その発酵したもろみを搾って出した液体が日本酒で、加熱(火入れ)やろ過などを施して瓶詰めされ、商品に仕上がります。

では、伝統的な「槽搾り(ふねしぼり/ふなしぼり)」を例に、もろみを搾る工程を詳しく見てみましょう。
槽搾りでは、発酵させたもろみを酒袋に入れ、圧力をかけて搾り出していきます。このとき、圧力をかける前に酒袋から出てくるお酒を「あらばしり」、圧力をかけて出てきたお酒を「中取り」、そこからさらに搾り出したお酒を「責め」と呼びます。

つまり、「中取り」は、もろみを搾る工程のなかで2番目に出てくるお酒のことで、蔵元によっては「中垂れ」「中汲み」とも呼ばれています。

なお、現在は槽搾りではなく、機械で搾る「ヤブタ式」が主流ですが、「ヤブタ式」でも「あらばしり」や「中取り」という言葉を使うことがあります。

日本酒のよさがつまった中取りの魅力

日本酒のよさがつまった中取りの魅力

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日本酒の「中取り」は、「あらばしり」や「責め」とくらべて透明感があり、落ち着いたまろやかな味わいが特徴です。日本酒のなかでも、もっとも品質のよい部分とされており、品評会などには、この中取りの日本酒を出品することが多いようです。

市販されている日本酒は、これら3種類をブレンドして出荷されることが多いですが、最近ではブレンドせず、「中取り」だけ、あるいは「あらばしり」だけ、「責め」だけを瓶詰めした日本酒も登場しています。

なかでも、雑味が少なく、香りと味のバランスが取れた「中取り」の日本酒は、「もっとも質のよいところだけを凝縮したお酒」として、贈答品などに重宝されています。

日本酒を造るとき中取りの前後でできるのが「あらばしり」と「責め」

日本酒を造るとき中取りの前後でできるのが「あらばしり」と「責め」

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日本酒の「中取り」は、もっとも品質のよい部分とされていますが、「あらばしり」と「責め」にも、それぞれ独自の魅力があります。

日本酒を搾るとき、最初に出てくるのが「あらばしり」は、「荒走り」とも書かれるように、ワイルドでみずみずしい味わいが魅力です。透明な中取りにくらべて、色合いはやや白濁しており、アルコール度は低めです。インパクトがありつつも、フレッシュな香りと旨味が心地よい余韻を残します。

「責め」は中取りが終わった酒袋に、さらに圧力をかけて搾ったお酒で、「押し切り」とも呼ばれます。強い圧力をかけて搾るため、雑味があって荒々しいと評されますが、そこが「中取り」や「あらばしり」にはない魅力という人も少なくありません。アルコール度が高く、濃厚な味わいがたのしめます。

日本酒の「中取り」「あらばしり」「責め」の違いを知っておくと、その日本酒の造り方や味わいへの理解が一段と深まります。日本酒選びの際にも役立つので、ぜひ覚えておきましょう。

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