福岡の焼酎【らんびき】長期樽熟成焼酎ならではの奥深い味わい

福岡の焼酎【らんびき】長期樽熟成焼酎ならではの奥深い味わい
出典 : Piotr Debowski/ Shutterstock.com

「らんびき」の蔵元では、毎年400石(72,000リットル)生産し100石を残すという方法を守り続けてきました。焼酎ブームで焼酎が足りなくなっても新酒を出さず、あくまで長期樽熟成にこだわった意気込みが生み出す「らんびき」を紹介します。

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「らんびき」はウイスキーを超える貯蔵酒をめざす

「らんびき」はウイスキーを超える貯蔵酒をめざす

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「らんびき」の造り手、ゑびす酒造の創業は明治18年(1885年)。酒造りを志した創業者、荻竹次郎氏の姓をとった「荻酒場」として、醸造酒や粕取り焼酎、当時はまだめずらしかった「もろみ取り焼酎(現在の一般的な麦焼酎)」などを製造していました。
戦時中の米不足の影響を受けて、昭和15年(1940年)からは麦や芋、雑穀などを原料とする焼酎専業となり、代表銘柄である「福徳戎(ふくとくえびす)」から「ゑびす酒造」に改名しました。

「福徳戎」は長きにわたって地元・福岡で愛されてきましたが、時代が戦後の復興からの高度成長へと移るなか、より都会的で洗練された焼酎を造りたいと考えた蔵元は、ウイスキーのように樫樽で長期貯蔵した焼酎造りに挑戦。試行錯誤を重ねた末に、昭和44年(1969年)に誕生したのが「らんびき」でした。

「らんびき」という名称は、古代ギリシャ生まれの単式蒸溜器「アランビック」に由来します。この言葉が、16世紀頃に日本に伝わった際に「蘭引(らんびき)」と呼ばれ、蒸溜器を意味する言葉として定着したのだとか。海外から伝わった蒸溜器の異名を銘柄に冠したのは、やがて日本の焼酎を世界中の人にたのしんでもらえるように、との想いが込められているのです。

「らんびき」が“幻の焼酎”になるとき

「らんびき」が“幻の焼酎”になるとき

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「らんびき」を造るゑびす酒造は、社員数が7名、年間の製造量が60キロリットル、一升瓶にして約3万3千本という、小規模な焼酎蔵です(2018年現在)。もともとの生産量が少ないことに加え、「最低でも3年以上貯蔵し、熟成させたものしか出荷しない」というポリシーを貫いているため、大量には出荷できません。

市場で見かける機会は少なくとも、こだわりの長期熟成によって、じっくりと育まれる風味やコク、深みのある味わいは、他の焼酎にはない「らんびき」ならではの魅力として、多くの焼酎ファンを魅了しています。
いまや福岡を代表する焼酎として、全国区の人気となっている「らんびき」ですが、ゑびす酒造はポリシーを曲げることなく、じっくりと、ていねいに、時間をかけた焼酎造りを続けています。

「らんびき」を購入するには、2006年から開業している直売店「ALANBIC」を訪れるか、公式サイトの「ご購入ガイド」にアクセスして、最寄りの特約店を紹介してもらうといった方法があります。
特約店のネットショップなどでも販売されていますが、売切れとなっていることも多く、今後、さらに知名度が増すにつれて、「らんびき」が“幻の焼酎”と呼ばれる日がくるかもしれません。
ご購入ガイドはこちら

「らんびき」の最高峰15年貯蔵

「らんびき」の最高峰15年貯蔵

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「らんびき」を造るゑびす酒造の蔵には、フランス産オーク樽やシェリー樽、コニャックやラム酒が貯蔵されていた古樽などが、ところせましと並んでいます。
これら多様な樽を使い分け、熟成期間の異なるさまざまな商品がラインナップされています。

「らんびき」のスタンダードは、6年貯蔵の「らんびき 角」。アルコール分は40度で、水割りでも、お湯割りでも味と香りのバランスが崩れないため、お好みの飲み方でたのしめます。
アルコール分を35度に抑えた「らんびき MILD」、3年貯蔵でアルコール分25度の「らんびき 25」といった、カジュアルにたのしめる商品もそろっていますが、一方で、7年、10年と、より長期間熟成させたプレミアム品も。
なかでも最高峰といえるのが、15年貯蔵の「らんびき 15年古酒」です。年間500本という限定販売のため、入手は容易ではありませんが、15年もの歳月を経た円熟の味わいは、幾重にも重なる極上の深みが堪能できます。

「らんびき」は、現在も毎年のように福岡県酒類監評会で県知事賞や県議会議長賞を獲得するなど、その品質への評価は高まり続けています。入手困難な“幻の焼酎”となる前に、ぜひ一度は味わってほしい焼酎です。

製造元:ゑびす酒造株式会社
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