【ボウモア】スコッチの聖地で生まれたウイスキーが「アイラモルトの女王」と称される理由

【ボウモア】スコッチの聖地で生まれたウイスキーが「アイラモルトの女王」と称される理由
出典 : サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア(BOWMORE)」は、スコットランド西岸沖のアイラ島で造られる伝統のスコッチウイスキー。歴史の深さや優美な味わいから、「アイラモルトの女王」と称されます。今回は、「ボウモア」の特徴やボウモア蒸溜所の歴史、環境、製法、ラインナップなどを紹介します。

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伝統的な製法で育まれている「ボウモア」は、アイラモルトらしいスモーキーフレーバーをまといながらも、バランスがよく飲みやすいのが特徴です。「ボウモア」の魅力に迫ります。

アイラモルト「ボウモア(BOWMORE)」とは? アイラ島生まれのスコッチウイスキー

「ボウモア」を育むボウモア蒸溜所

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」はスコットランドのウイスキー産地のひとつ、アイラ島で造られるスコッチウイスキーです。ボウモア蒸溜所はアイラ島の中心部にあり、質の高いシングルモルトウイスキーが造られています。

アイラ島産のモルトウイスキー=アイラモルトといえば、ピート(泥炭)由来のスモーキーフレーバー(ピート香)を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、「ボウモア」にも長い歴史を通じて受け継がれてきた伝統の香味がしっかりと活きています。

「ボウモア」のスモーキーフレーバーは、強すぎず弱すぎずバランスがよいのが特徴。シングルモルトウイスキーは蒸溜所の立地や気候などの影響を受けやすいといわれているように、アイラ島の中心部で造られる「ボウモア」には、北部と南部の特徴が融合したような印象があります。そのため、「アイラモルトを知るにはボウモアを飲むのがよい」という専門家もいます。

日本語では「燻香(くんこう)」と表現されるスモーキーフレーバー(ピート香)は、アイラモルトを特徴づける香味のひとつです。ウイスキーの香りや味わいを表すときには、スモーキー(煙っぽい)やピーティー(ピート様)などといいますが、アイラ島ではそのような香味特性を持つウイスキーが目立ちます。

ウイスキーを飲み慣れていない人にとっては、クセがあって少しとっつきにくく感じるフレーバーかもしれません。しかし、その強い個性があるからこそ「一度飲んだら忘れられない味」と評され、世界中のウイスキーファンを惹きつけてやまない要素になっているともいえます。

「ボウモア」が「アイラモルトの女王」と称される理由

ボウモア蒸溜所にエリザベス2世が初訪問

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」は、麗しい気品と力強さを併せ持つバランスのよい味わいから、「アイラモルトの女王」と評されます。アイラモルトのなかでも中間くらいのほどよいスモーキーフレーバーで、かつ華やかで甘い風味もあって飲みやすいのが魅力です。

女王のような麗しさと洗練された味わいを持つ「ボウモア」は、イギリス女王との縁も深いといわれています。1980年、エリザベス2世がボウモア蒸溜所を初めて訪問した際に、女王が見守る前で熟成前の液体「ニューメイク」が樽詰めされたそう。それから約22年の時を経て、2002年の女王戴冠50周年のお祝いに樽が開けられました。瓶詰めされた「BOWMORE THE QUEEN’S CASK」645本が、王室に献上されたそうです。

「ボウモア」を生んだスコッチの聖地・アイラ島とは?

アイラ島とボウモア蒸溜所の立地

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」を育むアイラ島とはどんなところか見ていきましょう。

アイラ島内のほとんどの産業がウイスキー関連

多彩な魅力を備えたアイラ島は、スコットランドの西岸沖に点在するインナーヘブリディーズ諸島の最南端にあります。日本の淡路島ほどの大きさで、人口は3,500人ほど。大麦の栽培を中心とした農業や製麦工場も含めて、島内の産業のほとんどがウイスキー関連というこの島では、世界に名だたるスコッチウイスキーの蒸溜所が9つも稼働しています。

「ボウモア」をはじめ、「アードベッグ」「ブルックラディ」「ラガヴーリン」「ラフロイグ」「ブナハーブン」「カリラ」「キルホーマン」と、ウイスキーマニアにとっては垂涎のビッグネームばかりです。そして、2018年末には9番目の蒸溜所としてアードナッホー蒸溜所が稼働を開始。これら蒸溜所を巡るツアーも人気で、世界中から観光客が訪れます。さらに、10番目の蒸溜所として、閉鎖されていたポートエレン蒸溜所が、近く稼働再開の予定です。

アイラ島のピート原野やラーガン川が「ボウモア」の香りや味わいに影響

このようなことから、アイラ島は「スコッチの聖地」や「ウイスキーの聖地」などと呼ばれ、モルトファンの間では一度は訪れたい憧れの地となっています。

アイラ島はモルトウイスキーの名産地であるだけでなく、豊かな自然環境でも人々を魅了しています。手つかずの自然が広がり、野生動物の宝庫であることから、「へブリディーズの女王」と呼ばれることもあります。

海に囲まれたアイラ島は、その4分の1ほどがピートの原野で覆われています。ピートは100年に数センチほどしか堆積しないといわれるほど、膨大な時間をかけて育まれるもの。この島の恵みともいえるピートが、「ボウモア」をはじめとしたアイラモルトに独特の香味をもたらしているのです。

また、ピート層にろ過された水は川から海へと流れていきますが、仕込水として使われているラーガン川の水も、「ボウモア」の味わいに大きく影響しています。

ボウモア蒸溜所はアイラ島で最古の蒸溜所

ボウモア蒸溜所はアイラ島で最古の蒸溜所

サントリーボウモア公式サイト

1779年創業のボウモア蒸溜所は、アイラ島で最古の蒸溜所です。スコットランドでも1、2を争うほどの古い歴史があり、創業以来さまざまなオーナーのもとで、スコッチウイスキーの伝統と製法を守り続けてきました。1994年からは、サントリー(ビーム サントリー)の傘下に入り、高品質のアイラモルトを生産しています。

ちなみに、かつてボウモア蒸溜所には「スモーキー」という名のウイスキーキャットがいたそうで、イギリスでもっとも美しい猫に選ばれたこともある美猫だったとか。なおウイスキーキャットとは、原料の穀物を狙って侵入してくるネズミを捕るために、蒸溜所で飼われていた猫たちのことを指します。

「ボウモア」の品質を支える伝統製法

ボウモア伝統のフロアモルティング

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」は、代々継承されてきた伝統製法を守り、熟練の職人たちの手でていねいに造られています。数あるスコッチのモルト蒸溜所のなかでも、「別格」として謳(うた)われる、注目すべき製法のポイント3つを紹介します。

伝統的なフロアモルティングとキルン(乾燥塔)で製麦

ボウモア蒸溜所では、原料である麦芽のおよそ30%を、フロアモルティングで製造しています。フロアモルティングは伝統的な製麦方法で、大麦をコンクリートの床に広げ、攪拌させて発芽を促します。

発芽までにかかる日数は通常7~10日ほどといわれますが、その間、職人の手で何度も大麦を攪拌する必要があり、極めて重労働になります。

発芽を止める乾燥工程も、自前で行っています。蒸溜所内には、今やスコットランドでも珍しい存在となった「キルン(乾燥塔)」があり、アイラ島内で採掘したピートを焚いて、発芽した大麦を乾燥させます。このとき麦芽に付着したピートの燻香が、スモーキーフレーバーのもとになるのです。なお、ボウモア蒸溜所では独自のピートボグ(採掘場)も所有しています。

製麦には手間がかかりますが、ボウモア蒸溜所では自前によるフロアモルティングとキルンでの乾燥にこだわり続けています。また、キルンからたなびく煙はスコッチ造りの象徴であり、伝統を継承する役割を果たしています。

麦芽の乾燥に使うピート(泥炭)

サントリーボウモア公式サイト

木桶で発酵、蒸溜機はストレートヘッド型

製麦工程後は、麦芽を粉砕して温めた仕込水とともにステンレス製のマッシュタン(糖化槽)に入れてかき混ぜ、ろ過した麦汁を発酵させる工程へと移ります。ボウモア蒸溜所では、この麦汁を発酵させるための容器としてオレゴンパイン製の木桶を使用しています。

一般に、木桶を使うと適切な発酵温度が保たれるため、乳酸菌の働きが促され、ウイスキーに独特の風味が生まれるといわれています。清掃や微生物の管理には細心の注意が必要ですが、ボウモア蒸溜所では、伝統の味を守るためにあえて木桶を採用しているのです。

また、発酵後のウォッシュ(発酵液)の蒸溜に使うのは、ストレートヘッド型の銅製ポットスチル(蒸溜機)。小型の蒸溜機で2回蒸溜して、ニューメイクを採取します。

ボウモアの製造工程

サントリーボウモア公式サイト

高品質の樽に貯蔵

蒸溜した液体ニューメイクは、厳選した高品質の樽に貯蔵されます。ボウモア蒸溜所で使用しているのは、おもにバーボン樽70%、シェリー樽30%。ほかにもボルドーやマデイラのワイン樽、ミズナラ樽などを使うこともあります。

また、樽の管理にはサントリーが長年培った技術が活かされています。「ボウモア」らしいし華やかな香味が高まったと、スコッチ業界で好評だそう。

シェリー樽の調達もサントリーが全面的にバックアップして、「ボウモア」の味わいを支えています。

海のシングルモルト「ボウモア」を形作る要素

No.1 Vaultsと呼ばれる第一貯蔵庫

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」は、スモーキーフレーバーに加えて潮っぽさなども感じられることから「海のシングルモルト」とも評されます。ここでは、「ボウモア」の香味特性となっている潮っぽさの秘密を見ていきましょう。

「ボウモア」の香味を特徴づける潮の香りの秘密

「ボウモア」の製造には、ピートが溶け込んだ仕込み水や、海藻類や貝殻などを含んだピートが使われます。またボウモア蒸溜所は、小さな港のある海に面して建てられていて、いつも波しぶきと潮風を浴びています。当然ながら、フロアモルティングを行う発芽室や貯蔵庫にも潮風が漂います。

こうした環境が「ボウモア」に、海のニュアンスを感じられる香味特性を与えているのです。

ボウモア蒸溜所が誇る、海抜0メートルの貯蔵庫「No.1 Vaults」とは?

ボウモア蒸溜所には3つの貯蔵庫がありますが、そのうちの第1貯蔵庫「No.1 Vaults」は、海にダイレクトに面した海抜0メートルにあるのが特徴。「ボウモア」はゲール語で「大きな岩礁」を意味しますが、この貯蔵庫は岩盤を削り取り整地した上に建てられています。満潮時には、なんと1メートル近くも海面下に沈むことがあるそう。

スコッチモルトウイスキーの貯蔵庫として最古ともいわれるこの「No.1 Vaults」で、潮の香りに抱かれながら呼吸を続け、長い時間をかけて熟成されることで「海のシングルモルト」が生まれるのです。

「ボウモア」の種類|多彩なバリエーションを飲み比べ

ボウモアのラインナップ

サントリーボウモア公式サイト

「アイラモルトの女王」であり「海のシングルモルト」とも称される「ボウモア」が誇る、シングルモルトウイスキーのラインナップを紹介します。

BOWMORE 12YEARS/ボウモア 12年

ボウモア12年

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」ブランドの代表的な存在で、世界中のボウモアファンに愛される定番品。ドライなピート香と、やわらかくフルーティーな風味がバランスよく調和した甘美な味わいのシングルモルトで、潮の香りに絶妙に溶け合うハチミツのような甘い香り、ダークチョコレートを思わせるコクのある味わいを堪能できます。

数あるアイラモルトのなかでもバランスがよくてとても飲みやすいため、アイラモルトの初心者にまず飲んでほしい1本です。とくにロックがおすすめですが、ストレートや水割り、ハイボールなどでもたのしんでみてください。

「BOWMORE 12YEARS」は、世界的な種類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2017」で、金賞を受賞しています。

◇容量700ミリリットル/アルコール度数40%/希望小売価格:5,060円(税別)

BOWMORE 15YEARS/ボウモア 15年

ボウモア15年

サントリーボウモア公式サイト

バーボン樽で12年間熟成させたモルト原酒を、香り高いオロロソ・シェリーの樽でさらに3年間寝かせた至高の逸品。スモーキーさと、ビターチョコレートやレーズンを思わせる香り、ウッディかつ甘美な味わい、そしてシェリー樽がもたらすかすかな余韻をたのしめます。

時の重みを感じさせる赤褐色のスコッチは、ロックでも水割りでも五感を満たしてくれるはずです。

◇容量700ミリリットル/アルコール度数43%/希望小売価格:9,200円(税別)

BOWMORE 18YEARS/ボウモア 18年

ボウモア18年

サントリーボウモア公式サイト

「ボウモア」特有のスモーキーさのなかにスウィート感を際立たせた、「ボウモア」シリーズの最高峰。口に含むと、シェリー樽がもたらす豊かな香味と深いコクが、たおやかに広がります。完熟果実やクリーミーなトフィーを思わせる甘くやさしい香りと、フルーティーで、どこかチョコレートの風味を感じさせるやわらかな甘味が印象的。バランスのよい余韻が長く続きます。

ストレートやトワイスアップ、ロックなど、お好きな飲み方で堪能してみてください。

◇容量700ミリリットル/アルコール度数43%/希望小売価格:12,000円(税別)

アイラ島で育まれている「ボウモア」は、「アイラモルトの女王」や「海のシングルモルト」と呼ばれ、世界中のファンに愛されています。ほどよいスモーキーフレーバーの、優美で上品な味わいを、ぜひ心ゆくまでたのしんでみてくださいね。

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