長寿の薬草リキュール「ベネディクティン」とおすすめカクテル
フランスの名酒「ベネディクティン」とは?16世紀修道院生まれとされる薬草リキュールの魅力や長寿のお酒と呼ばれる理由を解説。おすすめカクテルレシピもご紹介します!
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ベネディクティンは、16世紀の修道院生まれのリキュール
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ベネディクティンの起源は、今からさかのぼること約500年前の1510年、フランスの北西部に位置するノルマンディー地方の漁港フェカンにあったベネディクト修道院にあるとされています。
当時、この修道院にいたドン・ベルナルド・バンセリ僧正は、多種多様な薬草を調合して、さまざまなリキュールを考案したとされる人物です。当時のフランス国王がこの地を訪れた際にリキュールを献上され、「こんなおいしいものは飲んだことがない」と感嘆したとのエピソードも残っています。
その後、フランス革命によって修道院が閉鎖されたのちも、バンセリ僧正が考案した製法はひそかに受け継がれ、1863年にそのレシピを発見したアレクサンドル・ル・グランによって、正式に「ベネディクティン」の名で発売されました。
すぐに人気を集めたベネディクティンは、発売開始の10年後には年間15万ボトルを売り上げるほどとなり、1876年にはベネディクティン社が設立されました。以来、現在にいたるまで、シャルトルーズ(シャルトリューズ)と並んでリキュールの双璧をなす存在として、世界中で親しまれています。
ベネディクティンは長寿のお酒?
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ベネディクティンの原型となるリキュールが考案された16世紀のベネディクト修道院では、錬金術が盛んで、長寿や健康のためにさまざまな研究が行われていました。この修道院でバンセリ僧正が考案したリキュールも、もとはといえば、長寿のための秘薬だったようです。
こうした歴史もあってか、ベネディクティン社では数多くの薬草の調合レシピが代々、受け継がれてきました。その詳細は企業秘密として公開されていませんが、現在、世界中から厳選された27種類にもおよぶハーブが使用されているのだとか。
現在、販売されているベネディクティンは、ブランデーを原酒に、これら多彩なハーブを調合して造られたもの。さらにカラメル、サフラン、蜂蜜、シロップ、コニャックなどを加えて加熱し、オーク樽で熟成させたのちに、ろ過されてできあがります。その味は甘味が強く、複雑な香りをもつ黄緑色のお酒となります。
ちなみに、ベネディクティンのボトルのラベルには通常「DOM」と表記されていますが、これは「至善至高の神に捧ぐ」という意味のラテン語「Deo Optimo Maximo」の頭文字をとったもの。修道院生まれのお酒ならではの荘厳なネーミングです。
ベネディクティンを使った代表的なカクテル
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ベネディクティンは、ブランデーを原酒とするだけに、ブランデーやウイスキーなどと相性がよく、さまざまなカクテルに使用されています。また、食前酒や食後酒として、オンザロックでたのしむ人も多いようです。ここでは、そんなベネディクティンを使った代表的なカクテルを紹介します。
【ベネディクト】
ベネディクティンを30ミリリットル、スコッチウイスキーを30ミリリットル、ジンジャーエールを30ミリリットルずつ合わせたカクテル。使用するスコッチウイスキーの種類によって、異なる味わいがたのしめます。
【B&B】
ブランデーとベネディクティンを30ミリリットルずつ合わせたシンプルなカクテル。1920年代にアメリカで流行して以降、ベネディクティンを使った代表的なカクテルとして知られています。
1937年にはベネディクティン社から正式に「ベネディクティンDOM B&B」として発売され、甘口でどっしりとした味わいが、現在でも人気を集めています。
【アカシア】
ドライ・ジン40ミリリットルに、ベネディクティン20ミリリットルを合わせ、キルシュワッサーを少し加えた甘口ながらも強いカクテル。アカシアの黄色い花を思わせることから、その名がついたとのことです。
【ジプシー】
ウォッカ45ミリリットルに、ベネディクティン15ミリリットルを合わせ、アンゴスチュラ・ビターズを少し加えたカクテル。ベネディクティンの甘味をほどよく抑えるウォッカのすっきりとした味わいが特徴のカクテルです。
紹介した以外にも、ベネディクティンを使ったカクテルはたくさんあるので、いろいろと飲み比べてみるのもたのしそうです。
ベネディクティンほど古くから、世界各国で親しまれてきたリキュールは、ほかにはなかなか見当たりません。日本でも比較的簡単に手に入るので、ぜひ一度試してみてはいかがですか。