宮崎の焼酎【月の中(つきんなか)】家族愛を感じて飲む酒
「月の中」は、家族4人で焼酎造りを行う小さな焼酎蔵、岩倉酒造が生んだ芋焼酎です。創業160年の歴史のなかには、夫婦2人だけで切り盛りしてきた時代もあるとのこと。そんな「月の中」の味わいと魅力を見ていきます。
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「月の中」は、家族の手作業で造られる酒
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「月の中」を造る岩倉酒造は創業160年以上の歴史があり、現在で4代目。創業当時は杜氏を雇っていた時期もあったようですが、現在は家族だけで切り盛りしている小さな焼酎蔵です。「月の中」と書いて「つきんなか」と読むのが正しい読み方。
「月の中」という銘柄は、月見の名所とされる地元、月中(げっちゅう)地区に由来するのだとか。
瓶詰めまですべてを家族だけで行っている「月の中」は、深い愛情がつまった芋焼酎。「岩倉のお母さん」と呼ばれる妻が「主人の焼酎造りの技術はすばらしい」と語る隣で、夫がやさしく頷く――こんなほほえましい風景からも、家族の強い絆がうかがえます。
焼酎ブーム以前の経営が苦しかった時期にも、家族でアイデアを出し合い、試行錯誤で乗り切ってきたそう。今となっては「焼酎屋をやってきてよかった」と心から思えるのだとか。
「月の中」の風味は母親をしのばせる
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「月の中」には蒸かした芋のやさしい香りと甘味があり、田舎の母親を思わせるようなあたたかみを感じさせる焼酎です。
一般的な芋焼酎のように、どっしりとした酒の味を主張するのでなく、やわらかくてとてもマイルド。すべての工程で手を抜かず、愛情込めてていねいに造られた結果です。
「月の中」の販売は、問屋を介さず、古くから付き合いのある酒屋さんへ直接、卸しています。これは「心が通じる販売がしたい」と、酒屋さんとも“顔の見える付き合い”を重視しているから。人の絆を大切にするからこそ、良質な味わいを維持できるのでしょう。
酒屋さんのなかには、仕事中に遊びにくる人もいるほど深い付き合いをしているとか。「月の中」を中心とした、あたたかいコミュニティを感じます。
「月の中」造りはサツマイモの収穫とともに始まる
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「月の中」の仕込みが始まるのは、8月のお盆が明けたあたり。10月までに焼酎の仕込みを終わらせるべく、家族総動員での手作業がスタートします。
地元産の芋を新鮮なうちに受け取り、手洗いして選別。中身がつまってずっしりと重い芋が焼酎にはよいそうです。皮むきしたあとに麹とあわせて、焼酎の仕込みをすすめていきます。
蔵の規模が小さいうえに、大量生産のきかない手造りゆえに、なかなか全国のファンには行きわたらず、「うちにもほしい」「もっと造って」という声がやまないのだとか。
大量に造れない分だけ、真心を込めて、自分の子どもを育てるように造る焼酎だからこそ、「月の中」を求める声が広がり続けているのでしょう。
技術だけでは到達できない「月の中」の深い味わいは、まさに家族愛の結晶。遠く故郷で暮らす父親や母親にプレゼントするにもぴったりです。
製造元:株式会社岩倉酒造
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