【七福神】(岩手の日本酒)。人の和から生まれた酒
「七福神」という縁起のよい名をもつ酒は、岩手県最古の歴史を誇る蔵元、菊の司酒造の主要銘柄のひとつ。「和をもって酒造りの心とする」をポリシーに、米の旨味にこだわった酒造りを続ける老舗蔵と、そこから生まれる「七福神」の魅力を紹介します。
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「七福神」を醸す岩手最古の酒蔵、菊の司酒造
出典:菊の司酒造サイト
「七福神」とは、よく知られているように、恵比須天、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋尊という七柱の神様のこと。この縁起のよさにあやかった名をもつ地酒「七福神」の造り手、菊の司酒造は、岩手県盛岡市の紺屋町に酒蔵を構える老舗の蔵元です。
かつては盛岡城の城下町として栄えた紺屋町は、サケの遡上で有名な中津川が市街を流れることでも知られています。
菊の司酒造を経営する平井氏がこの地で創業したのは、江戸幕府の創設間もない元和年間(1615~1623)のこと。その後、安永年間(1772~1778)に至って六代目当主が酒造りを始め、以来、250年近くにわたって造り酒屋の伝統を守り続けてきました。
「七福神」は、もともとは南部杜氏のふるさととされる花巻市石鳥谷町の蔵元、箱庄酒造店の銘柄でした。昭和50年(1975年)に菊の司酒造が合併するにあたって、この縁起のよい銘柄を受け継ぎ、自社名を冠した「菊の司」と並ぶ2大ブランドとして、大切に造り続けてきたのです。
「七福神」にあやかる「人の和」が、飲む人の心をなごませる
出典:菊の司酒造サイト
「七福神」を醸す菊の司酒造の酒造りのポリシーは「和をもって、酒造りの心とする」こと。
調和のない酒蔵で造られた酒は、飲む人にもとげとげしさを感じさせますが、調和のとれた酒蔵の酒は、飲む人の心をなごませます。
これは決して精神論ではなく、長い工程を要する酒造りの難しさとともに、そこにかかわる蔵人たちのチームワークの大切さを物語っています。
米や水など自然の恵みを原料とする酒は“生き物”であり、年ごとの米のでき具合や、日々の天候や気温、湿度などに応じて、仕込み具合を調整する必要があります。
それだけデリケートな酒造りだけに、いかに腕のよい杜氏がいようと、ひとりの力だけではできません。米と水、そして蔵人一人ひとりが心をひとつにして、はじめてよい酒が造れるもの。それが菊の司酒造の考える「和の酒造り」です。
こうした和の心のもとに造られた「七福神」は、どの商品も飲む人をほっとなごませるような“やさしさ”を感じさせます。
「造る人」と「飲む人」を和の心でつなぐ、それが「七福神」の、そして菊の司酒造の大きな魅力といえるでしょう。
「七福神」の米にこだわったラインアップ
出典:菊の司酒造サイト
「七福神」には、マイルドなコクに定評がある定番酒「純米酒 七福神」に加え、飯米「ひとめぼれ」を用いた「辛口純米酒 七福神」などがラインアップされています。
なかでも、ひときわ評価が高いのが「大吟醸てづくり七福神」です。今から50年も前に大吟醸のパイオニアとして発売された「七福神」きっての逸品は、酒造好適米「美山錦」を精米歩合50%まで磨き、岩手県産の酵母「ジョバンニの調べ」で醸したお酒。瓶内で約1年半かけて冷温熟成させ、香味を円熟の域まで引き立たせています。
さらに、「大吟醸てづくり七福神門外不出」は、“酒米の王”と呼ばれる「山田錦」を精米歩合40%まで磨いて醸した原酒を、圧力をかけずに搾った至極の1本。「門外不出」の名に恥じない貴重な味わいを、ぜひ、味わってみたいものです。
「七福神」の仕込み水は、いずれもサケの遡上で知られる中津川の伏流水を井戸から汲み上げたもの。その口当たりのやわらかさが、七福神の穏やかな飲み口につながっています。
製造元:菊の司酒造株式会社
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