世界に広がるウイスキーの愛好家とその消費量
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ウイスキーの消費量、今昔
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500年以上の歴史を持つウイスキー。長い歴史を辿ってきているだけに、好不況の波も幾度となく経験しています。とくに1980年代~90年代は世界的にウイスキー業界が低迷していた時期で、スコッチに関してはウイスキーの歴史が始まって以来の大不況だったといわれています。
その波に変化が表れたのが2000年代に入ってから。スコッチの輸出額は2005年から7年間で約2倍に増加するなど、急速にその消費が回復しました。背景にあるのは、インドや中国、ロシアやバルト三国、中南米や南アフリカなどでウイスキー需要が高まってきたこと。
ちょうどこれらの国が著しく経済成長を遂げた時期と重なり、富裕層を中心に豊かさのシンボルとしてスコッチが飲まれるようになったのです。この傾向はスコッチだけに限らず、バーボンやアイリッシュの需要も同時に大きく伸びています。
日本のウイスキー消費事情
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日本で本格的に庶民がウイスキーを飲むようになったのは、高度経済成長期とよばれる1950年代後半から1970年代にかけてのこと。ストレートやロックのほか、ハイボールや水割りといった日本風の飲み方も普及。ジョニ黒やオールド・パー、バランタインといった高価なブレンデッドウイスキーをボトルキープするのがステイタスになり、当時は洋酒=ウイスキーといわれる時代でした。
しかし、日本でも1980年代以降はしばらくウイスキー人気が低迷。背景にあるのは、若者のアルコール離れや、ワインなど多種多様なアルコールが広く普及したことなどが要因といわれています。
ウイスキー業界は長い冬の時代を過ごしましたが、ジャパニーズウイスキーの世界的な高評価やシングルモルトブームが後押しし、2009年から急速にウイスキー消費が回復してきています。
世界に広がるウイスキーの消費量
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世界のウイスキー生産は五大産地が中心ですが、近年では五大産地以外で作られる“ニューワールドウイスキー”と言われるジャンルが台頭してきています。なかでもめざましい躍進を遂げているのが、インドや台湾などのアジア勢。とくに世界で一番ウイスキーが飲まれている国インドでは、そのほとんどが国内で作られるインディアンウイスキーというほど国内生産が盛んです。
そのインドで本格的なシングルモルトを造っている蒸留所が「アムルット」。インド南部にある町・バンガロールの標高920メートルの高地に建ち、“世界一高い位置にあるウイスキー蒸留所”といわれています。熱帯の温暖な気候のなかで造られるウイスキーはスコッチなどとはまた異なる味わいとフレーバーを生み出し、数々の国際コンペティションで入賞を果たすなど世界的にも高い評価を得ています。
また、急速にウイスキー需要が高まる中国・台湾で注目されている蒸留所が台湾の「カバラン」。2006年に造られた台湾初の蒸留所ですが、亜熱帯の台湾らしいトロピカルな味わいのウイスキーを発表し、2010年には国際コンペティションで入賞するなど、早くもウイスキー愛好者たちの注目を集めています。