アイルランド発祥だからアイリッシュウイスキー!その歴史を学ぼう!
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アイリッシュウイスキーの昔と今
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ウイスキー誕生の地は、アイルランドなのか、スコットランドなのか…。これまでも、そしてこれからも続くであろうウイスキー愛好者たちの論争のひとつです。
本来アイリッシュウイスキーは、ウイスキー界の雄として君臨するスコッチと並ぶ長い歴史があり、かつては生産量世界一を誇っていた時代があったにも関わらず、一時、苦渋をなめた時代がありました。その要因には、イギリスからの独立、主要な輸出先であったアメリカの禁酒法、そしてスコッチで発達した飲みやすいブレンデッドの普及があるといわれています。
かつてはスコッチの存在を脅かすように何百という蒸留所が存在したアイリッシュ。1920年代以降には蒸留所は「ブッシュミルズ」と「ミドルトン」の2つにまで激減しましたが、1987年に新鋭の「クーリー」が誕生し、2007年には古豪「キルベガン」も復活。再びウイスキーの世界で注目を集める存在になっています。
伝統の味わいが復活のカギ
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近年、アイリッシュが再び脚光を浴びる要因となったのは、一時期はほとんど姿を消していたアイリッシュ伝統の“シングルポットスチルウイスキー”への回帰といわれています。
これは、モルトと未発芽麦芽にオート麦などの穀物を加え、ポットスチルで3回蒸留する方法で造られるもの。なめらかで穏やかな味わいと、独特のオイリーなフレーバーが特徴です。
世界でさまざまなウイスキーが作られるようになった今、こうした伝統的な味わいがかえって新鮮にうつるのか、近年とくに北米を中心に注目を集めています。今では各蒸留所が新たにシングルポットスチルウイスキーをリリースするようになり、伝統の味わいがさらに幅広くたのしめるようになりました。
代表的なアイリッシュウイスキーを飲もう
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現在ではアイリッシュのおもな蒸留所は4つまで増えましたが、もっとも減退した時期にもウイスキーを造り続けていた「ミドルトン」と「ブッシュミルズ」が、アイリッシュを代表する蒸留所。
前者の代表的な銘柄である「ジェムソン」は、名実ともにアイリッシュを象徴するブランドで、アイリッシュだけでみるとそのシェアは70%以上。アイリッシュらしいオイリーな香りと繊細な香ばしさをあわせもちながらも、味わいはライトでスムーズ。そのバランスの良さはアイリッシュ初心者にもぴったりです。
「ブッシュミルズ」の代表的な銘柄は「ブラックブッシュ」。アイリッシュ伝統の3回蒸留でうまみを凝縮し、上品でしっかり深みのある香り、スムーズながら熟成した深みを感じさせる味わいなど、ウイスキーを飲み慣れた人にも新鮮味を感じさせる一本です。
アイリッシュウイスキーを試すときは、ぜひこのふたつの蒸留所を思い出してオーダーしてみてください。