ビールの中でアルコール度数が高い「ボック」は、ホップの香りも濃厚!
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ビールのアルコール度数について
ビールのアルコール度数は、2~15度ほどと幅があり、麦汁に含まれる糖の濃度で決まります。糖の濃度が高いほど酵母の分解によって得られるアルコール濃度が高まるからです。アルコール度数が高いと飲みごたえがあるビールになり、低いと軽やかな味になります。日本のラガー(下面発酵)ビールは、一般的に4~5度ほど。日本では、ビールがアルコール度数の高いお酒という印象はありません。
ドイツで生まれた「ボック」
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様々なスタイルのビールの中で、アルコール度数が高く飲みごたえのあるものといえば14~15世紀に北ドイツのアインベックで生まれた「ボック」があります。
ボックの名には、「アインベック」が「アインボック」と発音され、それを縮めたとされる説と、ボックが「雄ヤギ」という意味で「ヤギのキックのように強い酒」が語源、という説(「知識ゼロからのビール入門」藤岡ヒロユキより)があります。
17世紀に造られたオリジナルの「トラディショナル・ボック」は、アルコール度数約6~7.5度で濃色の重厚な味わいだったようです。19世紀に造られた「ヘスレボック」と「マイボック」は、苦味が控えめでアルコール度数は約6~8度。「アイスボック」は、かなりアルコール度数が高く約8.5~14度もあります。ドイツ語で「2倍」を意味する「ドッペルボック」もアルコール度数は14度ほど。
いずれも、ホップの香りが濃厚で、コクがありしっかりした味わいが特徴です。
以前は、濃色のものが主流でしたが、最近は淡色のものもあるようです。アルコール度数が高めのビールなので、飲むときはゆっくり飲むことを心がけましょう。
ホップの香りと苦味が魅力のIPA
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IPAとは、インディアペールエールのこと。イギリスから支配地のインドへ船でビールを輸送していた18世紀末、腐敗防止のため大量にホップを入れ、長期保存を可能にしたビールです。通常のビールよりホップをたくさん使用し、アルコール度数がやや高めのものが中心。やや淡色でホップの香りも苦味も強く、かなりインパクトのある味です。
初心者にはなじみが薄いビールスタイルですが、独特な味わいがクセになる人も多くいるようです。
IPAにはいくつかの種類があります。IPA発祥地イギリスの伝統的なイングリッシュIPA、アメリカのホップを使ったアメリカンIPAや、麦芽やホップ使用量をさらに増やしてコクや苦味を強化したダブルIPA、インペリアルIPAなどです。
また、最近注目を集めているのがセッションIPA です。通常、IPAはアルコール度数がやや高いのですが、こちらはIPAの特徴であるフルーティーな香りと苦みを残しつつ、アルコール度数が低めで飲みやすいと人気です。
ボックやIPAを飲んで、ホップの苦味とハイアルコールの濃厚な味わいをおいしく感じられるようになれば、ビールのたのしみの幅が広がるかもしれません。