世界ではどんなビールが飲まれているの?
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伝統と歴史が息づくヨーロッパのビール
ビールは日本でも人気のあるアルコール飲料のひとつですが、世界各国でもたくさん飲まれています。ビールの銘柄は1万以上ともいわれ、今なお進化をし続けています。
ヨーロッパでは、フランスをはじめイタリア、スペインのブドウが採れる地域では種類豊富なワインが愛飲されていましたが、一方、北に位置する国々ではブドウ生産よりも麦の生産に向いている地域のため、麦による酒作りが盛んになりビールがよく飲まれていました。とくに、ドイツ、チェコ、ベルギー、イギリス、アイルランドといった国では、それぞれの国に根付いた様々なスタイルのビールが醸造されていました。
ビールの定義を決めた「ビール純粋令」は、1516年にバイエルン公国の君主ウィルヘルム4世がビールの品質を安定させるために発令しています。ドイツをはじめとしたヨーロッパ各地には、何百年もの歴史と伝統を持つブリューワリーも多く、その味は脈々と受け継がれています。
ライトなビールが人気のアメリカ
北アメリカは、もともと酒作りの文化をもたない地域でした。そのため、ビール作りはヨーロッパからの入稙者が母国のスタイルを元にして始めました。
開拓時代には、安い蒸留酒が広まりアルコール依存症が社会問題となります。そのため、各地で禁酒運動が活発になりました。第一次世界大戦のころには禁酒運動が加速し、1920年禁酒法が施行されました。ビールは、アルコール度0.5%未満のニア・ビールのみが許されたそうです。その後、密輸入や密造、地下酒場などが横行したことで禁酒法に批判が集まります。1932年には禁酒法廃止の第一弾としてアルコール度3.2%のビールが許可されます。同じ年には、禁酒法そのものが廃止になりました。
アメリカのビールは、飲みやすい淡い色のピルスナータイプのライトビールが人気でした。しかし、近年では小規模醸造所(マイクロブリューワリー)が2017年現在で国内に6200以上(Brewers Association発表)誕生し、特徴のあるクラフトビールが人気を集め始めています。
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アジアではスッキリした味わいのラガーが人気
スッキリした味わいのラガービールが主流のアジア。湿度の高い地域性やスパイスの効いた料理にも相性抜群です。
ヨーロッパで生まれたビールがアジアに登場したのは、アジア地域の植民地化が大きく影響しています。イギリスのインド支配、アヘン戦争を契機にしたヨーロッパ各国の中国進出、オランダはインドネシアへ、スペインはフィリピンへ、フランスはベトナムへ、といったヨーロッパ各国の影響を受けビール文化が発展します。
19世紀後半~20世紀に入り、発酵と冷蔵技術の向上によりラガービールが世界中で飲まれるようになり、アジア各地へも広がりました。
ヨーロッパの歴史を受け継いだアジアのビール文化は、まだ歴史も浅く独自のスタイルを持っていません。しかし、アジアでも近年、小規模醸造所が続々誕生。中国、ベトナム、台湾、インドネシアでもクラフトビールを飲むことができます。これから、ますます各国のいろいろなスタイルのビールが増えていくことでしょう。
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大手から小さなブリューワリーまで!ビール好きの日本
日本では、ビール作りの初期のころは小規模な醸造所も登場しましたが、現在の大手メーカーにつながる大規模醸造所が中心となってビール市場が広がっていきました。第二次大戦後には、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの4社と沖縄のオリオンビールの5社がしのぎを削りました。現在は、厳選素材を使用したプレミアムビールから低カロリー、糖質オフなど消費者のニーズをとらえた発泡酒や新ジャンル飲料、ノンアルコールも登場し、ますますビール市場は多様化しています。
1994年に小規模醸造所が認められるようになると、以降、全国各地で小規模醸造所が誕生、「地酒」ならぬ「地ビール」がブームになります。ブームが去った後も、地道においしいビールを作り続ける小規模醸造所や、熱い志を持った新しいブルワーが職人を連想させる「クラフトビール」として新たなビールファンを増やしています。
変化していく日本のビールシーンから目が離せません!
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