おいしいビールができるのは、酵母=イーストのおかげという事実

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酵母=イーストとはどんなものか?
ビールは、酵母のアルコール発酵によって作られる醸造酒です。酵母とは、ビールをはじめ発酵食品を作るのに使用される微生物のこと。酵母はイーストともよばれ、発泡性の酒であるビールを作る上で大切な役割をしています。ビール酵母の直径は5~10ミクロン! この小さな微生物の働きのおかげで、おいしいビールができあがるのです。
酵母は、糖を分解しアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を生成します。また、味や香りに影響を与える副生成物も生みだします。酵母によって、糖分の分解や発酵の副生成物に違いがあり、それらがビールの味や香りに変化を持たせます。
ラガービールとエールビールの酵母
酵母にはさまざまな種類がありますが、ビール酵母とはビールの醸造で繰り返し使ううちに、ビール醸造に適した性質が備わった酵母のことをいいます。ここでは代表的なビール酵母を紹介します。
まず、「上面発酵酵母」。エールイーストともいわれます。発酵温度は15~25度、発酵期間は3~5日と短いのが特徴です。副生成物が多く、フルーティな香りで奥深い味のビールを生み出すのが特徴です。
「下面発酵酵母」は、ラガーイーストともいわれます。発酵温度は約10度、発酵期間は6~10日と上面発酵酵母より長め。シャープな飲み口になります。
酵母は、発酵タンクに投入したときに細胞が集合して凝集する性質の強い酵母を「凝集性酵母」、細胞集合性が弱く、長く液体中に浮遊する酵母を「浮遊性酵母」といいます。一般に、上面発酵酵母は浮遊性酵母で、下面発酵酵母は凝集性酵母です。

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酵母の種類は数千種類!!
ビール酵母は、19世紀にカールスバーグ研究所でエミール・クリスチャン・ハンゼンによって純粋培養法が発明されたことで、安定的に良質な酵母を生み出すことができるようになりました。それ以来世界各地の醸造所で、さまざまな酵母が研究され、それに伴いさまざまな味や香りのビールが生まれてきました。
ビール酵母の純粋培養は、ビールの醸造に適した酵母を選ぶことからスタートします。数千種類以上のビール酵母の中から1つを選び出し、作りたいビールにふさわしい酵母として培養されるのです。
ほかに、培養管理を行っていない空中に浮遊している野生酵母を使ったビールはビールの原型に近く、自然発酵ビールと呼ばれています。ベルギーのランビックは、自然発酵ビールを商品化している非常に個性的で希少なビールです。機会があったら、試してみてください。

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