ワインの乾杯マナーとは? グラスの持ち方や乾杯の動作、注意点をワイン初心者にもわかりやすく紹介

ワインの乾杯マナーとは? グラスの持ち方や乾杯の動作、注意点をワイン初心者にもわかりやすく紹介
出典 : VladEnescu / Shutterstock.com

ワインをたのしむうえで押さえておきたいのが乾杯のマナーです。ここでは、歴史や文化的背景などの乾杯に関する概要から、乾杯が行われるおもなシーン、乾杯マナーの基本とNG事項、スティルワインとスパークリングワインの乾杯マナーの違いなどについて紹介します。

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ワインの乾杯マナーを、ワインを飲み慣れていない人にもわかりやすく紹介します。

なぜ乾杯にワインを使う?

ワインで乾杯する理由

Ayleeds / PIXTA(ピクスタ)

ワインの「乾杯」には、その時代その時代で重要な意味がありました。

まずは、ワインの「乾杯」の意味や、ワインが乾杯に使われるようになった歴史的背景、乾杯に使われるお酒の種類、ワインの乾杯が行われるおもなシーンについてみていきます。

紀元前の西洋で発祥!? ワインの乾杯の歴史と文化的背景

「乾杯」の歴史は長く、ワインやビールと同じく紀元前から続く文化で、古代ヘブライ人やペルシア人、エジプト人などが行っていたという記録があります。ワインに関しては、古代ギリシャ・ローマが始まりという説もあり、神への献杯や忠誠を象徴する宗教的儀式として根づいていたといわれています。

乾杯文化の発祥は不明ですが、お酒が飲まれる複数の地域で自然発生し、宗教や文化、時代などさまざまな要因により形を変えながら発展してきたと考えられています。

神に捧げるワイン

Motortion Films / Shutterstock.com

「毒殺防止」の目的から、乾杯文化が根づいた地域もあります。
中世ヨーロッパでは宴席での毒殺が横行したことから、グラスを勢いよくぶつけて中身を飛ばし合い、毒が入っていないことを確認し合ってから飲んでいたこともありました。また、宴席の主催者が最初に一口飲み、ワインが安全であることを示す習慣が根づいた地域も。これらはのちに信頼や善意の証しとして、グラスを掲げる乾杯文化に発展したといわれています。

宗教的儀式というと、神への献杯や祝杯が思い浮かぶかもしれませんが、死者への弔いや、悪魔祓いの意味合いで乾杯を行った文化もあります。悪魔を払うためにグラス同士を合わせて音を立てた中世ヨーロッパの文化が、現在の乾杯につながったという説もあるようです。

中世ヨーロッパの乾杯イメージ

Miriam Doerr Martin Frommherz / Shutterstock.com

「トーストする(Toast)」というと、日本ではパンを焼くという意味合いになりますが、もともとは焼いたパンをお酒に入れる習慣を指す言葉。転じて、祝杯をあげることを指します。英語で、「乾杯する」は「make a toast」というので覚えておくとよいでしょう。

焼いたパンをお酒に入れたのは、古代ローマ人といわれています。当時から互いの健康と幸福を祈ってお酒を酌み交わしていましたが、その際、トーストしたパンを加えることで、ワインの味を底上げしていたのだとか。この習慣は、のちに「トーストする」の語源となったといわれています。

このように、ワインの乾杯は時代や文化ごとにさまざまに形を変えて、現代まで受け継がれてきました。現在は、毒殺防止や悪魔祓いといった意味合いはおそらくありませんが、長い歴史のなかで育まれた習慣や言葉、グラスを高く掲げるしぐさなどは、現在も根づよく定着しています。

ワインの器を持つ中世の騎士

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ワインで乾杯する意味

紀元前から続くワインの乾杯の歴史を振り返ると、古くは「神への敬意」や「忠誠」「友情の確認」「弔い」などの意味で用いられ、「毒殺防止(安全確認)」の目的で用いられた中世では「信頼」や「善意」の証しといった意味を持つように。その後は、お互いの「健康」「幸福」「繁栄」を祈る社交儀礼として発展していきました。

現代では、国や歴史、宗教などによって「乾杯」の言葉や語源が違うように、そこに込められた意味や思いにも違いがありますが、世界共通の意味もあります。

◇祝福
おめでたいときに行う乾杯は、日本でもおなじみ。乾杯相手の健康や幸福、成功、繁栄などを祝して、グラスを掲げ合います。

◇開始の合図
乾杯には、宴会などイベントを始めるための儀式的な意味もあります。

◇結束・信頼の確認
声を合わせて乾杯を行うことで、場にいる人たちの結束が強まり、一体感が生まれます。また、敵意がないことを改めて確認し合うことで、その後の関係性向上にもつながります。

シャンパンで乾杯

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ワインの乾杯が行われるおもなシーン

ワインの乾杯が行われるのは、おもに結婚式披露宴、誕生日パーティー、新年カウントダウンなどのお祝いのシーンや、表彰式、企業の周年記念、国際会議や賞レースのレセプションといったフォーマルな行事。フランス料理など洋食のレストランでワインを注文するときも、ワインで乾杯するのが自然です。

なお、お祝いの席では、シャンパーニュ(シャンパン)などのスパークリングワインを乾杯酒に選ぶのが一般的。グラスに注いだ瞬間から絶え間なく泡が立ち上がることから、シャンパンは幸せが続く祝福の象徴とされているのです。

ワインの乾杯マナーの基本

ワインの乾杯マナーの基本

Ushico / PIXTA(ピクスタ)

ワインで乾杯する際は、マナーを知っておくとスマートにたのしめます。ここでは、おもに国内外で役立つワインの乾杯の基本マナーをみていきます。

注いでもらう間はグラスに触れない

ビールや日本酒をお酌してもらう際は、必ず両手で受けますが、ワインの場合は、注いでもらう間はグラスに触れないのがマナーです。両手はグラスに触れずにテーブルの上に置いたまま、注ぎ終わるのを待ちましょう。

乾杯の際はグラスのステム(脚)を持つ

乾杯時のグラスを持つ位置は、ステム(脚)の部分です。

ボウルの部分を持つ人を見かけた経験があるかもしれませんが、手の温もりが伝わってワインの温度が上がってしまううえ、指紋が残ると美観を損ねる可能性があります。ワインの美しい色をたのしむためにも、ステムの部分を指の腹で軽く持ちましょう。

ただし、飲むときは、ボウルを指で持つほうがよいとされるシーンもあります。とりわけ、赤ワインはボウルが大きく、ステムを持つと不安定になることも。また、赤ワインなら温度が少し上がったほうが、香りが開く可能性もありますが、乾杯のときだけは、ステムを持ったほうがエレガントにきまりますよ。

ワイングラスはリムの部分を持つ

実際に乾杯をするときは、グラスを目の高さに持ち上げ、「乾杯」といいましょう。その際、乾杯の相手と笑顔で目を合わせ、そっと会釈してもよいでしょう。乾杯を終えたら、一口飲みます。お酒が飲めない人も、グラスに口をつけておきましょう。

なお、ワイン以外のお酒にも同じことがいえますが、目上の人と乾杯するときは、相手のグラスより少し低めの位置を意識すると好印象を与えられます。

フォーマルな席ではグラス同士をぶつけない

乾杯というと、グラスとグラスをぶつけ合うイメージもありますが、法治社会においては、毒殺の心配もないため、フォーマルな席では、グラスとグラスをぶつけないのがマナーです。

カジュアルな席では、グラス同士を合わせて軽く音を鳴らすこともありますが、ワイングラスは一般的に、ワインの魅力を最大限に引き出すために薄めに作られたものが多く、軽くぶつけただけでも破損のリスクがあります。なかでもリーデル(RIEDEL)などの薄く繊細なグラスでワインを飲む際は、音を鳴らす乾杯は極力避けたいもの。

万が一、目上の人から、グラス同士をぶつけ合う乾杯を求められたとしても、アイコンタクトで相手の意識をグラスから逸らすか、笑顔で上手にかわしたいものですね。

パーティーでの乾杯シーン

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【コラム】スティルワインとシャンパン(スパークリングワイン)の乾杯マナーの違い

フォーマルな席では、スティルワイン(発泡性のない一般的なワイン)の代わりにシャンパンをはじめとするスパークリングワインが振る舞われることが多いですが、スティルワインとシャンパンでは、乾杯マナーに違いがあるのでしょうか。

結論からいうと、ワインもシャンパンも乾杯マナーは本質的には同じ。ステムを持ち、相手とアイコンタクトを取りながらグラスを持ち上げ、乾杯が終わったらグラスに口をつける。この流れは共通です。

違いがあるとすれば、グラスの耐衝撃性。ワイングラスはよいものほど薄くて繊細ですが、シャンパンに使われるフルート型のグラスは、薄くて繊細なうえに、形状的な特性上も衝撃に弱いため、破損のリスクが高め。乾杯の際は、グラス同士がぶつからないよう細心の注意を払いたいものです。

ワインの乾杯を彩る豆知識

ワインの乾杯に関する豆知識

Ystudio / PIXTA(ピクスタ)

最後に、乾杯に関するいくつか豆知識を紹介します。

国によって異なる「乾杯」の掛け声

「乾杯」の掛け声や語源は国によって異なり、乾杯の習慣にも違いがあります。一般的な例をいくつかみていきましょう。

◆フランス「サンテ(Santé)」
「サンテ」は「健康」を意味するフランス語。フランスには、相手の健康を祈って乾杯をする習慣がありました。

◆イタリア「チンチン(Cincin)」
もともとは「どうぞどうぞ」を意味する中国語でしたが、イタリアではグラスが触れ合う擬音語と解釈。乾杯の掛け声として定着したそう。こちらはフランスでも使われます。

◆英語圏「チアーズ(Cheers)」「トースト(Toast)」
「チーアズ」の「Cheer」は、「応援」「激励」「喝采」を意味する言葉。英語圏ではよく使われる乾杯の掛け声です。
「トースト」は、ワインの味を調えるために焼いたパンをワインに浸した習慣が語源。

◆スペイン「サルー(Salud)」
「サルー」はスペイン語で「健康」を表す言葉。こちらも健康や幸福を分かち合う思いが込められているといわれています。

◆ドイツ「プロースト(Prost)」
ラテン語の「prosit」が語源で、「うまくいきますように」といった意味があるそう。

赤ワインで乾杯

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国ごとに、乾杯タブーが存在する

国によっては、乾杯に関する暗黙のNGが存在します。

◆目を合わせないのはNGの国がある
ドイツやオーストリアでは、乾杯の際に相手の目を見るのが鉄則。目を逸らすと「運が悪くなる」という言い伝えもあるほど。

◆韓国では飲む際に口元を隠すのがマナー
韓国では目上の人とお酒を飲む際、体を少し横に向け、片手で口を隠しながら飲む習慣があります。

◆空のグラスで乾杯は縁起が悪い!? 水もダメ?
フランスをはじめとするヨーロッパの国々では、水や空のグラスで乾杯することは縁起が悪いとされているそう。相手の不幸を願っていると解釈されることもあるので、お酒が飲めない人も必ずワインを注いで乾杯しましょう。

◆乾杯のときに腕を交差させる
ヨーロッパでは、乾杯のために伸ばした腕を相手の腕と交差させると、不幸を招くとされ、マナーに反する行為とみなされます。

赤ワインで乾杯する老夫婦

Dusan Petkovic / Shutterstock.com

日本の乾杯文化の起源は江戸時代末期

日本でもお祝いごとに乾杯は欠かせませんが、日本における乾杯文化の歴史は意外に浅く、江戸時代末期に始まり、現在のようなスタイルで広まったのは明治時代に入ってからといわれています。

日本における乾杯の歴史やその意義については、以下の記事で詳しく紹介しています。

ワインの乾杯には、長い歴史に育まれたマナーや意味があります。国や宗教、地域による違いはありますが、基本マナーさえ押さえておけば、フォーマルなシーンでも安心してたのしめるでしょう。相手の目を見て、笑顔で実践してみてください。

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