ワイングラスの正しい持ち方とは? 日本と海外の持ち方の違いやテーブルマナーも紹介
ワイングラスの持ち方は日本と海外では少し異なるようです。慣習の違いを知っていれば、TPOに合わせて戸惑わずにワインをたのしめるはず。今回はワイングラスの持ち方や、ワイングラスの種類、ワインを飲むときのテーブルマナーなどについて紹介していきます。
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ワイングラスの持ち方に正しいマナーはありませんが、持ち方を覚えておくと役立ちます。
ワイングラスの持ち方は日本と海外で異なる!?
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ワイングラスの持ち方に注目してみると、日本人と海外の人で違っていることがあります。慣習的にどんな持ち方をするのか、確認していきます。
ワイングラスの部位の名称をおさらい
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ワイングラスの持ち方について紹介する前に、ワイングラスの各部位の呼び方をおさらいします。上の写真をもとに確認していきましょう。
◇リム:口をつけるグラスのふち部分、飲み口
◇ボウル:ワインが注がれる膨らんだ部分
◇ステム:ボウルを支える細い脚の部分
◇プレート(フット):テーブルに接する底の部分
一般的に、リムが薄いほど口当たりがよくなるといわれ、高価なグラスでは薄づくりのものがよく見られます。また、ボウルの大きさによって、ワインの香りや味わいの感じ方が違ってくるといわれています。
日本ではソムリエ風にワイングラスの脚の部分(ステム)を持つ人が多い
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日本流の持ち方では、ワイングラスのステムを持つのが一般的です。ステムを持つメリットは、手の熱がワインに伝わりにくく、ワインの味や香りが変化するのを避けられること。親指と人差し指、中指の3本を軸にして、なるべく下のほうを持つようにします。
ワイン本来の風味をたのしめて見た目にもエレガントな持ち方ですが、じつは海外では一般的ではなく、ソムリエさんなどがテイスティングする際の持ち方だと認識されています。ソムリエさんたちは、ステムやプレートを持ってワインの色や粘性を見たり、ワイングラスを回して(これをスワリングといいます)、香りを確かめたりします。
とはいえ、ステムを持つのはマナー違反というわけではありません。一流のソムリエさんがいる格式あるレストランでは、最適な温度のワインが供されるので、海外でもステムを持つことがありますし、ボトルを抜栓してホストがワインの状態を確認する「ホストテイスティング」を行う際も、ステムを持ったほうがスマートです。
立食パーティが多い海外ではワイングラスの膨らんだ部分(ボウル)を持つのが主流
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国際的には、ワイングラスのボウルを持つのが一般的のようです。海外では立食パーティなども多く、ワイングラスのステムを持って歩き回ると不安定で中味をこぼす恐れがあるので、ボウル部分を持つほうが安心だと考えられています。また、アンティークグラスのステムには豪華な装飾が施されていることがあり、せっかくの装飾を隠したり壊さないように、ボウルを持つようになったともいわれています。
ボウルを持つ際は、横からつかむのではなく、指と指の間にステムを挟み、ボウル部分を下から支えるように持つとより安定します。
ボウルの持ち方によっては、ワインに手の熱が伝わり、風味が変わってしまう心配がありますが、混み合っている場所やテーブルが小さいお店などでは、ぶつかってこぼしたりしないように、安定性を優先したほうがよい場合もあります。
とはいえ、ソムリエさんが上質なグラスで適温のワインをサービスする場合は、ボウルを手で持つことは避けたいもの。ステムのバランスの取れる位置を持てば安全です。
TPOに合わせて持ち方を変えるのが得策ですね。
ワイングラスにはさまざまな種類がある
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ワイングラス次第で、ワインの香りや味わいの印象が大きく変わるといわれます。ここでは、赤・白・スパークリングワイン用ワイングラスのおもな種類を紹介します。
赤ワインに合うワイングラス
赤ワインは、大ぶりのワイングラスに注ぐのが一般的です。グラスをスワリングして赤ワインを空気に触れさせると、香りや味が開きやすくなります。
ボルドー型
ボウルが卵形でチューリップの形に似ていることから、チューリップ型とも呼ばれます。フランス・ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど、比較的重厚なワインを飲むときに適したグラスで、タンニン由来の渋味がまろやかに感じられます。
ブルゴーニュ型
ボウルが大きく膨らんだ風船型で、香りを逃がしにくいように、リムに向かってすぼまった形をしています。フランス・ブルゴーニュのピノ・ノワールのような芳醇な香りのワインに合い、繊細で複雑な香りや、エレガントな酸味をたのしむのに適しています。
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白ワインに合うワイングラス
白ワイン用グラスは、赤ワイン用グラスよりも小ぶりのものが一般的ですが、ボウルが大きめのグラスも使われます。
万能型(リースリングタイプ)
すぼまりが強めの縦長のグラスで、ソムリエのテイスティングコンテストでも使われる形状です。比較的どんな白ワインにも合い、軽快な赤ワインにも使えるので、1脚持っておくと重宝します。
モンラッシェ型(シャルドネタイプ)
ブルゴーニュ型のようにボウルが大きく膨らんでいますが、リムは広めです。ブルゴーニュのモンラッシェなど、樽熟成させた香り高い白ワインに適しています。
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スパークリングワインに合うワイングラス
スパークリングワイン用としては、おもに2種類のグラスが使われています。また、用途に合わせて白ワイン用のグラスが使われることもあります。
フルート型
細長い形状で、香りが抜けにくく、グラスの底から立ち上る美しい泡をたのしめます。近年はリースリングタイプが使われることもあります。また、シャンパーニュなど高級なスパークリングワインには、モンラッシェ型のようなボウルが膨らんでいるグラスのほうが適しているともいわれます。
クープ型
底が浅く平べったい形をしていて、香りが立ちやすいので、より強くアロマを感じられます。グラスをあまり傾けなくても飲めるため、かつて社交界では、のど元が気になるご婦人たちに重宝されていたようです。結婚式のシャンパンタワーなどにも使われます。
ワイングラスの持ち方とともにテーブルマナーも覚えておこう
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ワイングラスの持ち方とともに、レストランなどで役立つ基本的なテーブルマナーをみていきます。
ワインを注ぐ・注がれるときの基本的なマナー
男性と女性が同席する場合、ワインを注ぐのは男性の役目で、女性からは注がないのがマナーです。注ぐ順番は、年功序列のレディーファーストで、ホスト(もてなす人)のグラスには最後に注ぎます。
ワインを注ぐ量は、グラスの1/3程度が目安。注ぎすぎると、ワインが空気に触れにくくなり、香りが立ちにくくなります。なお、注ぎ足すタイミングは、フランス式ではワインを飲み干す前、イギリス式では全部飲み干したあととされています。
高級レストランなどを訪れた際は、自分たちでは注がずに、ソムリエさんやお店のスタッフさんに注いでもらいます。ワインを注いでもらうときはワイングラスを持ち上げず、またプレートに手を添えることもせずに、注がれるのを待つのが基本的なマナーです。
とはいえ、いつでもどこでも守らなければならないというわけではなく、メンバーや場所、ソムリエがいる・いないなど、シーンによりけりなので、TPOに合わせて使い分けてくださいね。
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ほかにもある! 身につけておきたいマナー
ワインを飲むときに心得ておきたいことは、こぼさない、グラスを割らない、きれいに、よりおいしく味わうというのが本質です。ここでは、乾杯やスワリング時のマナーや、ワイングラスの汚れの対処法についても、かんたんに紹介します。
乾杯のマナー
乾杯ではグラス同士をぶつけず、胸の辺りまで持ち上げてアイコンタクトを交わします。ワイングラスは繊細なので、割れたりヒビが入ったりしないように気をつけてください。
スワリングのマナー
スワリングする際は、プレートを軽く押さえるようにしてステムの下のほうを持ち、ゆっくりと回します。回す方向にもマナーがあり、右手で持つ場合は左回し、左手で持つ場合は右回しにすると、万が一ワインが飛び出しても周囲の人にかかりにくくなります。なお、回しすぎると風味が損なわれるので、スワリングの回数は2~3回で十分です。
ワイングラスの汚れの対処法
ワイングラスの汚れを、指で何度も拭ったりナプキンで拭き取ったりするのはマナー違反になります。ワイングラスに口紅がつくのが心配なら、落ちにくい口紅を選ぶか薄めにつけてティッシュオフしておきましょう。唇についた料理の脂でグラスが汚れるのが気になるなら、ナプキンで口元を拭ってから飲むようにしてください。
このほか、ワインや食事の香りを損なわないように香水は控えめにするなど、ちょっとした配慮をするだけで、より気分よくおいしいワインをたのしめます。
ワイングラスの持ち方をはじめ、ワインに関するテーブルマナーはいろいろありますが、究極はたのしく飲むのが一番です。カジュアルなシーンではマナーに捕らわれすぎず、一緒にいる人たちとの心地よい時間を優先してくださいね。