「あらばしり」はどんな日本酒? 味わえる季節や「しぼりたて」との違いも紹介

「あらばしり」はどんな日本酒? 味わえる季節や「しぼりたて」との違いも紹介
出典 : NOV / PIXTA(ピクスタ)

「あらばしり」とは、醪(もろみ)を搾る上槽という工程で、最初に出てくる日本酒のこと。今回は、「あらばしり」をはじめ、「あらばしり」の次に出てくる「中取り」や、最後に出てくる「責め」の概要、「あらばしり」が飲める季節、「あらばしり」「中取り」「責め」の香りや味わいの違いなどについて紹介します。

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さっそく「あらばしり」の概要からみていきましょう。

「あらばしり」とは?

あらばしりの概要

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「あらばしり(荒走り)」とは、醪(もろみ)を搾る上槽(じょうそう)と呼ばれる工程で、最初に出てくるお酒のこと。以下でくわしくみていきましょう。

「あらばしり」は醪を搾る工程で最初に出てくるお酒

「あらばしり」は、醪を搾る上槽の工程を伝統的な「槽搾り(ふねしぼり/ふなしぼり)」という方法で行う際、圧力をかける前の段階で、最初に流れ出てくるお酒のことです。

醪を入れた酒袋をぶら下げ、落ちてくるお酒のしずくを採集する「袋搾り」または「袋吊り」と呼ばれる方法や、一般的な自動圧搾機を用いる方法で上槽を行う際にも、最初に出てくるお酒を「あらばしり」と呼ぶことがあります。

上槽など日本酒の醸造方法についてもっと知りたいときには、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。

日本酒の中取りと責めの概要

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「あらばしり」と合わせて知っておきたい「中取り」&「責め」

おもに槽搾りで上槽を行う際、「あらばしり」の次に出てくるお酒を「中取り(中汲み/中垂れ)」、最後に圧力をかけて搾り出したお酒を「責め(せめ)」と呼びます。

「あらばしり」「中取り」「責め」に関しては、厳密な規定があるわけではないことから、どこまでが「あらばしり」で、どこからが「中取り」かなどについては、各蔵元の判断となります。

なお、商品名や商品説明に「あらばしり」「中取り」「責め」などと入っていない一般的な日本酒の多くについては、「あらばしり」「中取り」「責め」がブレンドされて瓶などに詰められています。

「中取り」についてのくわしい記事はこちらになります。

「あらばしり」はいつ飲める?「しぼりたて」との違いは?

あらばしりが飲める季節

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「あらばしり」が飲める季節は、寒造りを行う蔵元が造るものならば、新酒の季節に限られます。

「あらばしり」が飲めるのは新酒の季節のみ? それとも一年中?

「あらばしり」は、寒造りを行う蔵元が造る場合は新酒の季節でもある11月ごろから4月ごろまでの間、季節を問わず醸造する蔵元が造る場合は一年中飲める可能性があるお酒です。

搾りはじめに出てくる「あらばしり」は、上槽の工程を行うたびに造ることができます。

しかし、一度の上槽では少しずつしか造れないため、寒造りを行っている蔵元の場合、まとまった量の「あらばしり」を確保することができるのは、上槽が盛んに行われる冬から春にかけての新酒の時期に限られてきます。

一方、季節を問わずに醸造を行っている蔵元は、年間をとおして「あらばしり」を確保することができるので、一年中出荷が可能となるのです。

日本酒の新酒の定義をはじめ、味わいや飲み方などについて知りたいときには、以下の記事がおすすめです。

しぼりたてとあらばしりの違い

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新酒の「しぼりたて」と「あらばしり」の違い

日本酒の「しぼりたて」については明確な定義はないものの、新酒のうち、火入れを一切行わず出荷される生酒を指すことが多いようです。

一方、「荒走り」とも表記される「あらばしり」は、上述のとおり、上槽の工程で最初に出てくるお酒のこと。新酒の時期に出荷されるものも数多くあることから、新酒の生酒である「しぼりたて」の「あらばしり」をラインナップしている蔵元もあります。

また、「あらばしり」は「新走り」と書かれることもあります。この場合の「あらばしり」は文字どおり「新酒」を意味し、俳句の季語ともなっています。

日本酒の生酒の味わいやたのしみ方、おすすめの銘柄については、こちらの記事にくわしく掲載されています。

「あらばしり」「中取り」「責め」の味わいは?

あらばしりの味わい

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「あらばしり」「中取り」「責め」の味わいには、それぞれ特徴があります。

「あらばしり」は香り高くフレッシュな味わいの日本酒

「あらばしり」は、圧力をかけないで流れ出てきたお酒であるため、余分な雑味が入らず、香りが華やかでフレッシュな味わいになる傾向があります。

また、搾りはじめで澱(滓/おり)が混ざっていることから、微発泡のものや薄くにごっているのも多く、インパクトのあるワイルドな味わいをたのしめる日本酒としても知られています。

中取りと責めの味わい

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香味のバランスがよい「中取り」や深みのある「責め」との飲み比べもおすすめ

「あらばしり」の次に出てくる「中取り」は透明で、香味のバランスに優れているお酒が多い傾向にあります。酒質がきれいなことから、「中取り」の部分だけを集めて高級酒として販売されたり、日本酒の醸造技術の修得と向上を目的に開催される全国新酒鑑評会に出品されたりしています。

上槽の最後に出てくる「責め」は、深みのある濃厚な味わいを感じさせる傾向があります。その一方、圧力をかけて搾り出されるものであることから、雑味や苦味が強く感じられる場合もある日本酒です。

「あらばしり」はもちろん、「中取り」や「責め」も、それのみを集めた商品が販売されています。お気に入りの銘柄や気になる銘柄で「あらばしり」「中取り」「責め」がそれぞれ商品化されていたら、飲み比べてみるのがおすすめです。おのおのの香りや味わいの個性や違いを、心ゆくまで堪能してみてくださいね。

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