「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録決定! 伝統ある技術を継承し、日本が誇る國酒を世界へ
2024年12月5日(日本時間)、パラグアイにて開かれた「第19回ユネスコ無形文化遺産保護条約政府間委員会」の審議において、日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されることが決定しました。ここでは、受賞の瞬間やその喜びの声をお届けします!
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念願だったユネスコ無形文化遺産登録。決定の瞬間は?
これまで「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みを行ってきた「日本酒造組合中央会(以下、中央会)」。
「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」「日本酒造杜氏組合連合会」とともにその伝統ある技術と文化を守るべく、登録決定のその日を待ち望んでいました。
そして日本時間の12月5日、ついに「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録が決定!
東京・虎ノ門にある「日本の酒情報館」では、中央会の委員や日本酒および焼酎の蔵元、みりんに関する関係者などが集まるなか、ライブ配信でその瞬間をともにしました。
「審議の中で『こうじ』や『蔵人』『杜氏』などを紹介いただけたのが本当に良かった」といった喜びの思いとともに、「どんどん世界へ向けて発信していきたい。飛躍のきっかけになってほしい」と今後に向けた意気込みの声も聞かれ、会場は興奮冷めやらぬ雰囲気に包まれたようです。
各団体代表からのコメント(一部抜粋)
日本酒造組合中央会
会長 大倉 治彦氏
「伝統的酒造り」は、古くは各地の杜氏集団によって継承されてきましたが、近年では、国税局、独立行政法人酒類総合研究所や公設試験研究機関の支援を受け、各都道府県酒造組合(連合会)を中心に技術の研鑽に努めています。これからも、次の世代へ確実に継承と発展を図ってまいります。
また、私どもは、このユネスコ無形文化遺産登録を機に、「伝統的酒造り」を支える地域社会の絆、自然環境への配慮、生活文化における役割に改めて思いを致し、関係者と協力して、国民の皆様に國酒の魅力をあらためて認識していただくとともに、海外の皆様に一層知っていただくための各種事業を国内外で実施してまいります。
日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会
会長 小西 新右衛門氏
今回の無形文化遺産への登録をきっかけに、「伝統的酒造り」を守り・つなぐことについて地域が誇りをもち、関係者間の対話が一層盛んになることを期待しています。
日本酒や本格焼酎・泡盛は、世界で知られるようになってきました。しかし、その繊細なうま味や味わいがこうじ菌を使った酒造りにあり、日本の歴史・文化と密接に結びついているものであることはまだまだ知られていません。世界に発信できる絶好の機会として生かしていきたいと考えています。
日本酒造杜氏組合連合会
会長 石川 達也氏
酒造りの伝統技術は無形の文化遺産ですから、言語化数値化した記録として保存すればいいというわけにはまいりません。その技術を継承していくのは、あくまで「人」なのです。したがって、酒造りの世界に意欲ある人が入り、伝統技術を体得していくことの可能な環境を整えることが必要になります。
杜氏の里から酒の造り手が輩出され、杜氏集団の中で人が育まれていた以前とは違い、現在は、業界全体で人を育て、活かさなければならない時代に入ってきております。そう考えれば、酒蔵同士、杜氏同士は競合する他者ではなく、伝統継承のために協力し合うべき同志だと言えます。今回の登録を機に酒造業界がより一層一体感を持って、日本の財産である伝統の酒造りを守り、つないでいきたいものです。
<日本酒造組合中央会について>
全国約1,600社の酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する酒類業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。
「國酒(こくしゅ)」とされる日本酒、本格焼酎・泡盛について情報発信することで、国内外へ幅広く認知向上させる活動に取り組んでいる。
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