【飲むならどっち?】ワインと日本酒の違いを造り方から度数、糖質量まで徹底比較!
ワインと日本酒、どっちを飲むかで迷ったことはありませんか? 今回は、原料の特性や造り方の違い、アルコール度数はどっちが高いか、糖質量はどっちが多いか、栄養分や飲み方のバリエーション、それぞれに合う料理など、ワインと日本酒の違いをまとめました。
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まずは、ワインと日本酒の造り方の違いからみていきましょう。
ワインと日本酒の違いとは?
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日本酒は近年、輸出に力を入れています。ワイン消費大国であるアメリカやヨーロッパ各国などへの輸出量も増加傾向にあり、普段ワインを飲んでいる人々にも受け入れられつつあるようです。
海外の人々も私たちと同じように、「今日はワインと日本酒どっちにしよう?」などと迷ったり考えたりしているのかもしれませんね。
ワインと日本酒はともに、原料をアルコール発酵させて造る醸造酒。とはいえ造り方にはさまざまな違いがあり、とりわけ原料の特性や発酵方法は大きく異なります。ここでは、原料の特性の違いからチェックしていきます。
原料のブドウと米には大きな違いがある
ワインの原料であるブドウの特性と、日本酒の原料である米の特性には大きな違いがあります。
果実であるブドウには、アルコール発酵に必要不可欠な糖が含まれている一方、穀物である米に含まれているのはデンプンで、糖そのものはほとんど含まれていません。この違いは、発酵方法の違いにもつながります。
また、ブドウには果汁がたっぷり含まれているので、ワイン造りでは基本的に水が加えられることはありません。そのため、ブドウの質がワインの品質に大きく影響してきます。
一方、米には搾れるほどの水分は含まれていないので、日本酒造りでは米を水で洗い、吸水させ、蒸しあげたうえでアルコール発酵の工程で仕込み水が使われるほか、アルコール度数などの調整で加水が行われるのも一般的となっています。そのため日本酒では、米に加えて水の質も酒質を左右する重要な要素となります。
なお、どちらも醸造酒であるワインと日本酒の、酒税法上の分類は以下のとおりです。
◇日本酒:「醸造酒類」のうち「清酒」
◇一般的なワイン:「醸造酒類」のうち「果実酒」
◇ワインに糖類またはブランデーなどを混和したもの(「シェリー酒」「ポートワイン」など):「混成酒類」のうち「甘味果実酒」
各分類の定義の詳細などについては、酒税法や国税庁サイトを確認してみてくださいね。
e-GOV法令検索「酒税法」
国税庁|「酒のしおり」3 酒税法における酒類の分類及び定義
国税庁|果実酒に関するもの【甘味果実酒】
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ワインと日本酒は発酵方法も異なる
酒造りに欠かせない発酵(アルコール発酵)とは、酵母のはたらきによって糖を分解し、アルコール(エタノール)と炭酸ガス(二酸化炭素)を生成する現象のことです。
このアルコール発酵の方法もワインと日本酒では大きく異なります。
ワインの発酵方法は「単発酵」。糖が含まれているブドウを原料としているため、赤ワインならブドウを皮ごと潰して、白ワインならブドウを搾って果汁にして、すぐにアルコール発酵の工程が行われます。
一方、日本酒の発酵方法は「並行複発酵」。まず、蒸した米に麹菌(こうじきん)を植えつけ、米に含まれるデンプンを麹菌の酵素のはたらきで糖化させて麹を造ります。
その後、蒸し米・麹・酵母(醪〈もろみ〉造りでは酵母を培養した酒母〈しゅぼ〉)・仕込み水をひとつのタンクに入れて行う「酒母造り(酵母を培養する工程)」や「醪造り(仕込み)」といったアルコール発酵が行われる工程に進みます。
「並行複発酵」とは、これらの工程で、デンプンの糖化と酵母によるアルコール発酵という2つの化学反応が、ひとつのタンクのなかで並行して行われていることを意味しています。
ワイン酵母を使った「ワインみたいな日本酒」も登場
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アルコール発酵を担う酵母については、ワイン、日本酒ともに、ブドウ畑やブドウの果皮、酒蔵などに自生する酵母と、培養された酵母があり、それぞれの商品で使い分けされています。
一般的に、ワイン造りにはワイン酵母、日本酒造りには日本酒用の酵母が使われますが、近ごろはワイン酵母を使って造った日本酒も登場しています。
ワイン酵母は、日本酒造りに使われる酵母に比べて発酵スピードがやや遅めで糖化スピードのほうが勝ることから、アルコール度数が比較的低く、日本酒初心者にも飲みやすい甘口のお酒となる傾向があるようです。
また、軽やかでフルーティーな香味の日本酒や、スパークリングワインならぬスパークリング日本酒もあります。
こういったワインのような日本酒は海外でも人気となっていて、日本酒の知名度を高めています。
2011年には「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」という日本酒品評会もスタート。日本酒の新たな魅力の発掘にもひと役買っています。
ワインと日本酒のアルコール度数や栄養分の違い
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ワインと日本酒のアルコール度数や糖質量、含まれている栄養分の違いをチェックしていきましょう。
アルコール度数はどっちが高い?
厚生労働省が純アルコール量の算出基準の目安としている、ワインと日本酒のアルコール度数をみてみましょう。
◇ワイン:12パーセント
◇日本酒:15パーセント
(参考資料)
厚生労働省|健康日本21 アルコール
日本酒のほうが少し高いですね。
ワインも日本酒も、市販されている商品の実際のアルコール度数には幅があります。
◇赤ワイン:11~15パーセント程度
◇白ワイン:9~14パーセント程度
◇日本酒:6パーセント程度~22パーセント(未満)
これも目安のひとつで、とりわけワインについては種類によってもっと低いものも高いものもあります。
なお酒税法では、一般的なワイン(果実酒)のアルコール度数は「二十度未満」、日本酒(清酒)のアルコール度数は「二十二度未満」と定められています。
ところで、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで20グラム程度までの飲酒量を推奨しています。ワインと日本酒はどのくらい飲むと純アルコール20グラム程度になるのでしょう。
計算式は以下のとおりです。
お酒の量(ミリリットル)×アルコール度数(度またはパーセント)/100×アルコールの比重0.8=純アルコール量(グラム)
◇ワイン(アルコール度数12パーセント):200ミリリットルで純アルコール19.2グラム
◇日本酒(アルコール度数15パーセント):180ミリリットル(1合)で純アルコール21.6グラム
ワインも日本酒もそれほどの量ではないと思ったかもしれませんが、どっちを飲むにしても飲みすぎれば当然酩酊しますし、過度な飲酒を続ければ体に影響が及ぶこともあります。
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糖質量はどっちが多い?
ワインと日本酒、飲むとどっちが太るだろうと気になったことはありませんか。
文部科学省の食品成分データベースで、赤ワイン・白ワインと吟醸酒・純米酒・本醸造酒・普通酒の、100グラムあたりの糖質(食物繊維を除く炭水化物)の量をチェックしてみましょう。
◇赤ワイン:1.5グラム
◇白ワイン:2.0グラム
◇吟醸酒:3.6グラム
◇純米酒:3.6グラム
◇本醸造酒:4.5グラム
◇普通酒:4.9グラム
糖質量だけみればワインのほうが少なくはありますが、ワインさえ飲んでいれば太らないかというと、そうとはいえません。アルコールにはカロリーがあるからです。
太るかどうかは、飲酒の際のおつまみの種類や量にも大きく影響されます。毎日の生活習慣の影響もあるでしょう。
参考までに、上で挙げた各お酒の100グラムあたりのカロリー量も確認しておきましょう。
◇赤ワイン:68カロリー
◇白ワイン:75カロリー
◇吟醸酒:103カロリー
◇純米酒:102カロリー
◇本醸造酒:106カロリー
◇普通酒:107カロリー
運動習慣のない人が、お酒を飲むたびに脂っこいもの、炭水化物ばかりをたくさん食べていれば、ワインを飲んでも日本酒を飲んでも太る可能性が高くなります。飲むときには、総カロリー量が多くならないように気をつけましょう。
(参考資料)
文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
文部科学省|食品成分データベース
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栄養分の違いはある?
ワインには、抗酸化物質のひとつとされる「ポリフェノール」が含まれていることが知られています。
農業総合誌『農業および園芸』(発行元:養賢堂)掲載の「ブドウとワインに含まれるポリフェノール類の健康効果」によると、ブドウの果汁より、果皮や種に多く含まれています。果皮や種ごと発酵させる赤ワインは、果汁だけを発酵させる白ワインの約10倍ものポリフェノールを含有しているとされています。
ワインにはそのほか、「カリウム」や「リン」といった人体が正常に機能するために必要なミネラルも含まれています。
一方の日本酒に豊富に含まれているのがアミノ酸です。
アミノ酸はタンパク質を構成する有機化合物。日本酒には旨味のもとともなるグルタミン酸をはじめ、さまざまなアミノ酸が含まれています。
また、『日本醸造協会誌』掲載の「清酒及び醸造副産物の機能性」によると、日本酒には機能性が示唆される成分も多く含まれているようです。たとえば、吟醸酒の華やかな香りを生むカプロン酸エチルや酢酸イソアミルには抗不安作用が示唆されています。
(参考資料)
養賢堂『農業および園芸』93巻4号 ブドウとワインに含まれるポリフェノール類の健康効果
公益財団法人 日本醸造協会『日本醸造協会誌』2015年110巻4号 清酒及び醸造副産物の機能性
ワインと日本酒のたのしみ方の違い
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ワインと日本酒では、飲むときのたのしみ方に違いはあるのでしょうか。飲み方と合う料理の違いをみていきます。
飲み方の違いとは?
まず、飲むときの温度帯を比較してみましょう。
ワインは、20度を超えると酸化がどんどん進んでしまうといわれているので、20度を上限としてたのしみます。
赤ワインは冷やしすぎるとタンニンの渋味が際立ってしまいます。ライトボディなら12〜14度程度、ミディアムボディなら15〜17度程度、ブルボディなら16〜18度程度を目安にするとよいでしょう。
白ワインの魅力ともいえる果実味や酸味は冷やすことで引き立ちます。ふくよかなボディの辛口白ワインは11〜13度程度、フレッシュでフルーティーな辛口の白ワインは7~9度程度、甘口や極甘口のものは4~8度くらいまで冷やして飲むのがおすすめです。
また、ワインに果物やスパイスなどを入れて温めて飲む、「ホットワイン」という飲み方もあります。
一方の日本酒は、種類にもよりますが、約5度の「雪冷え」から55度以上の「飛び切り燗」まで、幅広い温度帯でたのしめるお酒です。
生酒は冷やして飲むといったような傾向はありますが、一般に冷酒がよいとされている吟醸酒を少しだけ温めると、冷やして飲んだときにはわからなかった香りや味わいが花開くといったようなこともあります。
温度によって、ひとつのお酒の香りや味わいの変化がたのしめるというのも、日本酒ならではの魅力といえるでしょう。
ワインと日本酒は、酒器についても大きな違いがあります。
形はいろいろあるもののワイングラスを用いることが圧倒的に多いワインに対し、日本酒を飲むときの酒器は、お猪口(ちょこ)、ぐい呑み、升(枡/ます)、盃(さかずき)、金属製、陶磁器製、竹製などなど形状も素材も多種多様。近ごろではワイングラスも用いられるようになりました。
酒器を変えて、香りや味わいの違いをたのしむのもおすすめの飲み方です。
なお、ワインと日本酒はともに、カクテルベースとしても使われていて、「ワインクーラー」「キール」「サムライ」といったカクテルが広く知られています。
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合う料理の違いは?
ワインと日本酒では、合う料理に違いはあるのでしょうか。
一般に、赤ワインは牛肉料理や濃厚な味わいの料理、白ワインは白身魚や鶏肉などを使った淡白な味わいの料理、日本酒は和食に合うといわれています。
また日本酒には、魚卵や魚介類の肝といった、ワインなどほかのお酒に合わせると生臭くなりがちな食材をおいしく感じさせるという包容力もあります。
往々にしてこうした傾向はみられるものの、実際のところ、ワインも日本酒も数多くの種類があり、商品ごとの個性もさまざまです。
たとえば、香川県の川鶴酒造が手掛ける「讃岐(さぬき)くらうでぃ」という日本酒は、和食ではなく、脂が多くニンニクの効いたスパイシーな味つけの「骨付鳥(ほねつきどり)」というご当地グルメに合うように造られています。
ワインと日本酒で違うというより、商品の特性によって合う料理が変わってくるといえます。
また、お酒の香りを堪能したいときには、料理と合わせず単体で飲むほうがよい場合もあります。
お酒と料理を合わせるときに意識してみたいのが、ワインと料理の相性のことを差す「マリアージュ」。
同じ香りや風味のお酒と料理を合わせたり、塩味の強い食材に甘味の強いお酒を合わせるなどあえて相反する要素を合わせたりすることで、相乗効果を生み出すのがフランス語で「結婚」を意味するマリアージュの本質です。ぜひ試してみてくださいね。
マリアージュの考え方は、ワインだけでなく日本酒と料理を合わせるときにも役立ちます。さまざまな組み合わせを試して、ベストマリアージュを見つけましょう。