埼玉のビール【所沢ビール】職人気質の醸造技術者が大胆かつ柔軟な発想で生み出すこだわりのクラフトビール
「所沢ビール」は、埼玉県所沢市初のビール製造会社、所沢ビールが手掛けるクラフトビール。「大胆に、しかし繊細に」をモットーに造られるビールは複数のビールコンテストで高い評価を得ています。今回は、造り手の情報やおいしさの秘密、おすすめラインナップなどを紹介します。
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クラフトビールのたのしさやおもしろさは、造り手の思いやこだわりを知ることにもあります。「所沢ビール」の成り立ちには、どのような物語があるのでしょうか。
「所沢ビール」とはどんなビール?
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「所沢ビール」は、同名の醸造所が手掛けるクラフトビール。まずは造り手の基本情報からみていきましょう。
「所沢ビール」の始まりはビジネスプランコンペ
「所沢ビール」を手掛けるのは、2012年に株式会社ベルビアとして誕生した所沢市初となるクラフトビール製造会社。2017年には所沢ビール株式会社に社名を変更し、ビールという製品の多様性への開拓に挑戦しています。
所沢ビールは、クラフトビールの造りに参入する企業の多くがそうであるように、もともとビールや日本酒などのお酒造りをやっていたわけではありません。その歴史は、平成22年(2010年)開催の「第1回所沢市新規創業ビジネスプランコンペ」で優秀賞を受賞したところから始まります。
市内の農家と協力して地域住民とともに大麦を栽培・収穫して所沢市初の地ビールを製造するプランでエントリーし、見事、奨励金を獲得。地元の経済活性化と地域コミュニティの強化を目標に掲げ、新しい所沢ブランドの確立を目指しました。
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「所沢ビール」のヘッドブルワーは異色の経歴の持ち主
「所沢ビール」のヘッドブルワーは、所沢市生まれの緒方聡氏。海外の大学を卒業し、帰国後はカヌー製造、金属加工、自動車開発などに携わってきた異色の経歴の持ち主です。すべてに共通しているのは、技術者・職人として最高峰まで追求してきたことですが、醸造の経験はありませんでした。
緒方氏はあるとき、大きな企業のなかでは自分の考えついたアイデアを存分に活かし切ることはできない、と起業を決意。身近な存在だった「ビール」に着目しました。
それまで、どの職においても真摯に質を高めようとしてきた研究心、細部までこだわる職人気質がそのままビール造りに向けられることに。大量の文献を読み、クラフトビール界のレジェンドと言われる丹羽智氏に師事して、ビール醸造を徹底的に学びました。
手造りなのはビールのみならず。「必要なものはすべて、自分たちの手で」と、醸造所の配管から電気設備の取りつけまで、すべて自分で行ったそう。会社の設立は平成24年(2012年)でしたが、職人らしい凝り性な気質を発揮し、商品の完成までに約1年を要したと言います。
平成26年(2014年)、ついに初の自社製品を販売。翌年には、「ファラオ / スモークポーター」がインターナショナル・ビアカップ2015でスモークビール部門銀賞を受賞。「所沢ビール」の存在が、クラフトビール界に広まりました。
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人気はスモークビール! 「所沢ビール」のビール造りに懸ける思いとは?
「所沢ビール」のモットーは、「大胆に、しかし繊細に」。既成概念にとらわれず、大胆かつ柔軟に発想し、行動に移す。そして実際のビール造りの過程では、繊細に細部に気を配らなくてはいけない。このモットーにのっとって、ヘッドブルワーの緒方氏はさまざまなビールを開発してきました。
基本は忠実に守りながら、新しい発想や技術の開発、開拓にも務める。定番となった商品に対しては並々ならぬ集中力で品質を守り、さらにおいしいビールを生み出すよう邁進しています。
ビールがきっかけとなって地元の所沢で雇用を生み、地域の活性化に貢献したい。人が集まる幸せな場所になるように。その思いが、今日もおいしいビールを生み出しているのです。
そんな所沢ビールがとりわけ力を注いでいるのが、看板商品「ファラオ」に代表されるスモークビール。スモークビールとは、麦芽をブナの木などで燻して乾燥させたスモークモルトを使用するビールで、ドイツのバンベルグ発祥の「ラオホ」が有名です。
スモーキーな香りとビターな甘味が特徴のスモークビールは、日本ではメジャーではありませんが、じつは日本の料理とも相性がよく、ハマる人が続出
中。燻製に使う木の種類で個性が変わることから、今後の展開に注目が集まっています。
「所沢ビール」の定番商品を飲み比べ
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「所沢ビール」で常時販売されている、定番ビールのラインナップを紹介します。
Pharaoh(ファラオ)
スモーク麦芽を使った日本では珍しいスモークポーターで、黒ビールの独特の香りと甘さにスモーク(ブナ)のアロマをミックス。ビール通はもちろん、黒ビールを飲み慣れていない人もたのしめる所沢ビールの看板商品です。
アルコール度数は5.5%。
インターナショナル・ビアカップ2015 Smoke Beer(スモークビール)部門銀賞、インターナショナル・ビアカップ2016 Smoke Beer部門銅賞ほか受賞歴複数。
Bitches Brew(ビッチェズブリュー)
モルト自身のコクを大切にしながら、しっかりとビターホップを効かせた、所沢ビール定番ペールエール。ほのかに漂う柑橘系の香りとビール本来の甘味、ホップの苦味のバランスが絶妙で、すっきりとした後味がたのしめます。
アルコール度数5.0%
ジャパン・グレートビア・アワーズ2019ブロンドエール部門 銀賞受賞。
The Cannonball(ザ・キャノンボール)
スモークビール「ファラオ」を上回る苦味を特徴に持つIPA。オレンジ系のさわやかで甘いアロマから始まり、意表を突くようなパワフルな苦味が口いっぱいに広がります。
アルコール度数6.5%。
3355
「燦々(さんさん)と陽が降り注ぐ午後にたのしく飲んでもらいたい」という思いを込めて、「3355 (燦々午後)」と名づけられたセッションIPA。さわやかな甘いフルーツのアロマと、パイナップルを思わせる酸味が特徴です。
アルコール度数は3.5%と低めながら、ビールらしい風味はしっかりとキープ。ビールを飲み慣れていない人にもおすすめの1本です。
「所沢ビール」の限定ビールもおすすめ
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スモークビールをさらに発展させた「スモーク・レモン」など、「所沢ビール」のこだわりがギュッと詰まった限定品を紹介します。
Smoked Lemon(スモーク・レモン)
大胆な発想、独創性と確かな技術でオリジナルを追求する「所沢ビール」らしいビール。国産有機レモンをたっぷり使ったスモークビールの進化形。レモンのさわやかさが飲みやすさにつながった、スモークビール初心者に一押しのビールです。
アルコール度数5.0%。
Smokin'(スモーキン)
「鬼グルミの樹」でモルトを自家燻製したスモークビール。荒削りななかにもクルミらしい透明感あるスモーク香が感じられます。スモーキーな香りとキレ感のあるボディが織りなす独特なハーモニーをたのしんで。
アルコール度数は5.0%。
Milestone(マイルストーン)
研究心と好奇心がドッキング。構想に2年を費やした「リンゴの木」のチップを用いた自家燻製レッドエール。リンゴのアロマとスモーキーな後味がたのしめます。アルコール度数は5.0%。
こちらは、ジャズ・トランペッターとして有名なマイルス・デイビスから命名されたそう。
Ska(スカ)
最初に限定リリースされた際、在庫がすぐになくなってしまったという、人気のIPA。夏みかんのようなアロマとスカッとした飲み口が特徴です。IPAらしく、しっかりとした苦味がありつつ、柑橘系フルーツのおいしさもあり。アルコール度数5.5%。
「所沢ビール」は、所沢市をはじめとする埼玉県内の酒屋さんや、所沢ビールの通販サイトで購入可能です。詳しくは公式でチェックしてみてください。
異色の経歴を持つヘッドブルワーの、大胆な発想と確かな技術が生み出した「所沢ビール」。こだわりのスモークビールをはじめ、地域のクラフトビールならではの新しい感動を求めて、新規開拓してみてはいかがでしょう。
製造元:所沢ビール株式会社
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