秋田のビール【田沢湖ビール】あきた芸術村が造る毎日飲んでも飲み飽きしないクラフトビール
「田沢湖ビール」は、飲み飽きしないビール造りを目指す、秋田発の地ビールブランド。本場ドイツの伝統的な製法で造られるビールは、国内外で高い評価を得ています。今回は、田沢湖ビールのコンセプトや誕生秘話、ビール造りのこだわり、おすすめ銘柄を紹介します。
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「田沢湖ビール」は、秋田県初の地ビールとして、1997年に誕生しました。一風変わった歴史やコンセプトを持つ、こだわりの詰まったビールの魅力に迫ります。
「田沢湖ビール」は秋田県第一号地ビール! 目指すは「飲み飽きしないビール造り」
出典:田沢湖ビールホームページ
「田沢湖ビール」を運営しているのは、宿泊飲食業やビール製造等多角的に事業を展開している「株式会社あきた芸術村」。その前身は、秋田県を拠点に演劇活動を行う「劇団わらび座」からスタートした株式会社わらび座です。そのわらび座が、なぜビールを造るに至ったのか、歴史を追っていきましょう。
田沢湖ビールの歴史を育む「あきた芸術村」とは
「田沢湖ビール」を立ち上げたのは、秋田県田沢湖町に本拠を置く株式会社わらび座。この会社の前身となっているのは、民族芸能をベースに、現代的な作風の舞台作品を興行する「劇団わらび座」で、1953年から秋田県田沢湖町(現在の仙北市)を拠点に、演劇活動を行っていました。
わらび座は、1974年に「わらび劇場」を建設。その後、温泉宿泊施設「温泉ゆぽぽ」をオープンし、心身のリフレッシュとエンターテイメントの両方が体験できる複合文化エリア「たざわこ芸術村(現・あきた芸術村)」を設立しました。
地域と密着したさまざまな活動を展開していくなか、「新しい文化の創造」という視点から立ち上がったのが、クラフトビール造りという企画です。1994年に酒税法が緩和され、ビール醸造のための免許取得に必要な年間最低製造量が2,000キロリットルから60キロリットルまで引き下げられたことも後押しとなりました。
「あきた芸術村」内にブルワリーを置き、約3年間の研究期間を経て秋田県第1号となる地ビール「田沢湖ビール」が誕生したのは、1997年のこと。以来約25年間、独自のスローガンのもと、こだわりのビールを造り続けています。
出典:田沢湖ビールホームページ
「田沢湖ビール」が目指すのはすっきりと飲み飽きしないビール
「田沢湖ビール」がスローガンに掲げているのは、「3リットル飲めるビール造り」。一瞬「え?」と首を傾げてしまいそうですが、造り手の想いに触れれば、「毎日飲んでも飽きないビール」「通算3リットル飲んでもまた飲みたくなるビール」の比喩であることがわかります。
一見、突飛なスローガンですが、ここには初代ヘッドブルワーが「田沢湖ビール」誕生当初から追求し続けたビール造りのこだわりが根づいています。
「田沢湖ビール」の初代ヘッドブルワーは、株式会社わらび座の地ビール事業立ち上げにともなって醸造責任者として入社した元ホテルマンの小松勝久氏。本場のビール造りを学ぶためにドイツに渡った小松氏は、現地のビアパブを訪れたときに、「うまいのか、まずいのかは、とりあえず(通算)3リットル飲んでから決めてくれ」といわれたことで、ビール造りの目標を明確に定めたそう。
当然ながらビールは、おいしくなければ、同じ銘柄を飲み続けることはできません。「飲めば飲むほど、もっとほしくなるような、そんなビールを造りたい」。料理と一緒においしく味わって、気づけば自分の定番ビールになっていた、そんなおいしいビール造りを目指して、長年にわたって情熱を注いできたのです。
「田沢湖ビール」の全ラインナップを造りあげた小松氏はすでに現場を退き、新商品の開発や後進の指導に専念しているそうですが、小松氏が掲げた個性的なスローガンは、現在も「田沢湖ビール」のコンセプトとしてビール造りに活かされています。
「田沢湖ビール」のクラフトビール造りのこだわり
画像提供:株式会社あきた芸術村
飲み飽きしないビールを目指す「田沢湖ビール」の製造へのこだわりをみていきましょう。
「田沢湖ビール」の原料へのこだわり
「田沢湖ビール」の原料は、モルト(麦芽)、ホップ、水と酵母のみ。初代ヘッドブルワーが現地で学んだ、伝統的なドイツスタイルにもとづくビール醸造を行っています。
ビールの主原料であるモルト(麦芽)は、ローストモルトに定評のある、ドイツのワイヤーマン社製。また、ホップは一部の限定商品を除いて、チェコ産ファインアロマホップ「ザーツザーツ」を100%使用。苦味が穏やかで、飲んだ瞬間に香りが立ち、苦味があとを引かないビール造りに一役買っています。
ビール酵母にもこだわっています。ホップで香りや苦味を印象づけるビールが多いなか、「田沢湖ビール」では酵母の特性でビールをキャラクターづけています。ビールの種類によって、醸造用酵母から天然酵母までを絶妙に使い分け、自社の麦汁で培養することで、ビールにストレスをかけない自然な発酵を目指しているそう。
仕込み水には、奥羽山脈・和賀山塊の伏流水を使用。飲み飽きせずに何杯でも飲みたくなるような味わいの秘密は、超軟水という水質にもあるようです。
画像提供:株式会社あきた芸術村
「田沢湖ビール」の製造へのこだわり
「田沢湖ビール」で現在ヘッドブルワーを務めるのは、入社15年の佐々木純一氏。クリアで雑味のない新たなビール造りに力を注いでいるといいます。
ビールは麦芽やホップ、副原料の組み合わせが無限に存在する自由度の高いお酒。「田沢湖ビール」ではホップの種類をザーツホップに限定していますが、麦芽の香りや甘さ、酵母の生み出す香りにこだわり、おいしさを追求しているそう。
「田沢湖ビール」は受賞歴も多数
2010年代以降は、国内外のコンペティションで多数の賞を受賞。1996年から続く「インターナショナル・ビアカップ」や、アジアでもっとも権威のあるビール審査会「ジャパン・グレートビア・アワーズ」ほか、ヨーロッパ各地で主催されるコンテストで受賞歴を重ね、注目を集めています。
「田沢湖ビール」のおすすめ商品を飲み比べ
出典:田沢湖ビールFacebookページ
「田沢湖ビール」の定番商品と、限定醸造されたビールのラインナップを合わせて紹介します。
アルト -Alt-
画像提供:株式会社あきた芸術村
「田沢湖ビール」の定番にして、不動の一番人気商品。さわやかなホップの苦味と麦芽の風味がきいたなめらかな口当たりが特徴で、ジューシーな肉料理とよく合います。
ワールド・ビア・アワード ワールドベストアルトビール(アルト部門世界一)2011・2012ほか受賞歴多数。
ピルスナー -Pilsner-
画像提供:株式会社あきた芸術村
クラフトビールを飲み慣れていない人にもおすすめなのが、すっきりと爽快なのどごしが特徴のピルスナー。モルトの味わいもたのしめるビールとして人気です。
ワールド・ビア・アワード ワールドベスト・ドルトムンダー(ドルトムンダー部門世界一)2014・2017・2018・2019ほか受賞歴多数。
ケルシュ -Kölsch-
画像提供:株式会社あきた芸術村
ほんのり果実の香りが感じられるやさしい味わいのジャーマンケルシュ。のどごしではなくビール自体の味をじっくりたのしめる1本です。
ワールド・ビア・アワード2013 ワールドベストケルシュ(ケルシュ部門世界一)ほか受賞歴多数。
バイツェン -Weizen-
画像提供:株式会社あきた芸術村
原料に小麦麦芽をたっぷりと使用し、酵母の発酵によってもたらされるバナナのようなフルーティーな香りが特徴。おいしさを引き立てる、クリーミーな泡も堪能できるフレッシュな味わいのビールです。
インターナショナル・ビア・コンペティション2012へーフェヴァイスビア部門金賞ほか受賞歴多数。
ブナの森 -Bunanomori-
画像提供:株式会社あきた芸術村
日本で唯一、ブナの天然酵母を使用。通常の酵母の2〜3倍もの発酵期間を要する天然酵母ビールの魅力は、森林浴のようなやさしい香りと味わいにあります。
桜こまち -Sakura Komachi-
画像提供:株式会社あきた芸術村
桜の天然酵母「秋田美桜酵母」で仕込んだ、華やかな香りとキレのあるビールです。天然の旨味とヘッドブルワーの情熱が詰まったおすすめの逸品です。
ドラゴンハーブヴァイス -DRAGON HERB WEISS-
画像提供:株式会社あきた芸術村
秋田県産のハーブを使った商品を製造している「龍角散」と「田沢湖ビール」のコラボレーション作品。人気商品「田沢湖ビール バイツェン」をベースに、龍角散ハーブパウダーを副原料として使用。フルーティーでやわらかい味わいのなかに、ハーブの香りが感じられるまろやかな口当たりの1本です。
ジャパン・グレートビア・アワーズ2019 フリースタイル・ライトエール部門銀賞受賞。
※限定醸造
「田沢湖ビール」はあきた芸術村のほか、公式オンラインショップや楽天などのネットストアで購入可能です。
「田沢湖ビール」は、飲み飽きないおいしさを追求したこだわりのクラフトビール。食中酒にもぴったりなので、好みの料理と合わせて、とっておきのペアリングを探してみてください。
製造元:株式会社あきた芸術村
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