【機械学習で好みの日本酒を判定】来店や日本酒知識は一切不要のWebサービスβ版が登場
日本酒スタートアップ・酒ストリート(東京都台東区)は、機械学習結果を活用し、好みの日本酒を手軽に判定できるWebサービスをリリースしました。東京大学大学院農学生命科学研究科・石島智子特任助教、および阿部啓子特任教授との共同研究により、精度の高い判定を実現させています。
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目次
日本酒購入のハードルとなっていた「選ぶ難しさ」
日本酒を造る酒蔵は全国に1,400以上存在し、商品数は1万点以上にのぼるともいわれています。それぞれがどのような味わいなのか、「飲む前に知りたいけれど、ラベルに記載されている情報だけでは難しいな…」と感じたことはありませんか。
確かに、日本酒の分類方法として有名な「純米」「吟醸」などの「特定名称」は使用原料や製造方法による“分類”であり、必ずしも味わいが判別できるものではありません。
このことが、消費者から日本酒という選択肢を遠ざける結果を招いているという指摘が近年されるようになったといいます。
参考:ダイヤモンドオンライン「『詳しい人しか飲んではいけない酒』日本酒が致命的欠陥を克服する方法」
市販日本酒の味わいをデータ化し、統計解析により12タイプに分類
この課題を解決するため酒ストリートは、味覚に関する豊富な研究実績を保持する東京大学味覚サイエンス研究室との共同研究契約をスタート。
まず日本酒の“味わい”を分類化するため、産地や特定名称といった属性において偏りの生じないように集められた数百点のサンプルをもとに有識者による官能評価(唎き酒)が実施され、これらサンプルの味わいや香りがデータ化されました。
作成されたデータと、各サンプルのアルコール度数などが統計解析されたのち、市販の日本酒・12タイプの分類が完成。それぞれのタイプは、味わいがイメージしやすいなじみのある用語で表現されています。
機械学習を活用した、好みの日本酒判定ロジックを構築
次に、個人の食品に対する嗜好や食習慣を調査するため、東京大学 石島 智子特任助教(食品機能学研究室)、阿部 啓子特任教授(味覚サイエンス研究室)とともに、108問のアンケートを作成。さらにアンケート対象者は12タイプの日本酒を試飲し、その好みの度合いの結果も掛け合わせ、489件の嗜好データが作られました。
これらのデータをもとに機械学習を活用することで、好みのタイプの日本酒を高精度で判定できるロジックが構築されたとのことです。
WEBサービス「酒ナビ」β版の完成
そしてついに、好みの日本酒発見診断「酒ナビ」のβ版がリリース!
・診断は完全無料
・試飲や来店は一切不要でWeb上で完結
・質問への回答に専門知識は一切不要
と、いつでも手軽にできるのがうれしいポイントです。
「おいしい日本酒をどうやって選んだら良いか分からない」という方も、このサービスを使って自分好みの日本酒選びをたのしんでみてはいかがでしょうか。
今後の展開について
酒ストリートは、今回リリースされた「酒ナビ」β版をもとに、診断ロジックのさらなる精緻化を図り、正式版のリリースも目指しているそう。
将来的には「酒ナビ」を活用した日本酒の贈答サービスをはじめとして、12タイプの日本酒分類を活用したサービスや企画(定期購入サービスや、多言語対応、タイプ別のコンテスト開催等)を展開する予定とのことです。
会社概要
酒ストリート株式会社
東京都台東区柳橋1-11-5 柳橋ビル 1F
>> Webサイト
Facebook:@SakeStreetOfficial
Twitter(店舗):@sake_st_store
Twitter(Webメディア):@SAKE_Street_JP
Instagram:@sake.st
共同研究者のプロフィール
石島 智子 氏
東京大学大学院農学生命科学研究科 特任助教(食品機能学研究室)。専門は栄養科学、食品科学。
2000年 東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。その後、シダックスフード サービス株式会社初富保健病院店栄養士、駒沢女子大学生活科助手として勤務。2004年 東京農業大学大学院農学研究科食品栄養学専攻博士前期課程修了、2007年 同博士後期課程修了。同年東京大学大学院農学生命科学研究科リサーチフェロー、2008年 特任研究員を経て、2009年より特任助教、現在に至る。博士(食品栄養学)。管理栄養士。
阿部 啓子 氏
東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授(味覚サイエンス研究室)。専門は食品科学、味覚科学、遺伝子科学。
1996年東京大学大学院農学生命科学研究科教授、2008年 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(現地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所)グループリーダー、2010年 東京大学大学院農学生命科学研究科 名誉教授、2015年 特任教授、2019年 バイオインダストリー協会会長。ほかに、2018年 酒類総合研究所有識者会合座長、日本醸造協会評議員などを務める。主な受賞歴は2005年度 安藤百福賞大賞、2007年 日本農芸化学会賞、2009年 アメリカ化学感覚学会IFF賞(味覚分子生物学分野)、2010年 紫綬褒章、2010年 日本味と匂学会賞。
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